↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

2 逃げる



騎士たちがじわじわと私に近づく。

私の後ろは隠し通路の扉、もうこれ以上は後ろがない。


護身用の短剣を、自分の首に突きつける。

「これ以上近くに寄らないで、捕まる位ならここで命を絶ちます」


生きる可能性もあるとは思うけれど、殿下の寵愛を得たのはイザベラ。

彼女の陰湿な性格を考えると、死ぬならまだマシな方。

牢につながれ魔力を吸い取られ続けるか、イザベラの侍女になって踏みつけにされながら生き延びるか、そんなところしか思いつかない。


「セレスティーナ様、お待ちください」


「来ないで!」


騎士たちが怯んだ瞬間を狙って詠唱する。


《この世の理を示せ、森羅万象の世界より新しき扉を開け》


七色の光が舞い魔法陣が起動し、私はどこかへ飛んだ。


「セレスティーナ様っ!」

騎士たちの最後の声は聞こえなかった。



王城、国王の私室


重厚な扉が四度叩かれた。


「緊急か、通せ」国王が手を上げた。

侍従長が開いた扉から差し出された銀盆を受け取る。


「大公閣下宛の文にございます」


「私に」

大公が文を受け取り読んで、大きなため息をつく。


「ブライトン侯爵、読め」


ブライトン侯爵が文を読む。

「あの早とちり娘が」


「何があった」


「陛下、娘が逃げました」


「隠し通路であろう?」


「隠し通路を出て、すぐに転移魔法を使ったようです」


「兄上、これは我が騎士団の失態。すぐに追手を」


侍従長もう一つ大きな銀盆を差し出す。

「これが残されたそうです」


「愚娘が今朝履いておりました靴にございます」

侯爵が頭を抱える。


「前もって説明しておくべきであったな、我々の失態だ、侯爵、気を揉まれるな、こちらで必ず保護するゆえ」


「大公殿には、お詫びのしようが」


「構わぬ、では、差配がある故、私は先に失礼する。兄上、あとは手筈通りに」


「うむ、ご苦労であった」



ドスン!いたたたた。

転移魔法は上手く作動したけれど、ここはどこかしら。


周りを見回すと、街外れらしかった。


「そこのお嬢さん、大丈夫かい?」

「?」

振り向くと冒険者達がこちらを見ている。

女性が三人、男性が二人、身なりも装備もしっかりしているわ。


「あの、変な輩に絡まれて、共のものと逸れてしまいました。迎えを呼ぶにも、この格好では目立つのでどうしたものかと」


「あんた手持ちはあるのかい」


「このドレスを売りたいのですが」


「それなら、良い店知ってる、ついといで」


冒険者パーティに助けられて、古着屋へ連れて行ってもらえた。

そこの女将さんが見繕ってくれて庶民風になったとは思うのだけれど。


「あんた、いいとこの娘さんだね、よく逃げ切れたもんだよ」

「死ぬかと思いました」

「よく無事で、あれ、靴も無いのかい」

「片方が脱げてしまって」

「可哀想に、街で履く靴は、こんな綺麗じゃないけど」

「なんでもいいです、歩きやすければ」

「んじゃ、これがいいね」


そしてお着替えが済み、ドレスも買い取ってくれた。

この装束を買ってもお金はたくさん余った。

店の女将さんが、お金や短剣を入れるマジックポーチを勧めてくれたので、それを買ってお父様からいただいた指輪もそこに収納。


店を出ると、ここに連れて来てくれたみんなが待っていてくれた。


「似合ってるよ、その衣装」

「そうでしょうか」

「まさに聖女様か白魔導士だね」


そう、女将さんが揃えてくれたのは聖女風。

露出が少ないように、長いローブにフード付きで編み上げ靴だった。


「ねえ、あんたさ、私達と一緒に行かない?」

「えっ?」

「お供と逸れたんじゃなくて、逃げてきたんじゃないかって、みんなで話したんだけど」


バレてた。


「嘘ついて申し訳ございません」

「いや、きっと貴族のお嬢様とかで、逃げてきたんだろ」

「イヤらしいクソ爺さんの後妻とかか」

クソ爺さんではありませんが、クソ王太子です。

私は黙って頷いた。


「ご迷惑にならないでしょうか」

「あたしらは大丈夫さ。これでもAランクだからね」

「行くあてがないなら、どこか落ち着けるところを見つけるまででもいいからさ、あんたほんとに一人じゃ危ないよ」

「ありがとうございます」


はい、皆様のおっしゃる通りですわ。

ここから一人で生きて行くなんて、どうしたって今の私には無理な話。有り難く同行させてもらう事にした。


「では、お言葉に甘えさせてください」

「うん!じゃあ、決まり!」


その夜、宿屋で、私はみんなの名前を知った。

私は「ティナ」と名乗った。


「で、ティナ、魔法は何か使えるの」

リーダーのブリタが聞いてくる。


「ええ、森羅万象の」

「ええっ!転移魔法?あの、この世の理を示せ!って詠唱するやつ」

リリカが驚いている。


「はい、その、()()、でございます。それと少し治癒魔法を」

「これはこれは!まさに聖女様じゃん」

大袈裟におどろいてくれたのはファニーだった。


男性達とはあんまり話してないけれど、二人は剣士で、ジェドとパックと名乗った。

剣士というより騎士崩れなのかな?結構、所作がしっかりしていたけれど、詮索無用。こちらだって、これ以上は詮索されてはまずい。


そして私は、冒険者パーティに拾われて、一緒について行くことになったけど。

これからどうなるの?


不定期更新ですが、できるだけ頑張って,更新していきます。

応援よろしくお願いします。澪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。