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アルカナの戦慄  作者: 三古谷
第七章 『That person is sinner』
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『ここにいる理由』

「はぁ?

 隊長が休みだからって

 “私”まで休みってどーゆーこと?!」


「一応、僕も居るんだけどな…」

怒れる友姫と、うちひしがれる苑。

そしてそれを冷めた目で見る俺。

いや、俺は別にどっちでも良いんだけど…。


師匠は今過労により絶賛強制休み中。

一人で居りゃ一瞬で倒れそうな質だろうが、瀧さんやイーサン、不服だが礼人も居るんだから、大丈夫だろうと踏んでたが…。

こう言う事もあるんだなぁ……。

ま、師匠もこれに懲りてくれるんなら良いが。


その辺、華綾と似てるし、やっぱり違うんだな、とも思う。


「隊長が倒れるのは、女の子だからしょうがないよ。

 でも、それで私まで休みになるのは納得いかないよ!

 私は戦える。」

…何か刺のある言い方だな。

いや、本人に自覚はないんだろうが、女の子だからって…、お前もじゃねぇかとめっちゃ思う。

うちの母さんは父さんよりもずっと強いぞ。

父さんも格好いいけど。

あと華綾も格好いいし、咲耶も強いし、輝泰もしっかりしてる。


「どっか別の班に入れてくれたら良いじゃないか!

 何でそんな融通が効かないんだ?!」

師匠の休みにより、同じ班の友姫と苑も必然的に休みになる。

苑は普通に納得して、後でお見舞い行こうかな~?とか花咲かせてたが、友姫はこの通りご立腹だ。

ガキかよ。


それを瀧さんとイーサンが宥めてる状況だ。

ほんとガキか。

あと、礼人はふらふらと危うそうな足取りでどっか行った。あの人も勝手だよな。

そして俺と天莉愛が、それを傍観している。


っていうか

「何でお前いんの?」

ふと沸いた疑問も口から溢れた。

何故か何故か、同級生で少し前まで一般人だったはずのコイツまでアンゲルス隊員になっていた。

しかも何故か同じ隊で。

微妙にやりずれぇわ


「今更すぎるよね

 流石に同じ隊になるのはホントに予想外だから。

 言っとくけど、華綾とは関係ないからね。

 あの子は絶対自力で全部解決させるって信じてる。

 …と、僕は思ってる。から。」

天莉愛の言葉に、俺はちょっと笑った。

そう言うところがやりづらいんだ。

思ってるから。ってのは言外に、だからアンタが助けようとする事を否定する訳じゃないと言ってるんだ。

自分は自分、人は人。

他がどうだろうが良くも悪くもないから勝手にしてよ、と言うその姿勢。

俺はまあまあ好きだ。


そうこう話てるうちにも、瀧さんが中々の困り顔で友姫を宥めようと奮闘している。

やっぱ限度はあるんだよな。うん。

「友姫ちゃん、チームワークも乱れるし

 規則だから仕方ないんだよ」


「知ってるよ!

 でも規則なら礼人班かイーサン班に入れるでしょ!?」

二人の言う規則ってのはアンゲルスのルール。

基本、一人の班長につき隊員は三人まで。

特例でS級は上限が消え、個々の判断に任される。

まあ、戦争で班長が死んだときくらいしか使わないな。

だから無いも同然。

神夜おば…ちゃん…が、そうそう表に出てくるわけがない。

帆凪おばちゃんとかなら別だけどな。


んで、友姫の理論でいけば、確かに入れる。

礼人班とイーサン班は隊員人数に一人空きがあるから。

「うーん?

 狙撃部の子なら、何とかなるかもネ。

 風護くんも綾雅くんも勘が良いカラ」

その言葉に、俺は思わずどや顔をしてしまって、慌てて横を見たが、何故か天莉愛までどや顔をしていた。


…あ、何か知らんが風護さんのことが好きなんだったか?

え、まさかそれが理由?

別に良いけど、程々にしろよ…?

あの人、明らかに一般人じゃないし。


「じ、じゃあ、礼人班!」

イーサンは妥協案を出してくれたが、残念?なことに友姫は普通部。

逆立ちしても狙撃はできない。

というか、班の一員として、こんなハッチャケ野郎に来られたら困る。

苑なら良いけど。


友姫と俺交換して、苑と俺と師匠のチームとか出来ないかなぁ。

……いや、友姫を扱えるのなんて師匠ぐらいか。


「断る。」


断固とした、友姫並みにワガマ…自由そうな声を出して入ってきたのは礼人だ。

何か顔ってか目元赤いぞ、どうした。

さては泣いたな。

くっ…オレが守れなかった…!的なキモい涙流したな乙女。

お前が居ようが居まいが師匠は24時間倒れる準備バッチリだっつぅの。


「な…、何でだよ!

