表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】刻の檻刀ーKAGEGIRI-<AIノベル版>  作者: 慧依琉:えいる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/23

第十七話:音のない慟哭



月明かりに照らされた街の片隅。人気のない公園のブランコが、風もないのに微かに揺れていた。




 その音すらない静寂の中、灯織は一人、ピアノの前に座っていた。演奏会用のホールではない。廃校の音楽室。埃をかぶったピアノの蓋を、彼女はそっと開いた。




「ここなら、誰にも聴かれないから……」




 彼女の指が鍵盤に触れた瞬間




 音は、出なかった。




 いや、音は確かに響いていた。だが、灯織の心には何も残らなかった。どれほど正確に鍵盤を押さえても、旋律は空虚で、意味を持たない。




(あの日から……音が、私の中で死んだまま……)





 幼き頃、初めてピアノに触れた日のことを思い出す。小さな指で押した音が、母の微笑みと共に心に染み込んでいった。だが今、母も音も、遠い記憶の底に沈んでいる。




 廃校の窓越しに、満流の姿が見えた。




「灯織!」




 走ってきた満流が、息を切らして扉を開ける。




「探したよ……ずっと。どこに行ったのかと思って……」




「どうして来たの? 私の音なんて、もう誰にも…」




「君の音は、確かに届いた。俺には、届いたよ!」




 灯織の目が大きく見開かれた。




「君の演奏を聴いた時、胸がぎゅっと締めつけられた。苦しくて、でも、すごくあたたかかった。だから……もう一度、聴かせてほしい。あの日の音を、君自身の音を!」




 彼女の手が再び鍵盤に触れる。今度は震えながらも、確かに音が鳴った。






 ぎこちない旋律。それでも、音は命を取り戻しつつあった。






「……怖いよ。また裏切られるかもしれない。大切にしたものが、壊れるのが怖い」






そんな灯織の言葉に、仕草に…、満流は静かに灯織の隣に座る。




「だったら、一緒に怖がればいい。一人じゃないって、それだけで救われることもある。」




 その言葉に、灯織の目から音のない涙が流れた。




 ───────それは、確かに「慟哭」だった。けれど、もう独りのものではなかった。




 窓の外、闇の中に立つ影が一つ。月明かりに照らされ、鋭く光る瞳。




 鬼の気配が、また静かに彼らの背後に忍び寄っていた。





ご覧下さりありがとうございました。AIノベルです。いつもの作品と読み比べて頂くと面白いかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