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ウラニス戦記  作者: 7s9
第二章 入隊編

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6/7

対B級最上位者戦

第11話




クラル

(ヒュラの性格や戦闘を通して見られる人物像は、意思系か電磁系と親和性が高い。

ヒュラは全系統の力が潜在的に備わっている?

ヒュラが、ザンの言う’選ばれし者’………?

それとも、ただのエラーか?

だとしたら、なぜヒュラだけ?

ただの偶然なのか?)



3回の測定の結果は、

レンジが4~5.5、適合系統が意志系よりの重系

であった。


ナーク

「やっぱりただのエラーなのか?

念のため、最後にもう一度だけ測ってくれ」


ヒュラが測定し直す。


クラル (私の考えすぎだろうか?)


レンジ5,重系


ナーク

「さっきと同じ結果だな。

まあ初めの2回はちょっとした誤作動だろう。

そもそも重系能力者が戦闘員選抜試験に来ること自体、かなり珍しいからな」


ヒュラが計測器を台に戻す。

台は壁の向こうに移動していった。



ヒュラ

「さっきのはなんだったんだ?」



「以上で第2試験を終えます。第3試験に移ります」




ナーク

「今朝戦ったっていう、人型の戦闘系統と能力はわかるかい?

さっき言ってたハドラリアーの方が正確っていうのも」


ヒュラがナークに戦闘の詳細と人型の能力について見たことを説明する。


ヒュラ

「系統はたぶん電磁系と壊系です。

奴ら、ステレオの情報収集とか言ってました。

僕がD級って知っているようで、壊系の奴が電磁系と何か喋ってました。

それから、電磁系の方が木の枝のドリルみたいな攻撃を送ってきました。

避けても追跡してくるから槍で突き落としたら、系統図が出てきました。

木の葉が重系の方に集まって、奴らは僕を危険なしと判断したようで、退却しました」



ナーク

「おもしろい。

これなら上層部も喜びそうだな。

人型のそういう会話を聞けるなんて珍しい。

そいつらは下っ端の偵察隊だろうな」


ヒュラ達は第3試験を行う部屋に着いた。

半径300mの円で、第1試験の部屋より小さい。


全員が、武装を始めた。


ナークが(電)声を発した。

右足に薄い物体を取り付けていた。

ふらついていた。

「これで3tとか信じられないな。

(まあ、遠心力がほぼ働かない極付近に行けば、この星の重力じゃ僕の体重くらいになるか。にしても) 動きにくい! 

武装したら体が軽く感じるはずなのに!

(まるで右足だけ武装せずに海にでも浸かってるようだな。)

(独り言終わり)

よしっ。じゃあ早く始めよう」



*重力の説明

この星では重力が異常に強い(褐色矮星だから)が、赤道付近は遠心力が強く、地球重力の50倍程度に抑えられている。ウラニスの民は身長が人間よりかなり低く、重量のスケールは体の大きさの3乗に比例するので、問題ない。(身体能力が人間の5〜10倍は高いのが正常値だと仮定している)。



アナウンス

それでは、第3試験を始めます。


ナーク

「そういえば、僕はさっき、君たちの適合系統とレンジを見てしまっているな」




ナークは上層部に、新人から今年の優秀者と特殊な戦闘員を選定するように言われていた。

後に彼はヒュラ達の戦闘指導教育係に任命されるのだが……。




全員が武装して、戦闘体制に入る。

ナークはアームの剣を右手に構えている。


マラルが間髪入れずに爆弾を取り出してナークに投げつける。


ナーク 

「ルーム2 チャージ リフレクト」

ナークは足かせの付いた右足で地面を勢いよく蹴り飛ばして高く飛んだ。


ネラ(ルーム2 ?)


ナーク

「C級ステレオにはルームの区別なかったの、忘れてた。

ルームはB級以上になれば、アーム補助用のルーム1と、ターム補助用のルーム2 に細分化されるんだ。

もちろん、機能も少し拡充されるよ」


クラル

(空中で無防備な敵。これはチャンスなのか?)


ナーク

(あれっ?みんな用心深いな。わざわざ飛んであげたのに]

「君たちに僕の能力とフィールドのレンジを教えてあげよう。

意味ないと思うけど。

僕は壊系でレンジ8~13の第2世代。

独自ステートは画一場。

無差別なフィールド操作が可能だ」



ヒュラ 

「僕よりは戦闘面で恵まれてるな」


クラル 

「B級上位ではむしろ不遇な方だ。

レンジは確かに大きいが、訓練などで後天的に拡張可能だ。

先天的に恵まれてるわけではなさそうだ」


ナーク

「そう思うでしょ?実際そうなんだけど」



マラルは爆弾を再びナークの方へ投げ上げた。


マラル

「どういうことだ?爆発しない」

ネラが銃を構えて磁力を帯びさせていた。狙いを定めて発射した。

それは、ナークの頭に的中するように思えた。


ヒル

「伏せろ!」


皆が伏せた直後、マラルの爆弾が大暴走して、遅れて爆発した。

それも、ナークが飛ばしたフィールドの形状に沿って、無差別に方向を転換しながら、火の粉を飛ばしていた。


サマンダー

「どうして今の攻撃がわかったの?

