それから
時が流れた。
その流れていった時の中には、特別任務と呼ばれる争奪戦があり、それはあっという間に幕を閉じた。
『信じて』と言ったものの、私は『その物体』を手に入れることはできなかった。
手に入れたのは、カナだった。
いや、正確に言えば未来から来たカナ。
それを手に入れた未来を見てきた者が手にとり、そして彼女は『一つしかない物』を破壊した。
その物体を手にした星は破滅を向かえたと言う。
未来から来た彼女は、バラバラになったそれを目にして、狂ったように笑っていた。
星々が喉から手が出るほどほしがっていた物は、最後まで残忍を生む物体でしかなかったのだ。
「………」
それを失い、真実を目の当たりにした尭見さんの精神状態が悪化した。
でも、もう彼女は孤独でなはかった。
私がいる。洵がいる。カナがいる。
私たちは自分の星を捨て彼女の側を離れない事を誓った。
もう、この大地は凍えてはいない。雪は取り除かれて。春が来る。
私達は、それから解放されたのだから。
それから
私たちは尭実さんと共に、この星を離れることにした。
『その物体』が消えてしまったのだから、腹いせに襲ってくる連中が出てくるかもしれないし。
何よりも、悲しみが染み着いたこの地にいたくはなかった。
いつかは戻ってくるだろうけれども。今は…
「まあ、あんただけには伝えておくわね」
空港ロビーに着いてから、今の事を応見に携帯電話を使い突然の報告した。
「無防備な奴だ。明日の朝には、お前らの捜索命令がでるというのに」
返ってくる応見の声は赤い球体からではなく、振り返った先にいた。
「応見…」
「捜索命令は明日だが、監視命令は出ている。安心しろ、あくまで見ているだけだ」
連合側の手回しの良さに怖いものを感じたが。応見の言葉に不安を取り消した。
「応見…ごめん。期待に応えられなかった」
尭実さんたちから離れたところにいるので、私は素直に謝ることができた。
「未来か…未だに信じられないが。上には上がいるもんだな。まあ、粉々になってくれればいい。あの人に笑顔が戻ってくるならば」
ほっとする応見の笑顔に、私もにこっと笑みを浮かべた。
「そろそろ行くね」
「ああ。二度と、俺に会わないようにしろ。今度は味方としてではないだろうからな」
「…。二度とか」
『じゃあ、言っておくね』と言葉を放ってから…
私は、応見に抱きついた。
「ありがとう」
その言葉を耳元で伝えるため。嫌な奴だけれども、感謝の心はあるから。
「………」
離れた時、応見が無防備にさらけだした表情に、おもわず笑ってしまった。
「あははははっ。応見、その顔いい。鳩が豆でっぽうをくらったみたいで」
「…、殴られると思ったんだよ。ったく、さっさと行け」
私は、笑いながら走りだし。
仲間たちのところに戻った。
新たなるスタートを始めるため。
おわり