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アルカナの戦慄  作者: 三古谷
第七章 『That person is sinner』
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『召喚者』

『けど何より求めていたような……、ヒカリ?』

見えもしない緋い目と、確かに目が合った。

憎まれてるような、欲されているような、奪われるような目と。


「ヒース!!!」

アリスさんのヒースさんへ向けた言葉に、私も我に返り、平静を取り繕った。


「―強制返還!―」

再び陣は輝き、強制というわりにエルさんは自ら陣へ向かい、消えていった。


私は密かに、息を殺して、緊張していた。


礼人にはもう随分前にバレてしまってるから良い。

けど、他の隊の皆にも…、まして目の前の人達にバレるのは…流石に不味いのでは。

「ヒカリ…?

 お前の知り合いか?」

永徳のその言葉は私に向けられていたけど、返答に困った。


いや、いや、嘘を吐かねばならない状況なのは解る。

けど知り合いなんてものじゃ、誤魔化せない。

悪魔に知り合いなんているはずないし……、そもそも私の光の力を指してたのかも。


だって、“視える目”じゃない限り、属性なんて解らないはずだ。


するとアリスさんが吹き出して

「ははっ!

 エルの知り合いか。

 もしそれなら食事にでも招待しなければな。」

永徳は苛ついて、ヒースさんは嗜めるために睨み付けた。


アリスさんは尚も笑って、言葉を続けた。

「いやいや、すまない。

 その可能性はゼロではないがな。

 単純に、君達の力を光と表現したんだろう。

 エルは特に敏感だからなぁ…」


『暗に俺を鈍感と言ってるか?

 エルを出しても平気とは言ってないぞ。』

ガレスさんのはそう言うと、ヒヒーンと…多分鼻で笑った。

多分。

何となくイラッと、もしくはキュンとしそうな動作だけど、アリスさんは何故か大真面目にそれもそうか…。と言った。


「いや、それよりも次はニカの番だ!

 ニカはこの隊どころか、この国一の召喚士だ!」

そうデカデカと宣言したアリスさん。


その後ろで、ヴェロニカさんはふぁ…と欠伸をした。

「…?

 ああ、そっか。おいでセリシア。」

先程の二人とは全く違う…、呪文っぽさが欠片もない。

私達のなかにも、能力を使うときに名にも唱えずにする人はいるけど…、こんな風に気軽にやる人は大抵にして…


『ヴァァァァァァア!!!!』


めっちゃ強い人。


「はぁ?!

 ドラゴン?!!」


「スゴい!白龍だ!」

礼人とフレッドさん、いやというか、ほぼ全員が何らかの声をあげた。


そりゃあ、そうだ。

上空から私達の10倍はあろうかという、大きなドラゴンが飛んできたのだから!


そりゃあ、声だってあげる!

感嘆でも恐怖でも殺意でも、いや、殺意?!

友姫さんと、天莉愛さん勇猛果敢過ぎるよ!!


『……?

 ………。』

言語とも、鳴き声ともつかない…何かの音のような、言うなれば聴こえもしない超音波を肌で感じた。

多分それがドラゴンの言葉らしく、それを出しながら、ドラゴンはヴェロニカさんに頭を擦り付けた。

ヴェロニカさんはそれを撫でて

「うん、そう。

 だから別に帰りたかったら良いよ。」


『………』


「私じゃなくて、アリスが呼んでって言ったの

 うん、ただの自慢。」

ドラゴンの発する音すら聞こえないけど、ヴェロニカさんとの会話から何となくドラゴン…じゃなくてセシリアさんの言わんとすることは解った。

何となくだけど。


「自慢もするだろう。

 アリスは自分の部下、大好きだからな」

見知らぬその声に、私は思わず両手で顔を隠して、深い深い溜め息を突いた。


もちろん頭の中でだけど。

だって声を聞いただけで解りますよ。

というか、まあまあ偉いはずのアリスさんに対しタメ口を使い、かつこの状況で来る威厳ありげな人なんて


「ダッド!」

私がその人を見つめる前に、ヴェロニカさんが嬉しそうな顔でその人の方に走っていった。

この国のトップのバーネット・ジリアンさんでしょうよ。


え、ダッド?!

子持ちだったんですか?!


あ、考えてる場合じゃない。

読まないで…、読まないで…。

って言うかもう手遅れじゃない?いつから居たのさ?


バーネットさんはヴェロニカさんを自然に抱き上げ、その視線を合わせた。

「ヴェロニカ。

 セシリアは還さなくて平気なのか?」


「平気よ。

 喚び還す方が大変だわ。

 ねぇ!それより、今日は一緒に帰れる?

 またお菓子を作るから一緒に食べましょう?」

ヴェロニカさんの只でさえ、くりくりの瞳がキラッキラしている。


私達の対応と比べるまでもなく、そしてアリスさんやヒースさんとも、てんで違う。

満面の笑みだし、ほっぺはちょっと赤いし、やけに饒舌だし。


…………恋しちゃったねますかっと?


いや、マスカットってなんの話だ。

そうじゃなくて、ヴェロニカさんとバーネットさん名字違うし…、明らかに顔も違うし…、心なしかバーネットさんも満更じゃ…


私がそう思うや否や、耐えかねたようにバーネットさんが此方に振り向いた。

割りと必死そうな形相で。

「いや、違うから?!

 恐ろしい事を考えるな君は…」


何だろうか、この既視感は……。


心を読まれたなんて初めての経験のはずなのに、礼人のせいで驚けない。

ホント、礼人が異常なんだよね。うん。

カルディアじゃないにしろ、そういう系統の特殊能力持ってたところで驚かないよ、私は。

むしろ納得しちゃうわ。


「…人生長生きしてみるものだな。

 同類とも理解ともまた別の変人が出てくるとは。」


そう言いながら、恐らく礼人の方を見ようとしたバーネットさんの顔は、その腕に抱かれる少女に阻まれる。

「今、レディのこと変人って言った?」

小さな両手でバッチリと捕まれているバーネットさんの首辺りから、若干の汗が見える。

二人の横顔が両方見えて、端からだと大変微笑ましいと言うか


仮にもアンゲルス一国のトップが幼女に冷や汗かいてる(笑)

惚れた弱味と言うやつですね。解ります。


「君らホント煩いよ?!

 えっ、礼人くんロリコンなの?

 瀧くんと陽灯ちゃんも同類疑惑とか

 イーサンは実はショタコンとか、どう言うこと??」


待って舞って侍って本当にどう言うこと!?


うちの隊どうなってる?!!

私と瀧さんがロリコンって誰が言った?!否定はしないけど!

いや、イーサンショタコンなの?!何処情報?!


あ、礼人は事実だから良いです。


「……全会一致で礼人くんはロリコンなんだね

 幼女をはべら…?

 あ………」

バーネットさんが何かを察してしまったようだ。

そうです。

うちの隊の幼女二人は礼人が独占しています。

ってか、全会一致ってことは心結さんも伊菜褒さんもそう言ったんだね。


正直吹き出しそうなので止めて欲しい。

「ちっげっっっ

 おっまえら、最初に否定しただろうが?!

 誰だ言ったの!!

 怒るから手挙げろ!!」


「ぷっ…んふふふ……っ」

思わず吹き出してしまったじゃない…んふふ


「よぉしお前だな!」


「ちがうふふふふっ」

違う違う。ホントに言い出しっぺは私じゃな…ふふっ

「笑うんじゃねぇよ!!

 お前ら俺のハートの壊れやすさ嘗めんなよ!」

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