第十六話:灰色の共犯者ーすれ違う正義、壊れる友情
月明かりが割れた窓から差し込む廃工場。朽ちた鉄骨の隙間を風が鳴き渡り、埃と静寂が空間を満たしていた。
「ここか……」
水野が足を止めた。
彼の視線の先、半ば崩れた扉の奥に、小さくうずくまる人影があった。教師・白井だった。過去に地味な生徒を必要以上に叱責して生徒を追い詰めていた事があったが、輝夜達に救われたひとのひとりだ。
手足は荒縄で縛られ、虚ろな瞳のまま動かない。
「白井先生!」
満流が駆け寄ろうとするのを、輝夜が手で制した。
「待って。結界……微かに鬼気が残ってる。けど、これは……」
「違う」
水野が断言した。
「これは“人”の仕業だ。操鬼じゃない。もっと、直接的で、歪んだやり方だ」
そのとき、重い足音が響く。錆びた階段の上から、ひとりの男が降りてきた。
戸倉——水野の旧友であり、かつて共に理想を語り合った教員だった。
「よう、水野。来てくれると思ってたよ」
「戸倉……お前がやったのか?」
「俺が?いや……俺は“守った”だけだ。生徒を、現場を、教育をな」
戸倉の目には、かつての穏やかさはなかった。その眼差しは、真っ直ぐにして、どこか壊れていた。
「正義のために手を汚すってのは、こういうことなんだよ、水野。綺麗事だけじゃ、生徒は守れない。あの女…白井が、何人の心を壊したか、わかってるのか?」
「それでも!教師が手を出していい領域じゃない!」
水野の叫びが、廃墟にこだまする。
満流は息を呑み、輝夜の横顔を見上げた。彼女は黙ったまま、刀の柄に手をかける。
「貴方がどんな想いで動いていたとしても、それで誰かの心を壊したのなら……私は、止める。」
ひゅう、と風が吹き抜ける。
次の瞬間、鋼と鋼がぶつかり合う音が響いた。輝夜の刃と、戸倉の持つ鉄棒が火花を散らす。
戦いの中、水野の叫びが届く。
「戸倉!間違ってるって、気づいてくれ……!俺たちは、同じ目標を見てたはずだろ!」
だが、返事はなかった。
やがて、輝夜の一撃が戸倉を打ち倒した。
──────────沈黙。
やがて、倒れた戸倉の胸が静かに上下しているのを確認し、水野がホッと肩を落とす。
「……壊れちまったのか。信じたものも、友達も」
満流が呟く。
輝夜は黙って刀を収めた。
暫くの間に沈黙が広がるが 、輝夜がポツリと呟いた。
「正しさは人によって違う。でも、それを理由に人を傷つけていい理由にはならない。」
その言葉には怒りや悲しみが入り交じっていた。
誰もが傷を負った夜だった───────
けれど、それでも歩みを止めるわけにはいかない。彼らはそれぞれの「正義」を問いながら、次なる戦いへと歩き出す。
ご覧下さりありがとうございました。AIノベルです。いつもの作品と読み比べて頂くと面白いかもしれません。




