↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影鬼砌ーKAGEONIMIKIRIー  作者: 弌黑流人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/23

第十二話 二つ名

談笑を挟みつつ階段を登りきり受付カウンターへ向かおうとしたその時、受付カウンターの奥が騒がしく動いた。


「彼は、彼は無事ですか!彼に、砌さんに会わせてください!」

「落ち着けホース。あいつは治療も済んでピンピンしている。そろそろこっちに戻ってくると思うぜ」


起き抜けに取り乱したホースをギルド長バーンズが冷静になだめている。

受付カウンターについた砌が受付のニーナに声をかける。


「悪いんだが、俺は無事だと伝えてくれないか?それと、ランク確定の更新を頼む」


砌はギルドカードを出して対応を求めた。意識は奥にいるだろうホースへと向けられている。

かなり動転しているようだが大丈夫なのかと案ずる。


受付嬢のニーナがギルドカードと登録版に情報を入力するため奥へと消えていった。すると、入れ替わりでホースが受付カウンターの横を通り過ぎ砌の前へと出てきた。彼も治療が済み左肩を動かすのに支障はないようだ。


「砌さん、すまなかった! この通りだ、伏してお詫びする!」


深々と頭を下げて微動だにしないホースに周りにいた冒険者たちに注目されだした。


「いやいや、謝らねえでくれよ。さっきのはいい勝負だった。おかげでAランクにもなれたしな」

「……無意識とはいえ、あの禁術を人に対して行使してしまうとは……、一歩間違えば砌さん、あなたを殺していたかもしれない! ……本当に申し訳なかった! それと、生きていてくれたことに感謝する!」

「わかったから、ほら、頭をあげてくれよ。な?」


こういうことに慣れていない砌はあたふたしながらホースの謝辞を受け入れたのだった。

その砌の後ろで、菫と火鍼は微笑ましい表情を浮かべていた。


「何はともあれ、このギルドに新たなAランク冒険者が誕生した。で、ホース、どうするよ?」


バーンズがホースに何かを確認するように話を振る。


「はい。決まりです。今年の、私の推薦枠は彼以外にいません。Aランク冒険者砌を、同じくAランクギルド職員ホースがSランク査定昇級クエストへの挑戦者として推薦致します!」

「わかった。俺も砌を推薦する。拒否権はないが、いいよな砌?」


突然の流れに周りが困惑する中、当の砌は平然とした表情で疑問を投げかける。


「推薦てことは確定じゃあないんだろ? 確定したときにでも、また知らせてくれよ」


その言葉を聞いたギルド長は唖然とした。なぜならそれは、砌がこれからの目標と掲げたばかりの相手だからである。


「確かに。それもそうだな。推薦は二人以上だが、実績も問われる。いくつかクエストをこなしてもらう必要もある。ふむ、時間の猶予もあることだし、決まり次第ってことでこの話はここまでだ。俺は有識者に話を通してくるから留守は頼んだぜマイルズ」


バーンズに名前を呼ばれた男はいつからそこにいたのか、カウンター奥の職員が出入りする入り口の前にいた。マイルズはまったく存在を感じさせなかった。


「ええ、任せてください」


ひと言返事をすると上階の執務室へと消えていった。


「なあ、ホース。あんた気を失ったあとの記憶はあるのかい?」

「いや、ない……、それがどうかしたか?」


砌からの不意の質問に困惑するホースは質問の意図を探そうとしたが、確信を得るものはなかった。


「いやなに、あの怒りは気絶させられた俺に対するものというよりも、何か強大なものに対して発せられているように感じたから、気になってな」

「それは……2年前、私はドラゴン討伐のパーティメンバーの一人だった……。結果だけ言えばドラゴンは討伐できた。……だが、私以外の仲間はその時全員竜に倒され、私は怒りで正気を失い、気がついた頃には竜の首を落としていた。……今回のように意識を失くした状態でだ。ギルド長が止めに入ってくれたとはいえ、君が生きていたことに私は心底安堵したよ」


ホースは真っ直ぐに砌を見つめ素直な気持ちを吐露していた。


「なるほど。砌さんは厄災と言われる竜と同格と?」

「そうね。そういうことよね? ということは、新たな二つ名は『厄災』で決まりですね!」

「『災厄の砌』。かっこいいですぅ!」


菫と火鍼があらぬ方向へ盛り上がりを見せたので止めようとした。したのだが、ホースとニーナが「それはいい」と言い出したものだから、砌は「すでに二つ名はあるんだ」と全力で却下を主張するしかなかった。


「影鬼っていう俺にふさわしい二つ名があんだよ!勝手に変えようとするな!」

「かっこいいと思うんですけどねぇ……災厄の砌」


残念そうに言う菫に、火鍼やニーナ、それにホースまでもが落胆に同調している。


「ったく、クエスト受けるんじゃなかったのか? それと、武器屋と服屋に連れってくれよ。いつまでもこれじゃあ心もとないしな」

「そうでした! クエストを受注したら買物に行きましょう!」


火鍼が目星をつけていたであろうクエスト用紙を壁から剥がしてニーナのいる受付カウンターに置く。


「ニーナさん、この依頼を、この三人で受けます」

ニーナが内容を確認する。

「南の湿地帯に生息する双頭のギガントタートル。討伐最低人数はBランク以上が3名。受領いたします。それでは無事の帰還と討伐達成報告をお待ちしております」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。