第七話:群青の檻
静まり返った音楽室。
床には砕けたガラス片が散らばり、薄暗い空間の奥に、一人の少年が膝を抱えていた。
「もう、何も聞こえなくていい……」
そう呟いた彼——少年の名は咲人。中学一年生、幼少の頃の事故で両親を亡くし、音楽に心を救われていた。
だが、今はその音楽すらも、彼を癒さない。
彼にいったい何があったのだろうか…………。
「ここの気配、ただ事じゃない」
学校に足を踏み入れた輝夜は、微かな揺らぎに眉をひそめる。影の気配に混じって、何かが沈みきったような、静謐すぎる空気。
「完全に心を閉ざしてる……。感情の音がまるでしない。」
音を喪った空間。教室の窓をすり抜け、群青の霧のような影が蠢いていた。
咲人の周囲を取り囲む影。それは囁きというよりも、静寂に沈む呪いのような存在だった。
『聞かなければ、傷つかない。見なければ、壊れない』
咲人の耳元で繰り返す悪夢の言葉。それは彼の心に寄り添うふりをしながら、じわじわと意識を染め上げていく悪鬼だ。
「僕の音楽は、誰も聴いてくれない……もう、いらないんだ」
その時、影の壁を断ち切るように、一閃が響いた。
「それでも、君の旋律は……届くんだよ!」
輝夜が踏み込む。彼女の声が、音の無い空間に鋭く響いた。
「咲人! それを選んだのは、本当に君自身か!?」
影が唸りを上げて姿を変える。咲人の心象そのもの、破壊されたバイオリンの形をとった悪鬼が出現する!
輝夜が前に出ようとした瞬間、背後から符が飛ぶ。
「ったく、突っ込む前に俺も呼べっつーの!」
満流が現れ、影の軌道を断ち、輝夜に援護を送る。
「咲人、お前の音はまだ消えちゃいない。ほら、耳を澄ませてみろ!」
満流も咲人に声を掛ける。
そして-微かに、輝夜の刀が奏でるような音を放つ。
それは…咲人がかつて母に聞かせた、あの子守歌の旋律だった。
咲人の目に、微かな光が宿る。
「……覚えてる、その旋律……。」
彼の胸から漏れ出す小さな音が、悪鬼の影を砕いていく。
すかさず輝夜が悪鬼の影にとどめを刺し、空間は再び音を取り戻した。
「ありがとう……僕、もう一度、音楽を……。」
咲人の涙と共に、微かな音が広がっていく。
輝夜と満流は無言で頷き、背を向けた。
その背中に、少年の震える声が届く。
「……また、会える?」
「もちろん。影が囁くなら、私たちが斬る。」
——群青の檻は、静かに崩れていった。
ご覧下さりありがとうございました。AIノベルです。いつもの作品と読み比べて頂くと面白いかもしれません。




