表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/44

第十三話 初めての試験

実力試験の日。


一年A組の生徒たちは、訓練ダンジョン前に集まっていた。


今日の試験内容は単純。


第一階層に存在する訓練用魔物を相手に、どれだけ冷静に対応できるか。


討伐数。


戦闘能力。


判断力。


そして、探索者としての適性。


全てが評価される。


鬼塚教官が説明を終える。


「勘違いするな。」


「これは強さ比べじゃない。」


「ダンジョンで生き残れる人間かを見る試験だ。」


生徒たちは真剣な表情で頷いた。


その横で、蓮が悠真へ声をかける。


「緊張してるか?」


「少しだけ。」


「珍しいな。」


「蓮は?」


「俺?」


蓮は笑う。


「楽しみ。」


「昔からそうだろ。」


「競争する時のお前、変に集中するから。」


悠真は少し考える。


「そうかな。」


「そうだよ。」


蓮は笑った。


「だから負けたくない。」


「今回も。」


悠真は少しだけ口元を緩める。


「僕も。」


その一言に、蓮は嬉しそうに笑った。




試験開始。


生徒たちは順番にダンジョンへ入っていく。


剣士は力で押し切る。


魔導士は魔法で制圧する。


それぞれが自分の得意分野を活かして進んでいく。


そして。


「神代悠真。」


呼ばれる。


悠真は一人でダンジョンへ入った。


薄暗い通路。


魔物の気配。


普通なら緊張する場面。


しかし悠真は落ち着いていた。


《個人空間》で何度も学んだ。


魔物図鑑。


地形。


戦闘記録。


知識は力になる。


角を曲がった瞬間。


小型ゴブリンが現れる。


悠真はすぐには攻撃しなかった。


(右手に短剣。)


(足元が少し崩れている。)


(正面から行けば避けられる。)


一瞬で状況を分析する。


そして。


一歩。


横へ動く。


ゴブリンの攻撃が空を切る。


その隙に木剣を振るった。


一撃。


ゴブリンは倒れる。


「……。」


派手ではない。


しかし無駄がない。


監視室で見ていた教官たちは静かに画面を見ていた。


「戦闘経験は少ない。」


「だが判断が早い。」


「何より……」


鬼塚が呟く。


「焦りがない。」




その後も悠真は慎重に進んだ。


無理な戦闘はしない。


危険なら避ける。


必要なら戦う。


結果。


討伐数は多くなかった。


しかし。


評価点は高かった。




試験終了後。


結果発表。


上位には高レベルの生徒たちが並ぶ。


そして。


「神代悠真。」


「探索判断能力……A評価。」


教室がざわつく。


「え?」


「戦闘数少なかったのに?」


鬼塚は説明する。


「探索者に必要なのは、敵を何体倒したかではない。」


「生きて帰る能力だ。」


「神代は、それを理解している。」


悠真は少し驚いた。


自分では普通にやっただけだった。


その時。


隣から声がする。


「やっぱりな。」


蓮だった。


「何が?」


「お前は昔からそうだ。」


「周りが見落とすところを見る。」


悠真は少し照れたように目を逸らす。


「蓮は褒めすぎ。」


「いや。」


蓮は真剣な顔になる。


「俺は本気で思ってる。」


「いつか、お前はすごい探索者になる。」


悠真は黙る。


レベル1。


職業レベル1。


誰も期待しない数字。


でも。


「ありがとう。」


その言葉だけは、素直に出た。


その日の夜。


《個人空間》。


悠真とポムはいつものように修練を続けていた。


「今日は少し前へ進めたかな。」


「ぷる。」


ポムが嬉しそうに跳ねる。


その時。


新しい表示が現れる。




【条件達成】


【仲間との信頼度が上昇しました】


【藤堂蓮との絆】


【ポムとの信頼】




悠真は気付かない。


この世界では。


レベルでは測れない力が、少しずつ育っていることを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