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5 捜索せよ

ヴァレリア王国

国王執務室は重い空気に包まれていた。


「セレスティーナは、まだ見つからんのか」


「ヴェルディア大公殿下の騎士団が見失って以降、行方がわかりませぬ」


「魔法師団の探索魔法はどうなっている」


「我が国内には痕跡はないと」


「王妃よ、そなたの魔法でも見つからぬか」


「陛下、私の五色魔法では、セレスティーナの七色魔法を見つける事はできませんでした。それよりもわたくしは、あの小娘を、イザベラ・プシューをこの王城から追い出したいのです。悔しくて」


「待て王妃よ、そなたの気持ちもわからぬではない、だが、そもそも色仕掛けに乗ったのは愚息である。あの阿呆らは部屋に閉じ込めておけば良い。してブライトン侯爵、首尾はどうなっている」


「まずは、王太子殿下とイザベラ・プシューは、王太子殿下の私室にて軟禁。魔法師団長の監禁魔法で外にはでられませぬ。プシュー侯爵家は蟄居、国外脱出を防ぐために騎士団が屋敷を包囲中」


国王が頷く。


ブライトン侯爵が続ける。

「我が娘セレスティーナからは何の連絡もなく。持たせてある護身用の指輪と短剣が、探索魔法に引っかからず。国外に出てしまったかと」


「アルベルトの方はどうだ」


「魔法通信で定期的に連絡が入りますが、弟君のヴェルディア大公殿下も苦戦しておられるご様子。第二公子殿下がダスニア王国ヒムシャム地方へ赴いているらしく、身動きがつかないそうです」



ヴェルディア公国

大公執務室は慌ただしく怒声が飛び交っていた。


「魔法探索の結果は」

「まだ、見つかっていません」

「探索を続けよ」


「大公殿下、急ぎご報告が」

「何だ、申せ」

「セレスティーナ様を迎えに行った騎士団からですが、三国緩衝地帯の古着屋で、セレスティーナ様がお召しになっていたドレスが見つかり、最初のヴァレリア王城の隠し通路近くで落とされた靴と、見つかったドレスの魔力残渣は同じだったそうです」


「セレスティーナ、さすがだな、王城から緩衝地帯まで転移したのか」


「そのようです。それと第二公子殿下も、同じ頃、緩衝地帯の冒険者ギルドに立ち寄っておられたようですが、すでに共の者とヒムシャムへ向かっておられるようです」


「そうか、では、ヒムシャムに向けて迎えの騎士を出せ。もし月涙草が採取できれば、妃と第一公子の命が助かる。少数精鋭でよい、急ぎ出立させよ」


「はっ」



ヴァレリア王国

国王執務室に一報が入る。


「陛下、大公殿下より、魔法通信が入りました」


「内容は」


「セレスティーナ・ブライトン侯爵令嬢のドレスが、三国緩衝地帯の古着屋で見つかったと。その後、古着を購入し、立ち去ったそうです」


魔法師団長が上奏する。

「では陛下、魔法師団の精鋭をダスニアに向かわせます」

「よろしい、ダスニアだけで良いか」


「はっ、こちらの魔法探索にかからない、弟君のヴェルディア大公殿下の探索にもかからない。であれば、三国緩衝地帯から動くとしたらダスニア王国に入るしか道がありません」


「何としても無事に連れ帰れ、ヴェルディア公国と協力するように」


「はっ、かしこまりました」



半年前

ヴァレリア国王とその弟アルベルト・ヴェルディア大公は、ブライトン侯爵に相談を持ちかけていた。


「ブライトン侯爵、セレスティーナをヴェルディアの第一公子に嫁がせるのはいかんか」


「陛下、おっしゃる意味が。娘は王太子殿下の正式な婚約者ですが、何か問題があるのでしょうか」


「王太子を廃嫡し、弟アルベルトの長男、ヴェルディア公国の第一公子をヴァレリアの王太子に据えるつもりだ。息子を王太子にしてみたが、執務はできず、思いつきで何かをやらかしては、セレスティーナが尻拭いをしてくれている。もう時間がないのだ、愚息よりもアルベルトの息子達の方が資質が高い」


「陛下……」


「私も兄上から聞いて驚いたのだが、ブライトン侯爵、どうだろうか」


「……第一公子殿下、第二公子殿下のお噂はこちらにも入ってきます。とても優秀とお聞きしております。もしかしたら、娘のセレスティーナにとってはその方が良いかも知れませんな」


「第一公子でも第二公子でも、どちらを王太子としても問題はない、第二公子の方が豪傑であるがな。せめてセレスティーナの希望も聞いてやりたいが」


「アルベルトにも、ブライトンにも世話をかけるが、いずれ折を見て廃嫡後、新しい王太子を立てる時にセレスティーナを迎えたい。七色魔法を持つ令嬢は、この国には一人しかおらぬ」


「承知いたしました。お受けいたします」



密約が交わされてから、水面下で準備は進められていたが、二ヶ月前に、ヴェルディア公国の公妃と第一公子が原因不明の病にかかった。


第二公子は特効薬を手に入れるべく密命を得て、共の者とヴェルディアを出発、半月ほど前に、三国緩衝地帯へ到着した。


時を同じくして、ヴァレリアの王太子が色仕掛けで道を踏み外していた。

あろうことか勝手に婚約破棄をし、婚約破棄をされたセレスティーナ・ブライトン侯爵令嬢は、身を守るために出奔した。



不定期更新ですが、できるだけ頑張って,更新していきます。


応援よろしくお願いします。澪

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