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絶響機動シャウティア-Over the Universe- 【A】  作者: 七々八夕
V《差し伸べられた》その手
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第37話「失ったもの、託されたもの」:A3

「んあ……」


 間抜けな声を上げながら、イナは自室のベッドの上で目覚めた。

 数日意識を失っていた状態から急に飛び出して戦闘を回避した上で、シャウティアの中破と、別世界のチカを失う改修作業を経ていたのだから――疲れも出ていたのだろう。

 部屋の前でチカと別れたところまではなんとなく記憶があるが、その後の事はまったく覚えがない。


(なんか、結構いい雰囲気だった気がするんだけど)


 上体を起こしながら、眠る前の記憶を探る。

 目覚めてから、紆余曲折を経つつも概ね丸く収まっていたはずだ。

 周りの目も気にせず、ずっと手をつないだまま。

 抱き締め合ったところも覚えている。


(まさか夢中でナニも覚えてないなんて無いよな……ッ!?)


 確かめるすべが全くないし、馬鹿馬鹿しい。

 一夜を共に過ごしたというなら、傍にチカがいない上にその痕跡すらないのもおかしい。

 寝ぼけたまま混乱している思考を、深呼吸で落ち着かせる。

 静かな朝がようやく始まりそうだった。


『よう、ボウズ』

「うおぁッ⁉」


 一瞬で破られた。

 脳に声が響いたということは、エイグの通信か?

 そう思ったイナの目に、衝撃的なものが映り、思考は停止する。


「……な……ッ?」


 部屋の角に何の前触れもなく立っていたのは、ゼライド・ゼファンだった。

 イギリス支部の調査で、シエラとともに帰還できなかった男。

 身を隠す理由もないであろうから、間違いなく――死んだはずだ。


 そんな彼の輪郭はどこか曖昧だ。

 イナの感覚も、実体を伴うものではないと認識している。

 であれば、それは。


「ゆ……ゆう、れい?」

『ま、そんなトコだ。調子良さそうで一安心だわ』


 背にもたれていた壁から離れ、死んでいないかのように振舞うゼライド。

 改めて感覚を集中させてみれば、やはり、少なくともヒトの体ではない。


『なんだそんなに呆けやがって。目ン玉こぼれて足がなくてハゲてんのが良かったか?』

「……じゃあ、やっぱり」

『ちゃんと死んでるよ。ファイドの野郎が好き勝手やりすぎてるから、気張って来てやった。俺がおかしいだけだから、他に期待すんなよ』


 改めて本人の口から言われると、望みを絶たれた気持ちになる。

 しかしこうして話せていることは、正直嬉しくもあり――恐ろしくもあった。


『よくも助けるのが遅れてくれたな、ってか?』

「ッ」


 たじろぐイナに。ゼライドはため息をついて腕を組んだ。


『バカ言うなよ、どう見たって相手が悪かったろ。恨むにしたってお前でもシエラの姉貴でもねえ、全部仕組んでるファイドの野郎に決まってら』

「……でも、俺が間に合ってれば」

『それでお前が死んだら俺の方が死にたくなるわ。本人が目の前にいるのに、勝手にお前を恨んでることにするんじゃねえ。呪うぞ』


 霊のジョークだろうか。ともあれ、生者が生者を説得するよりは、納得できる状況だ。

 死者の想いを勝手に想像するのは、生者の振舞いとしてはよくあることだが。

 それで生者が暴走するのは、死者として見過ごせないのだろう。


 とはいえ未だ心の中でモヤつくものを感じる。

 ゼライドはそう言ったが、韓国支部で聞こえたあの声の主たちは。

 今も助けを求めているのではないか?