壊系で、あんな技を使えるなんて信じられない」


ヒル

「予知より明らかだったぞ。

逆に、同じ壊系のお前がなぜ気づかなかった?」


サマンダーは、見えなくなっていた。

「気づくも何も、私には関係ない」








サマンダーがステルスを使いながら、落下中のナークの身体にフィールドをぶつけようとした。

ネラが再び銃を連射する。


サマンダーはこの間、ほとんどダメージなしである。

その代わり、他者にもダメージを一切与えられない。これがステルスである。

ただし、相手が、例えば、ネラがサマンダーを知覚した瞬間、ステルスは効果を失う。 


ナークは、素早くネラの弾を交わしていた。あまりの速さに、誰も攻撃しかねていた。

また、間合いを近づけることもできなかった。


ネラは、電磁系で、クラルとアレンも電磁系であることを知っていた。

彼らは空間中に配置した荷電粒子や磁気を利用した戦闘が可能である。

したがって、ネラのこの攻撃は、攻撃と同時にナークを、地形戦と数の勝負でねじ伏せる戦いに持ち込むための手札作りでもあった。


ナークが、剣を銃弾にぶつけた。

ごく僅かの時間の内に、銃弾が4等分に切り刻まれ、プロペラのように四方へ弾き飛ばされた。

そして、辺りに散っている磁気銃弾を引きづりながら、電気を飛ばし始めた。

砲弾が台風のように渦を巻いて、ネラたちの方へ送り込まれた。

ナークのフィールドが纏わり付いている。

防御は強力な攻撃へ転じたのだ。


ネラは、メレピン体の左上半身のほとんどを失い、身体中に擦り傷を作った。

大量のニューオンが身体中から流出している。

「シールドをしていなければ間違いなく戦闘不能になるところだった」


マラルも擦り傷を幾らか作る。

サマンダーは、無傷だが腰を抜かしていた。

(嘘でしょ?何よ今の攻撃!

こんなのに勝てるわけないじゃない!)




ヒル

「あまり気負うな。

俺たちはあいつに傷を付けさえすれば勝ちだ。

あいつは壊系で、フィールドを直接的に利用する系統だ。

自分のフィールドの範囲なら、敵のステートを、防御と同時に自分の力のように利用できるんだろう」



ナーク

「そうだよ。よくわかったね。

じゃあ、なぜこんなチート技が平凡な第2世代か、わかる?」




ケラが亜音速で強化したフィールドを纏い、渾身の蹴りをナークに入れようとする。




ナークがフィールドを集中させて、ケラの蹴りをバリアした。静止しながらにして、ほとんど同等の力で、ケラを弾き返した。

ケラの右足に傷ができ、ニューオンが流出した。


C級9人の士気が弱まり、この一瞬のうちに、半ば絶望的な雰囲気が会場を包んだ。


ザン

「ヒルの言葉通りの能力なら、勝ち目はないって事か?」



ナーク

(あれほどの力をぶつけながら、押し返される寸前で引き気味の体勢になってダメージを最小化するとは。

相当な鍛錬を積んだんだろうな。)


ヒルが隙を窺いながら、フェイントを交えた複雑な軌跡を描くサテライトをナークに撃ち続けた。


ナークは、ヒルのサテライトにかなりのフィールドを割り当てながら、大幅に意識を削がれていた。

ヒルは、周囲に気を配りながら、ナークの防御攻撃に対応していた。


すかさず、立て直して距離を詰めたケラが、果敢にナークに立ち向かう。





ナークは、ヒルのサテライトに能力で対応した。

それと同時に、ケラを交わし続けた。

なお、ヒュラは、ナークの足止めの錘や周辺に重力場を作り続け、後方援助を行っていた。


ナークとヒル、ケラは激しく攻防し合う。

攻撃と移動速度はネゲント系のケラがかなり速い。

ヒルのサテライトの援助もあり、前半はケラが攻め重視で優勢に見えた。

しかし、攻防の切り替わりと反応速度、動きの無駄のなさの点で、ナークの方が上手であった。

そして、ナークのフィールドにケラが疲れを感じ始める。


ケラ

(なんなの、この空間。これが彼のフィールド?

まるで深海みたい)



クラル

「いや、この能力の脅威は実質、フィールドの操作性のみ。

速度、威力、集中度、フィールドの密度、精度ともに自分の方が格上で、かつ学習済みの攻撃に限り、弾き返される」


ネラ

「ナークのフィールドに余裕を持たせなければ良い。

或いは、不意打ちで、判断の隙を与えない技でも良い。

複数種類の同時攻撃や、トラップとかも有効だろう」


徐々にケラが受け身になっていく。


ヒュラが重力場操作でケラを援護しつつ、隙を窺っていた。

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