第十八話:哀しみを食む影
崩れたビルの屋上、沈む夕日が街を橙色に染める。風が吹き抜け、影を伸ばしたその場所に、満流と輝夜は立っていた。
「ここで最後の目撃情報があった。例の“影を喰らう鬼”だ」
満流の手には式符。すでに張られた結界が周囲を静かに包んでいる。輝夜は無言でうなずく。空気が重い。視界の端で何かが蠢く気配がした。
「……来る!!」
暗がりから現れた〝それ〟は、かつて人であった気配を残す異形だった。肩幅ほどもある巨大な顔、どこか泣いているような歪んだ目。その姿に、輝夜が小さく息を呑んだ。
「これは……“感情”を………喰っている?」
かすかに聴こえる呻き声。言葉ではないが、叫びのような、誰かの心がちぎれる音。
「哀しみ……か、」
満流が呟いたと同時、鬼が突進してきた。数本に分かれた腕のような影が、空間を裂いて襲いかかる。
輝夜は刀を抜き、影をはらいながら叫ぶ。
「あなた……誰の“悲しみ”を抱えてるの⁉」
─────だが、鬼は言葉に応えない。刹那、輝夜の肩を影がかすめ、体が浮くように吹き飛ばされる。
バ──────────ン!!!
「輝夜っ!」
「───────ッウッ!!」
満流の叫びと共に、彼の式符が爆ぜた。光の柱が鬼の身体を貫く。だが、それでも鬼は倒れず、苦悶するような唸りをあげた。
「まだ……残ってる。食べきれてない、感情が……」
輝夜が立ち上がり、心を澄ます。鬼の周囲から漏れる“誰か”の記憶。母の声、子の泣き声、失われた日常。
〝この鬼……家族の哀しみを、喰らってる〟
輝夜の瞳は悲痛な輝きを放っていた。
「ごめんね……でも、もう終わりにしよう」
一歩、また一歩。剣先がまっすぐ鬼を指す。
「“一閃・断罪”」
風が鳴いた。斬撃が鬼の中心を穿ち、哀しみが散った。
いつも以上の戦慄を放ちながら…凄まじい光だった!
直後、鬼の体が崩れ始める。影が煙のようにほどけていく。その中から、小さな白い花が落ちた。
「……これは?」
「記憶の、残り……かもな」
満流が拾い、そっと掌で包む。沈みゆく陽の光が二人を照らした。
「哀しみは、消えない。でも……誰かが、それを背負えば、前に進める」
輝夜の目に、一筋の涙が光った。
ご覧下さりありがとうございました。AIノベルです。いつもの作品と読み比べて頂くと面白いかもしれません。