 折角ポジティブなことが重なって薄れかけていたのに、思い出したことで胸が苦しくなる。


『なんでも自分でやんなきゃ気が済まねえのか? 長生きしねえぞ』

「……でも」

『お前の仕事じゃねえってことだ。お前はホイホイ動かせねえって絶対前にも言われたろ』


 押し黙る。フランス支部でも司令のアレットに言われた。

 今はシャウティアを狙うシオンや黒龍の事も気がかりだ。


『フランスに戻ったらなるはやで人を回せないか聞いとくわ。つーか、ここでも誰かしらがやろうって話は出てるらしいぞ。だからお前は、突破口を切り開くことに集中しろ』

「……はい」


 全く解消されたわけではなかったが、どうにかして飲み込んだ。


『でも、まさかほんとに視えてるとは思わなかったな』

「……いつの間にか、って感じですけど」


 知らぬ間にこの感覚にも慣れている。

 意図的に使おうとするとまだ不安定だが。


『まあ、とりあえずフランス支部からの遣いだ。別れの挨拶もできてねえしそのついで』

「やっぱ、行くんですね」

『そんなすぐじゃねえよ。お前がファイドをぶっ飛ばすところまでは見届けてやるつもりだ』


 どうせならずっと、と思ってしまうが、それは正しくない気がした。

 夢の中で少しだけ言葉を交わした、アルフレッドの影響もある。

 いつまでも死人を引きずるのは、健全ではない。


『見ねえところでちったあ大人になってるじゃねえか』

「……遣いってなんですか」


 茶化されている気がして、気恥ずかしさから話題を逸らす。

 ゼライドは鼻を鳴らして答えた。


『いいニュースだよ。シエラの嬢ちゃんはあーだこーだして復活した。元々死んだわけじゃねえんだけどな』


 言いながら、ゼライドからデータが送られてくる。

 エイグが搭乗者を分解しているだとか、シエラが意識だけになっていたところで頭をくっつけて復活だとか摩訶不思議なことが書いてあったが、ともあれ、安心できる報告だった。


