Chapter1-1
「ここ、どこ?」
目を開けると、そこはゆきg__ではなく、見知らぬ部屋だった。
ムイトは、どこにでもいる極々普通の高校生だ。同年代の友達より少しマイペースで物事を客観視しがちな所はあるが、それ以外ごく普通の高校生だった、つい先ほどまでは__。
昨夜しっかり自室で眠りについたはずだが__?とムイトは記憶を遡る。
しかしどれだけ遡っても、なぜ今自分がこんな場所にいるか、答えは出なかった。
その時だった。背後から声をかけられたのは。
「おや、君は一体?」
振り返ると、そこには見知らぬ男が立っていた。
高貴そうな装飾があしらわれた服を着ている。
「誰、ですか?」
ムイトがそう問いかける。しかし男は、首をかしげる。
「はい、ここの学院長です。して、貴殿はなぜこのような所に?」
ムイトは初めて、言葉の趣旨が全く理解できない、といった現象に遭遇していた。
(学院長?ここはある種の学校?)
自分の置かれている立場がまるで分からない。そういったムイトの困惑の色に気付いたのか、学院長が口を開いた。
「ここは、あなたのような人間、が来れる場所では無いはず。どうやってここまで来たのですか?」
しかし、ムイトの頭の中はますますぐちゃぐちゃになった。
(人間が来れない?じゃあ、この人は、人じゃない?)
まるで、異世界物の小説の中に飛ばされたみたいだ、ムイトはそう思った。
「気付いたら、ここにいました。自分でも良くわかりません。あなたは人間じゃないんですか?」
ムイトが学院長にそう問いかけると、学院長は高笑いを上げたのち、
「恐れという感情が貴殿には無いのですか?」
と言った。
(ない__と言えば嘘になる)
だが、なにぶん、ムイトは今、思考がキャパオーバーしているため、酷く客観的にこの場面を捉えている。恐怖などの自己感情を抱く余裕すらもないのだ。




