Chapter1-9
「鼓膜、破けるかと思った__」
ムイトは涙目で耳を押さえる。
しかしそれよりも重症な生徒がそこに転がっていた。
黄土色の尖った三角の獣耳にそれとは対照的な漆黒の髪。そんな彼も美形だ。
そして彼は声にならないうめき声をあげながら、その三角のモフ耳を鷲掴みにして震えていた。
(可哀想に、自業自得だ。)
ムイトはそう思いながら、地面に寝そべる彼を支えながら起こす。
「あの、大丈夫ですか?」
そう聞くと、自分の足で立ち上がった彼はぶっきらぼうに、言う。
「大丈夫な訳ないでしょ。あの小さな体のどこからあんなクソデカボイスが出てくる訳?」
ムイトは思った。
(ケモ耳男子なのに、全っ然萌えがない)
すると、ツクモがムイトの頬をペシペシ叩きながら
「なんだト!俺様に気配を消して近付いていきなり至近距離で話しかけてきたのはそっちダロ!自業自得ダゼ!!!」
と言った。
「待って、ツクモ、僕が二次被害受けてる。」
ムイトが真顔で言う。
すると、
「そうだよ。ボクたちと同じ新入生の彼も困ってるよ。」
と逆サイドから声がする。
声のした方を見ると、天使が立っていた。
「天使__?」
ムイトが思わずそう口にすると、その天使のように美しい彼は少し驚いたように
「ボクの正体を一瞬で見抜くなんて、凄いね。羽も、何も出していないのに」
と言う。
思わぬ結果を招いたムイトは少し焦りつつも、とりあえずにこりと笑って見せた。