『んで、その姉貴は相変わらずだが――まあ、置いてかれる側になって、お互いに理解できたんじゃねえかって感じだ』


 守りたい者と守られたままでいたくない者の立場が逆転したということなのだろう。

 心が壊れていたレイアの事は気がかりだったが、前進したのなら良いことだ。

 ただ、話を聞くだけでも、やはりシエラは以前までの彼女とは違うらしい。

 いま再会しても、会った時のように話せる自信はやはり、なかった。


『ま、思春期はそっちでやってくれ。ほんで次はちょっくら面倒ごと』


 少しだけ気を重くしていたところに、更に重くなるような話が来るらしい。

 イナは少し眉根を寄せながら、身構えた。


『シオン・スレイドってのがいるだろ。お前を目の敵にしてるヤツ』

「……こないだもやられました」


 明らかに沈み込むイナの表情に、ゼライドはケラケラと笑う。


『格納庫も見てきたさ、どうにかなる算段はつけたんだろ? あとはどうにかできると踏んでの頼み事だ。孫請けだけどな』

「……まご?」

『俺宛ての頼み事をお前に頼もうとしてるってコト』

「はあ」


 いまいち緊張感がない。

 あるいは、波長の合うゼライドとの久々の会話にリラックスしているのかもしれないが。

 ゼライドが俗世を離れているせいか、全て他人事のような軽さを感じてしまう。

 が――そうとは限らないらしい。


『ファイドの操り人形になってるシオンを、解放してほしいんだってよ』

「……誰が?」

『俺もまあそうだけどよ、父親のグレイル・スレイド大佐さ。テュポーンズのいざこざで滅茶苦茶になった連合軍の一派を率いてるらしい』

「たい……ッ?」


 予想外に高い階級の衝撃と共に、疑問が浮かぶ。

 元の世界で得た、シオンを主人公とした『シャウティア』の小説。

 そこでは確か、シオンの父親は――彼が生まれてすぐに死んだと描写されていたはずだ。

 イナに覚えがないのも無理はない。


『ま、階級なんざ今はもう飾りだろうよ。パパがせがれを心配してるってだけの単純な話』

「………」


 確かに面倒な話だ。だが、断る理由はないし、イナとしてももののついでだ。

 負けられない理由が増えただけのこと。

 それだけ、なのだが。


『どうした?』

「上手く言えないんですけど……今まで倒してきた人たちに、そういうのはなかったのかなって」


 誰もが誰かの子であり友であるはずだ。

 常にそれを意識できているわけではないが、ゆえにいたずらに犠牲を出したくないと思っている。

 家族がいれば、悪事を許してもいいとは……言わないが。


『今となっちゃ知りようもねえ。それに完全に平等に適用できるルールなんてありゃしねえし、どんな事情でも例外を許さない奴は出てくる』


 一言で言えば、矛盾。

 イナが見てきた架空の物語にも、長きにわたる戦いを終わらせるために強い武力を持ち込むという展開は珍しくなかった。

 自身が新たな火種となる可能性を孕みながら、現状を打破することを優先する。


 イナのはそこまで考えていないし立派なものではない。

 ただ、他者の目を気にして自身のやりたいことを通せないのは、確かに納得しかねる。


『テュポーンズなら皆殺しってわけじゃないだろ』

「まあ、そうですけど……」

『余裕がないから生き死にを気にしてる余裕がなねえだけ。今回はいろんな事情で生け捕りを意識。そんだけの話』


 目を細めて不快感をあらわにする。

 別に何か強いられたわけではなかったが、ゼライドにうまくコントロールされているようで気に食わないものがあった。


『お前も人を使う側になりゃ、そいつの個性に合わせて言葉を選ぶようになるさ。じじいからのありがてえお言葉に感謝しろ』

「……そういう物言いは嫌われますよ」

『ハッ、死んでるからもう関係ねえな!』


 呆れた後、腹の底から笑いがこみあげてくる。

 そういえば、イナはこうして男同士でカジュアルに話すような機会に乏しかった。

 元の世界でも、この世界に来てからも。

 ゼライドとは見るからに歳が離れているが、彼の砕けた態度は素を引き出してくれる気がする。


 そう思えば、余計に失われたことが悔やまれた。


『おいおい。そんな急にブルーになんなよ』

「……こっちで整理つけます。他には?」


 問うと、明らかに迷うような様子を見せた。

 表情からして今までよりも面倒そうな事柄に見えたが、まあいいかという風に視線を逸らし、こちらに向き直った。


『ねえな。ああ、ヴェルデは持って来てねえから、そっちもアテにすんなよ』

「……それもなんとかしますよ」


 言い切ると、ゼライドは意外そうに鼻で笑った。


『どっちにしろできるこたねえだろうが……ホント、男子三日会わざればってヤツだな。その調子のままファイドの野郎も頼むわ』

「あ……」


 言いながらふらっと去ろうとするゼライドを引き留めようと手を伸ばす。

 彼の存在の実態もよくわかっていないが、これで最後にならない保証がなく、寂しく感じられてしまった。


『惜しいと思ってくれんのはありがてえが、程々にしとけよ。俺はイアルの様子を見てくる』


 その言葉で、今ゼライドと会話できる自分の方が特殊なのだと確かめる。

 本当に幽霊に準ずる存在なら、イアルとは何も話すことはできない。


「……何か、伝えましょうか」

『いいさ、変に希望を持たせるのも酷だろ。あいつからすりゃ、二度死ぬことになっちまう。お前の頭がおかしくなったと思われるかもな。だから、お前もあんまペラペラ喋んなよ』


 手をプラプラと振って、出入り口の方へ消えていく。

 扉を開閉する音も聞こえなかったから、通り抜けでもしたのだろうか。


『フランスの方は俺と嬢ちゃんに任せとけ。じゃあな』


 最後に、そう聞こえた。

 エイグの通信のように、ゼライドとのつながりが断たれたような感覚。

 ちょうど、シャウティアのチカが消えた時に似ていた。


(……俺はいいのかよ)


 イナにとっても、あの霊のゼライドが消えれば、二度死ぬようなものだ。

 ただ――恨まれていないとわかっただけでも、彼の死をネガティブに思う気持ちは薄れていた。

 ゼライドにとっては、そちらの方が大事だと判断したのかもしれない。

 そう思えば、彼を責めることはできなかった。


 イナは再びベッドに倒れこみ、天井を仰ぐ。

 これからの方針も決めていないままだった。

 シオンといつ戦うのか、あの黒龍の襲来するタイミングも不明だ。


 とりあえず朝食でも撮ろうかと、体を起こしなおして食堂に向かおうかと思ったところ。

 シャウティアのAIから、連絡が入った。


《Riseから通信要請》

(ライ、ズ……だ、誰だ?)


 疑似人格AIの代わりを果たしていたチカが消えたことで、初期設定に戻ったということは把握していたが。

 それよりも、聞き覚えのない名前に首をかしげていた。


《アンサー、アーキスタ・ライルフィードの搭乗するシップタイプです》

(シップ……戦艦? アーキスタさん?)


 イナがこの世界に戻ってきてから行方をくらましていた、日本支部の司令。

 それが今になって、なぜエイグの通信機能で?

 しかも、戦艦型と言っている。

 情報量が多く混乱しそうだったが、とりあえず応答すべきだ。


『あー、つながったか? 久しぶりでよく分かってないんだが』

(……ミヅキです。アーキスタさんで合ってますか)

『ああ、間違いない。黙って消えたまんまですまんな』

(どうなってるんですか)

『俺、ちょくちょく政府と密談してるんだけどな。こないだ行った時下手なことしないようにって捕らえられてたんだわ。まあ俺が居なくても大体回るし、大人しくしてたんだが……』


 まさか、処分されそうに?

 この通信の唐突さもあってそんな考えがよぎったが、どうも違うようだ。


『こないだの戦闘を見て、政府側もいくらか諦めがついたらしい。というかあんなんがホイホイ来るくらいなら、よそでやってくれってよ』


 大げさなことを考えていた自分が馬鹿らしく思えるような内容だった。

 イナはため息をついて調子を取り戻す。


(……そりゃ、国のこと考えたら嫌でしょうけど)


 そんなことを言っている場合ではないと言いたいが、それくらいしか言えることがないのだろうし、気持ちが分からないでもない。

 イナとて、仮にも日本人であるのだから、故郷と同じ国を荒らすのは本意ではない。

 ――知らない国の知らない土地ならいいということでもないが。


『他の奴にもざっと連絡は取った。次の相手は君が狙いなんだろ? 囮役としても俺のエイグで動き回るのが良いと思ったんだが』


 確かに戦艦型エイグは巨大だ。だが、シャウティアを運ぶだけにしては大げさな気がする。


(戦艦型って、武装ってなんかあるんですか)

