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俺、“なんで”消えた?〜幼き手は、俺に託された〜  作者: しろ兎
主婦から“平和な”転職できますか?-外伝 Episode I-
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xX-02 つぶらな瞳。

観測者

[目と目が合う瞬間好きだと気づいた。]

[カエルと見つめ合うってどうなんですかね?]

【20xx年 5月24日 午後0時35分】


ケージを、

見つめる風来人(ふゆと)


中には、

イエアメガエルが三匹。


風来人

「ご飯の時間ですよ〜」


じーと、

狙いを定める。


素早く、

舌を伸ばして食べた。


その中の一匹、

叫び声とともに吐き出した。


怪人

「グワッ!!マッズ!!」


風来人

「怪人みんなそれ言う」


怪人

「普通の飯くれよ」


風来人

「えー逃げない?」


怪人

「……」


風来人

「知らな〜い」


怪人

「空腹です。逃げません。誓います」


風来人

「ジィー!!昼飯ある!?」


おじいちゃん

「お前のはない!」

「いい加減、自分でやれ!!」


風来人

「お前のはあるらしい」


怪人

「え…俺の?」


風来人

「こいつ腹減ったって」


おじいちゃん

「わかってるわい!」

「お前、いいから手伝え!!」


風来人

「ちょっと行ってくる」

「仲良くしててね」


その場を、

離れて行った。


怪人

「…」


一匹、

小さく鳴く。


――ケロッ


怪人

「お前オスか…」


一匹、

首を傾げる。



◇◆◇


メンズアパレルショップ。


店内には、

流行を取り入れた衣服や小物が並んでいる。


和装な店員。

爽やかな笑顔。


女性客が多い中、

一人の男性客が来店した。


店員

「いらっしゃいませ〜」


「「しゃいませ〜」」


元気な、

掛け声が、

店内へ広がる。


男性客

「あの……すみません」


戸惑いながら、

店員へ話しかける。


店員

「はい。なにかお探しでしょうか?」


男性客

「人を…ちょっと……」


店員

「……」


黙り込む店員。

俯く客。


男性客は、

店員の顔を、

覗き込むように見た。


男性客

「あの…」


店員

「店長ご指名頂きましたあぁ!!」


「「「あざーす!!」」」


店員

「さあさあ、皆さんご覧あれ!!」

「登場していただきましょう!!」


「「「「てんちょー!!!」」」」


トットトトト…


階段を下る音が響く。


風来人

「お呼びか〜い」


女性客

「キャーー!!!」


女性客が、

レジ前に殺到する。


店員の様子に、

首を傾げる風来人。


風来人

「どったの?」


店員に、

肩をガッと、

掴まれる男性客。


男性客

「!?」


店員

「王子様!お姫様がご指名です!」


風来人

「……ん?」


男性客に、

首を傾げた。


男性客

「あ…あなたは」


男性客は、

風来人の背後に、

居る人物に頭を下げた。


おじいちゃん

「入りなさい」


「お前も来い!」


風来人は、

頭を(はた)かれた。


風来人

「痛っ」


頭を擦りながら、

女性客へ、

手を振り&投げキッス。


女性客の、

歓喜の声が、

店内を満たす。


おじいちゃん

「ほれ、入れ」


男性客

「お邪魔します」


階段を上がる。


おじいちゃん

「案内せんかい」


風来人

「わかってるってば」

「こっちです」


風来人の、

自室へ案内した。


ケージが一つ、

テーブルに置かれていた。


男性客は、

不思議そうに、

ケージの正面に座る。


ケージの中の瞳と…


――目と目が合う。


じっ…


…じっ



怪人

「………なんでお前が居るんだよ」


男性客

「やっぱりな!お前だったか」

「そこで、なにやってるんだ」


怪人

「え…」


黙り込み、

見つめ合う。


風来人

「飯持ってきたぞ〜」


怪人

「おおっ!和食じゃね―か!」


ケージの、

ガラス面に貼り付く。


落ち着きなく、

ペタペタと登りだす。


風来人

「まだ、出すとは言ってないよ?」

「質問に答えてよ〜」


そんな、

やり取りを、

見ていた男性客。


呆れた表情で、

ため息をついた。


男性客

「お前……」

「なにしでかしたんだよ!」


怪人

「いや…別に…。大したことじゃないよ」


男性客

「これのどこが……」


ケージへ、

顔を近づける。


男性客

「正直に言え」


怪人

「嫁」


男性客

「は?」


風来人

「…」


怪人

「…嫁探してたんだよ!わりーか!」


風来人

「うん、駄目」


男性客

「え?」


風来人の、

真剣な眼差し。


風来人

「なんであの子なの」


怪人

「あの子は…」

「俺に優しくしてくれた」


風来人

「どこで…」

「どうやって?」


ケージへ、

顔を近づけ首を傾げる。


二人の、

頭がケージを覆う。


その間から、

おじいちゃんも覗き込む。


おじいちゃん

