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第二十話 ポム、最初の進化

光が広がっていた。


第一階層。


変異種との戦闘が終わった場所。


誰もが言葉を失っていた。




小さなスライム。


ポム。


最弱と呼ばれる魔物。


しかし。


今、その存在は新たな姿へ変化しようとしていた。




「進化……。」


雪乃が呟く。


蓮も驚いた表情で見つめる。


「本当に起こるんだな。」




黒崎レオンは腕を組んだまま、静かに見ていた。


長年、探索者として活動してきた。


進化する魔物も見た。


特殊個体も見た。


しかし。


今回の現象は、どれとも違う。




「神代。」


黒崎が呼ぶ。


「はい。」


「そのスライム。」


「どれくらい一緒にいる?」




悠真はポムを見る。


「契約したのは、探索者になった日です。」


「でも。」


少し考える。


「一緒に過ごした時間なら……。」


「誰よりも長いと思います。」




黒崎は理解する。


これは支配ではない。


契約でもない。


共に成長した結果だ。




その時。


光が強くなる。




【進化開始】


対象:


ポム


種族:


スライム




条件確認。


・契約者との信頼


達成。


・長時間の共生


達成。


・互いを守る意思


達成。




【進化先を選択してください】




悠真の目の前に表示が現れる。




通常進化候補


・アクアスライム


・メタルスライム


・ファイアスライム




そして。




特殊進化候補


・ネオスライム




蓮が覗き込む。


「ネオスライム?」


雪乃も考える。


「聞いたことがありません。」




黒崎が言う。


「通常なら、能力値が高い進化先を選ぶ。」


「戦闘向きの種族にな。」




悠真はポムを見る。




強くなってほしい。


それは本音だった。


でも。


ただ強い存在になってほしいわけではない。




「ポム。」


「僕は……。」


「君が君らしくいられる進化を選ぶ。」




ポムが小さく揺れる。


「ぷる。」




その瞬間。


特殊進化が反応した。




【契約者の意思確認】


【条件達成】




【進化開始】




光が爆発する。




数秒後。


そこにいたのは。


以前より少し大きくなったスライム。


透明感のある身体。


中央には小さな光の核。




【進化完了】


種族:


ネオスライム




「……。」


悠真はポムを抱き上げる。


「ポム。」


「ぷる。」




変わらない。


声も。


性格も。


悠真の仲間であることも。




その瞬間。


悠真の視界に新たな表示が現れた。




【仲間進化による恩恵】


対象:


神代悠真




【共鳴】


取得。




説明:


信頼関係を結んだ仲間の能力の一部を共有できる。




悠真は驚く。


「僕にも……。」




アーカス。


白い空間。


世界管理者は静かに微笑む。




「当然だ。」


「君は魔物を強化したのではない。」


「共に歩んだのだ。」




「普通のテイマーは。」


「強い魔物を探す。」




「しかし君は。」


「弱い存在と出会い。」


「その可能性を引き出した。」




現実。


黒崎が声をかける。


「ステータスを確認してみろ。」




悠真は表示を見る。




名前:


神代悠真




レベル:


1




職業:


全職業Lv1




変化なし。




蓮が苦笑する。


「本当に変わらないな。」




雪乃もステータスを見る。


そして。


少し驚く。




「神代さん。」


「私たちは……。」




蓮が確認する。




藤堂蓮


職業:


剣士


レベル:


8




白石雪乃


職業:


魔法使い


レベル:


9




「……。」




二人は理解する。


変異種との戦い。


命を懸けた経験。


それは確実に自分たちを成長させていた。




黒崎が頷く。


「当然だ。」


「通常なら数か月かける経験を、一日で積んだ。」




しかし。


視線は悠真へ向く。




「問題はお前だ。」




悠真。


レベル1。


職業レベル1。




「普通なら。」


黒崎は続ける。


「変異種討伐に関わった探索者は、大きく成長する。」




「だが、お前だけは変わらない。」




悠真は少し笑う。


「そうみたいですね。」




蓮が言う。


「でも。」


「一番変わったのも、お前だと思うけどな。」




雪乃も頷く。


「以前の神代さんなら。」


「仲間を心配して、あそこまで無茶はしなかったと思います。」




悠真は黙る。




自分では分からない。


でも。


確かに変わった。




一人でいるために欲しかった空間。


そこに。


今は仲間がいる。




その時。


ダンジョンの奥。


黒い魔力が動いた。




【認識】


【対象確認】




ダンジョン。


その意思なき存在が。


初めて。


一人の人間を認識する。




神代悠真。




白い空間。


アーカスが表情を曇らせる。




「……。」


「早すぎる。」




「ダンジョンが。」


「彼を認識した。」


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


これにて第一章「レベル1の始まり」は完結となります。


レベル1のまま成長しない主人公・神代悠真。


最弱と言われるスライム・ポム。


そして、共に戦い成長していく藤堂蓮と白石雪乃。


小さな出会いから始まった彼らの物語は、ここからさらに大きな世界へ進んでいきます。


第一章では、

悠真が探索者となった理由。

個人空間という唯一無二の能力。

ポムとの出会いと進化。

そして、ダンジョンがただの迷宮ではない可能性。


物語の土台となる部分を描きました。


第二章では、さらに広がるダンジョンの謎。


そして、神代悠真という存在が、なぜ世界に選ばれたのか。


少しずつ明らかになっていきます。


ここまで読んでいただいた皆様、本当にありがとうございます。


もし少しでも「続きが読みたい」と思っていただけましたら、ブックマークや評価、感想をいただけると大きな励みになります。


「このキャラクターが好き」

「この展開が面白かった」

「こういうところが気になる」


など、どんな感想でも大歓迎です。


皆様の応援やご意見を力にして、これからも『LEVEL 1』の世界を描いていきます。


第二章も、神代悠真たちの冒険をよろしくお願いいたします。


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