『ん? 口径と用途が様々なレールガン、あとミサイルがまあ、それなり。お前らの戦闘に加われるようなもんじゃないのはわかるけどな』


 テュポーンズの戦艦型エイグも同様の武装――とは、考えにくい。

 おそらく旗艦であろうから、お得意の光線銃の一つくらいは備えているだろう。そう思えば、艦隊戦のアテにはしがたい。

 アーキスタを盾にするなど以ての外だ。


(……気持ちだけもらっときます。今は、ミュウを支えてあげた方がいいと思います)

『なんてことはないとは言ってたがな。強がる時期だもんなあ』


 余り印象に残っている記憶ではなかったが、従兄妹の関係にあったはずだ。

 ミュウもほかに身寄りがいる様子ではなかったし、それで自棄になっている風でもあった。


『まあ、わかった。ただ、長距離移動が必要なら手を貸す。幸いどこも壊れてなさそうだしな』

(……どこにあるんですか、あんなデカいの)


 少なくとも、日本支部でそんなものを見かけた覚えはない。

 地下に隠すにしても、そんなスペースを用意するのは容易ではないはずだ。


『うん? 海の中』

(は……?)

『海の中だよ。日本の近くに落ちてたヤツをかっぱらわれるのを嫌ったズィーク司令の命令で、やむなく俺が契約したまま無用の長物』


 そんなものをなぜ今まで――と思わないでもなかったが、司令という立場もあるだろうし、日本周辺で戦闘が起こっていなかったゆえに、持ち出す必要もなかったのだろう。

 存在が露呈すれば、戦闘を起こす理由にはなりそうだったが。

 そもそも、戦艦型の持つアドバンテージがこの世界において大して存在していない。

 精々、この間のように、巨大なものを運べる巨大・大容量の輸送機くらいの役割しか持てなさそうだ。

 少なくともイナが知る限りでは海を越えた移動があまりなく、それぞれの国で活動するPLACEが活かせるようなものではなさそうだ。


『じゃあ、もうしばらく日本支部は留守にする。そっちは任せるから、隊員は好きに使ってくれていい』

(俺じゃ持て余しますよ……)

『指揮しろとは言ってないだろ。じゃあ、またな』


 そうして通信は切られ、再びイナは一人になる。


(……任されまくりだな)


 ふと感じたが、振り返ってみれば今までもそうだった。

 相変わらず重荷に感じる。しかし、今は少し違って受け止めることができていた。


 イナは、託されている。

 親しい者の喪失を経て、そして喪失したものとのやりとりを経て。

 彼らの思いを無駄にしないために戦いたいと、思うようになっていた。


 それがうまくいく保証はない。不安もある。

 これから、シャウティアの修復という大仕事も待っている筈だ。

 シオンを倒しても、ファイドとの戦い、iaとの接触も控えている。

 それらすべてが終わったとて――続いていくであろうこの世界の行き先に、少なくとも関わっていくことになるはずだ。


 ――未来のこと考えて暗くなっても仕方ないだろ? 不安があるのはわかるけどさ。


 自分がチカに宛てた言葉を思い出す。

 今の自分が過去の自分に諭されるのも変な気分だが。


 進まねばならない。

 進んだ先にしか、望んだ結末は得られそうにないからだ。


 決意新たに、イナはまず、食欲を満たすことにした。

 チカのことも気になったが、あんなことがあった後だ。

 なんと声をかければ良いのかわからないのも正直なところだが。

 意外とシャウティアのチカの消失を受け止められた自分と、仮にも自分を失った彼女の考えを図れるはずもない。

 いま、死者と会話していたというのも大きいかもしれないが。


(……一緒にいた方が、いいのかな)


 異性と付き合った経験などない。

 それどころか、先程調子に乗っていたことを考えていたが、付き合っていると明言されたわけでもない。

 図々しいし烏滸がましいのではないか。そんな不安が頭を満たしていく。

 馬鹿馬鹿しいが、ゼライドの死に苦悩していた時に比べればマシだ。


 そして――そんなイナの足踏みを止めるのは、彼女だ。


「イナ」


 ノック音ののち、出入り口の前から聞きなれた声が届く。

 少し不気味なくらいのタイミング。

 けれど、イナにはちょうどいい。


 イナは緊張しながら、扉を開けて彼女を迎える。

 表情には、寂しさが滲んでいるように見えた。

 ――これを一人にしようとしてたのか?

 心の内の責めるような声も相まって、イナは罪悪感に襲われる。


「……い、一緒に、食べる、か?」


 緊張しながら、答えを手探りで探すように言葉を並べ、ついでに手を差し伸べる。

 するとチカは、どこか安心した微笑を浮かべ――


「うんっ」


 その手を、取るのだった。





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