Chapter1-2
ムイトが「だんまり」を決め込んでいると、学院長は「まあ、いいです__」と話を続けた。
「記憶が欠落しているようなので、とりあえず、わたくしが説明して差し上げます。」
そう言って、学院長が話した内容は、ひたすら、ムイトには信じがたいものだった。
ここはムイトのような人間は存在せず、昼という概念もない、極めつけは、人外が支配する世界、
通称『ルーキス・オルトゥス』という世界であるということ。
こちらから干渉することはあっても、決して、人間界からこっちに勝手に往来することは出来ないという事。
そして、ムイトが今いるここは、その人外達の中でも選りすぐりのエリートしか通うことの許されない名門校『アウローラアカデミー』通称『TA』。
ただ、ここで、ムイトに一筋の希望の光が見えた気がした。
「こちらからは人間界に干渉することが可能なんですよね?でしたら元の世界に__」
そのムイトの言葉を学院長は遮った。
「そうして差し上げたいのは山々なのですが、どこの世界線から貴殿がいらっしゃったのか、そこが分からない事には、元の世界にお帰しすることが出来ません。」
そう言って、学院長が手を上にあげる。その瞬間、何もない空中に宇宙地図のようなものが映し出される。
どのような仕組みで何もないところにそれが映し出されているのか、それを考える余裕すらムイトには持てなかった。
その地図には無数の星のようなものが描いてある。
「これは?」
ムイトがそう聞くと、学院長はさらりと
「はい、現在存在する、人間界の数です。」
と言った。
「は?」
普通の反応である。
「このように、無数に存在するため、貴殿の世界線が正確に判明しなければ、帰しようがないのです。」
一筋の光は絶望に塗りつぶされた。
「こちらとしても、原因を早急に解明し解決する必要があります。貴殿の帰還を支援いたしましょう。」
しかし、酷く落ち込んでいるムイトに対して、優しく、ほほ笑みかけた。
「ありがとう、ございます。」
ムイトはそう力なく言った。