 規則に違反してない!」

さながら殴りかかるように突っ掛かってきた友姫を、礼人は涼しいムカつく顔で避けた。

目元赤いけど(笑)


「愛本が倒れたのはオレの管理不足だ。

 それは申し訳ない。

 だが、だからと言って、うちの班にお前は入れられない。

 解ってないだろうが、この世界は今でも戦々恐々。

 戦争の真っ最中だ。

 子供のワガママが曲がり通るほど、マトモな世界じゃない。」

正しくド正論だな。

最近人が死んでないからって忘れてる人も多いが、ほんの数年前まではゴロゴロ人が死んで、その戦争はまだ終わってないんだ。

今はĀryaのシステムを誰もが使ってるから良いものの、何時いつ何時なんどき誰がめても不思議じゃない。


その抑止力の一つが、うちの母さんって言う、俺の不思議な立場よ。


「だ…からこそ!

 そう、少しでも戦力があれば!」


「まだ解らないのか

 その戦力に、お前がならないって言ってるんだよ。

 愛本くらいの腕がなきゃ、お前みたいなの扱えるか」

それは暗に自分の統率能力のなさを言ったな。

友姫はそれどころじゃなくて気づいてないが。

まあ、その通りだ。

師匠くらい人身掌握に長けてなきゃ、独り善がりな友姫は邪魔にしかならない。

苑は戦力になるけど。


その点、永徳を弟子にしてる礼人さんもかなりの腕と思うが、友姫とは根本的に合わないんだろうな。

言ってる内容は全部正論だがな。


だが、が付く。


礼人、お前にしては言葉のチョイスが雑だ。

余裕無さすぎだろ。


「言い過ぎじゃないですか、澤田さん。」


ほぉら、友姫姫(プリンセス)苑騎士(ナイト)がやって来る。

まるで俺を見てるみたいだ。

違うのは、姫が弱いのと、騎士が弱いふりしてるとこだな。

いや、別に演技じゃないのか。

姫のためなら頑張れる~!ってだけ。


気持ちはよく解る。

俺だって本来なら24時間寝てたいのに、何故かこんなにキビキビ生きてる。

愛するかぞくのため苦でもない。


「…そうだな、言い過ぎた。

 悪かった。」

礼人のそう言うとこ、わりと好きだぞ。

自分の非を認めてちゃんと頭下げるとこ。

誰にでも真似できることじゃない。

俺なら絶対、友姫をしばき倒す。もしくは最初から無視する。


「…っ!」

悔しげな顔で友姫が何処かに行きたがるが、苑がそれを許さない。

手をガッチリ掴んでやがる。

…そっちのナイトはプリンセスに甘くはないんだな……。

友姫、ちょっと涙目だぞ。


苑は友姫に視線を合わせるように少しかがんだ。

友姫の迫力と苑の気弱さで勘違いし勝ちだが、実は苑の方がノッポだ。

友姫もそこそこな身長あるんだけどな。

「友姫ちゃん。

 礼人さんの言うことはもっともだよ。

 班長の陽灯さんが倒れてしまっている今、僕らは戦えない。

 ねぇ、友姫ちゃん。

 ちゃんと考えよう。

 戦う以外で、僕らが出来ることはないかな?」

やっぱ苑はすげぇマトモだわ。

いや、何を持ってマトモかって話だけどよ。


どっちにしても、友姫のイヤイヤ期は自分達が陽灯を看病、監視、護衛するということで収まった。

兄貴面すんな死ねとは言ってたけど。苑に。


苑、やっぱり良いなぁ……

ちょっとイーサン班来てくれねぇかな。

うちの班、マトモな奴が誰一人として居ねぇんだよなぁ。俺含め。

何か全員言ってることはマトモだがら、突っ込みは居ても、しょうがない。

だから、突っ込み役じゃなくて、軌道修正してくれる人が欲しい…。


イーサンは論外だし。

風護さんは出来る癖に無視するし。

あの人、満逢おばさんと同じ匂いがするからコエーんだよな。


俺いつからマトモな人間になったんだよ…、はぁ、怠けたい…。


とか祈ってたのに海外遠征留学はもうすぐ側…ってか、師匠の休みが終わって速攻行くことになった。

つまり、任務が言われてから1週間と少しでもう海外に。

パスポートとかホントどうなってんの?


はぁぁぁぁ、怠けたい…!









『好きだ。』


『付き合って欲しい』

ストーカー一号こと、ミハヤさんからそんな連絡と言うか…告白?が来たのは私が謹慎して四日目の事だった。


「…はえ???」

その後、どんなやり取りをしたのか覚えてない…いや、履歴は残ってるから確かめることはできるのだけど、気恥ずかしいので数年後くらいにしか見れないと思う。

勘違いではなく、ミハヤさんは恋愛的な意味で付き合って欲しいと言ってるらしい、のですけれどもですよ。

私が思うに、雛鳥が最初に見た人を親と思うように、不安なときにたまたま私が居ただけだと思うんだけど…。

思うんだけど…。


やっぱり

「なんで?!」

しかない。

何で私に、その…告白などと言うことをしてきたの……?

何で今??

何であえて、その関係なの?!

親友で良いじゃない!!

恥ずかしいわ!!


これは…これはもう断ったら気まずくなって二度と一緒に遊べないルートじゃないですか……。

また将棋もしたいしスイーツも食べに行きたいのに!?


いやいやいやいや、待って、それよりも重要なことがある。


恋愛的な『好き』とは何ぞや?!

恋愛とはなに??

恋人とは何をするの??

愛だ恋だとは何なのでしょうか…????

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