「お前さん…どこかで見たことある…な……」


そっと、

眼鏡を掛け、

ケージへ近づく。


風来人

「ジィ知ってんの?」


おじいちゃん

「もしや…」


怪人

「あの時は、どうも…」



「「「………」」」


静寂。


俯く老人。


おじいちゃん

「バ…バカモーン!!」


荒い息と共に、

ケージを掴むおじいちゃん。


風来人

「待って!待って!」


男性客

「落ち着いて!」


男二人で、

おじいちゃんを抑え込む。


風来人

「座ろう、ね?座ろう」


おじいちゃんを、

落ち着かせ、

ゆっくりと、

畳へ座らせた。


風来人

「ねぇ…ジィ。なにがあったのか教えて」


激しく、

同意する男性客。


おじいちゃん

「お前から話せ!」


怪人へ、

指を差した。


怪人

「……えー」


男性客

「どうどうどう!」


再び、

おじいちゃんを落ち着かせる。


風来人

「話してくれたら〜」


味噌汁を近づける。


風来人

「ねぇ〜?」


怪人

「うぐっ…」


カエルの、

姿の怪人は、

小さく背を向けた。


怪人

「……俺は」


――回想。

[カンッ カンッ カンッ カンッ…]

[怪人「あっ」キックボードの車輪が線路の溝にハマった。]

[怪人「抜けないっ」周囲を見渡す。]

[カンッ カンッ カンッ カンッ…]

[怪人『人間怖い…でもここでこの姿を現したら…』]

[怪人『……どうしよう…電車が…』]

[キックボードをその場に残し線路内から逃げ出した。]


[老人「誰だ。あんな場所にキックボードを置いた奴は!」]

[怪人『え!?見えてんの?』]

[少女「おじいちゃん危ない!」]

[老人「こっちも危ない!轢いたらどうする!」]

[少女「おじいちゃんの方が危ない!」]

[プルルルル…と発車メロディが流れる。]

[怪人『駅に止まってる電車動いちゃうぞ』]

[老人「いまのうちじゃ!」]

[少女「おじいちゃん!!」]

[カンッ カンッ カンッ カンッ…]

[誰も緊急停止ボタンを押すものはいない。]

[怪人『なんで誰も止めないんだ』]

[少女「おじいちゃん!!早く!!」]

[老人「よっこらせ!」キックボードを回収。]

[老人「まったく危ない!」]

[少女「おじいちゃんも危なかったでしょうが!」]

[電車が通過する。]

[ガタンッゴトンッ…ガタッ…ゴトンッ…]


[怪人『お礼言わなきゃな…子どもに化けるか…』]

[怪人「おじーちゃん!ありがとうございます!」]

[老人「バカモン!あんなところ置いといたら大惨事…」]

[怒鳴られ、身を縮こませた。]

[少女「まぁまぁまぁ…」]

[嫁は老人と俺の間に入り、老人を押し離してくれた。]

[そして、嫁は俺に視線を合わせるように屈んだ。]

[少女「気をつけてね。大怪我しちゃうから」]

[怪人「ごめんなさい」俺は見惚れちまった。]

[嫁さんが「お利口さん」って俺の頭を撫でてくれたんだ。]

[思わず、笑みが溢れちまったよ。]


[二度と会えなくなると思って後追ったんだ。]

[怪人「ねぇ、待って〜!お姉ちゃん家に行きたい!」]

[少女「なんで?」]

[怪人「いいじゃん、行きたーい」]

[老人「前見て運転しろ。よそ見するな!」]

[怪人「ね〜ぇ」]

[老人「しつこい子だな…」]


怪人

「ああ…もう一回頭撫でてくれねーかな…」


風来人

「で?路地のは…」


怪人

「アレは…偶然っていうか…」

「嫁がBチャットに居たんだよ!」

「まさかの運命を感じたよ!」


風来人

「で…ストーカーしたと」


おじいちゃん

「なんだって!?」


ケージに、

向かって拳を上げた。


おじいちゃん

「一発殴らせろ!」


風来人

「駄目〜」

「ケロちゃんが怪我しちゃう。ジィもだよ」


怪人

「俺のことはいいのかよ」


風来人・男性客

「「うん」」


男性客

「殴られとけ、ストーカー」


怪人

「……ッ…」


三階から、

誰かが降りて来る。


「ちょっと出掛けて来る」


怪人

「うお!嫁〜!!」


おじいちゃん

「潰せ!」

「今すぐ潰せ!」


凛は、

おじいちゃんの、

憤怒の様子に首を傾げる。


風来人の、

部屋に入ってきた。


「どうしたの?」


おじいちゃん

「来るな!」


男性客

「彼女が……!?」


「美しい…」


「え…あ…ありがとうございます」


怪人

「おい!俺のもんだぞ!!」


おじいちゃん

「誰がお前のものだ!!」


「ねぇ、おにぃ」

「…おじいちゃん、なにに怒ってるの?」


風来人

「え?あ、これこれ」


視線を、

ケージに向けた。


「キャーー!!!」


思いっきり、

風来人の頬を平手打ち。


――パァンッ!


「カエル、キモ!!最低!!」


カエル、キモ!!最低!!…

  カエル、キモ!!最低!!…

    カエル、キモ!!最低!!…


失恋のこだまが、

怪人の脳裏に張り付いた。


凛は、

駆け足で、

階段を下って行った。


Next Time Hint

――アルコール。

観測者

[大失恋ですね。]

[ドンマイ、怪人。]

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