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俺、“なんで”消えた?〜幼き手は、俺に託された〜  作者: しろ兎
主婦から“平和な”転職できますか?-外伝 Episode I-
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12/18

xX-11 焼き立てクッキー。

観測者

[主婦転の外伝だと気づきました。]

昇降口。


「先生さようなら〜」


元気な児童の声が響く。


藤田(とうだ)

「直樹くん、いこ!」


大越

「うん」


靴を履いて立ち上がる。

少女へ駆け寄る。


相田

《楽しかったぜ!》

《直樹〜これがデートっていうんだぜ〜?》


直樹

〈ふーん〉


相田

《反応うっす!》


正門前。


北野先生

「さようならー」


大越

「さようなら」


藤田

「またね先生」


北野先生

「また明日」


藤田は手を振る。


藤田

「バイバーイ」


先生も手を振った。


通学路を歩く児童たち。


藤田

「ねえ!」


大越

「ん?なに?」


通路に人影。


???

「おやおや…デート?」


相田

《あいつは!》


大越

「王子様!」


風来人(ふゆと)

「よっ!」


藤田

「誰?知り合い?」


首を傾げる。

少女は天使へ視線を向けた。


直樹

〈え…?うん〉


天使は頷く。


相田

《完全にお前のことわかってるな、藤田さん》


直樹

〈僕のことわかってるみたい…〉


大越

「どうしたの?」


風来人

「学校で、なにか変なことなかった?」


背丈を合わせて屈む。


大越

「ここでは…」


風来人

「お家行っていい?」


少年は頷く。


風来人

「デートの邪魔してごめんね」


少女へ屈み直す。


藤田

「直樹くん。私もお家行ってもいい?」


少女は少年ではなく天使を見ていた。


大越

「え…」


直樹

〈いいよ〉


大越

「いいのかよ!」

「やべっ…」


少女へ視線を向けた。


藤田

「なんで隠すの?」


黙って聞いていた風来人。

少年少女の肩をポンッと優しく触れた。


風来人

「先行ってるね」


オートバイに乗りエンジンを蒸し去って行った。


相田

《気使われた…》


直樹

〈そうなの?〉


相田

《たぶんな…》


藤田

「さっきの人、カッコ良かったね」

「直樹くんって兄弟居たっけ?」


相田

《知らねー…》


直樹

〈居ないよ〉


大越

「居ない」


(いえ)来る?」

(いえ)の人怒らない?」


藤田

「行く!行きたい!!」

「大丈夫だよ」


「お菓子持って行くね!」


大越

「場所わかるの?」


藤田

「プリント渡しに行ったことあるよ?」

「あっ…直樹くんあの時…」

「お熱出してたから…覚えていないのか……」


「私行くね!」

「後でね!」


手を振って去って行った。


相田

《あの子、お前のこと好きだぞ…》


直樹

〈え?〉


歩き出す。

集合住宅のエントランス前。


年配のおばあちゃん方が群がってる。


相田

《嫌な予感しかしないんだが…》


直樹

〈お店でもしてるのかな?〉


邪魔にならない場所に、先程のオートバイ。


相田

《ああ……》


少年は呆れ顔。


大越

「おばちゃん」


反応無し。


大越

「おばちゃんたち!」


逆に追い払われた。


相田

《腹立つ…!!》


大越

「おい!ば……」


直樹

〈だめぇぇぇーー!!!〉


突風が少年の背後から吹き込む。


――キャッ


可愛く悲鳴を上げるおばあちゃんたち。


相田

《悪かったって!》

《てか………》

《なにがキャッだよ…クソ腹立つ》


風来人

「レディたち。小さな王子様が困ってるよ」


大越

「王子様じゃない…」


風来人

「カエルの王子様」


風来人にウインクされた。


大越

「トイレ行きたい。漏らすぞ」


おばあちゃん

「あらっ…ごめんねボク」


少年は大きくため息ついた。

おばあちゃん通りを通過した。


エレベーターのボタンを押す。


[ドアが開きます。]


――バッコン


大越

「王子」


風来人

「待って〜」


エレベーターへ乗り込んだ。

速攻で閉まるボタンを連打。


大越

「間一髪だったな」


風来人

「なかなか離してくれなくて困ってた」

「ありがとうね、ケロちゃん」


[ドアが開きます。]


――バッコン


風来人

「え…ええ!すごーい!」

「すごく景色いいね!」


大越

(ぼく)に言われても困る」


相田

《なぁ…なんで俺って言うとボクに変換されんだ?》


直樹

〈僕に聞かれても困る…〉



◇◆◇



――チリンッ


牛鈴(ぎゅうれい)()


玄関の鍵を開ける。

扉を開く。


風来人

「お邪魔しまーす」


二人は靴を脱ぐ。

風来人は礼儀正しく靴を揃える。


直樹

〈ケロちゃん靴揃えて〉


相田(直樹の姿)

「え?」

「めんどくせぇな」


直樹

〈駄目っ!〉


相田(直樹の姿)

「わかったよ」


靴を揃えた。


相田(直樹の姿)

「これで満足か?」


天使は頷く。


少年はリビングへ向かった。

その後ろを歩く風来人。


相田(直樹の姿)

「麦茶でいい?」


部屋にランドセルを置いた。


風来人

「うん!ありがとう」


ダイニングテーブルの前で立ち止まる。


相田(直樹の姿)

「好きなところ座ってよ」


冷蔵庫を開ける。


風来人

「お言葉に甘えて」


席に着いた。


テーブルにコップを置いた。

麦茶を注ぐ。


微笑んでいる風来人。


風来人

「ねぇケロちゃん。姿変われないの?」


相田(直樹の姿)

「そう言えば…試してね―や」


意識を集中した。


直樹

〈僕人間だよ〉


相田(直樹の姿)

「だよな…魂は怪人でも体は人間だ」

「……てことで無理だ」


風来人

「カエルちゃん可愛かったのになぁ」


相田(直樹の姿)

「そっちかよ」


眉をひそめ小さくため息。


――ピンポーン


風来人

「お姫様かな?」


少年は玄関へ駆けて行く。


藤田

「なおきく〜ん。藤田でーす」


鍵を開け、扉を押し開けた。

扉の向こうの少女は円満の笑み。


相田(直樹の姿)

「どうぞ」


藤田

「お邪魔します!」


「あっ!ママがね、これ!」


紙袋を渡された。

中には小箱。


少年は首を傾げる。


藤田

「帰ったらね!クッキー焼いてくれてたの!」

「出来立てだよ!」


すごく楽しそう。


相田

《可愛い子だな……》


直樹

〈うん……〉


少年と天使は見惚れてしまった。

ゆっくりリビングへ入る。


風来人

「ケロちゃん。ほっぺたが真っ赤な林檎ちゃんだよ〜」


相田(直樹の姿)

「や…やめろよ」


全身が熱くなった。


藤田

「こんにちは。さっき会ったばかりですが」


そう言い小さく笑った。


風来人

「こんにちは、フフッ。そうだね」


レディへ微笑む。


少女は席につく。


風来人

「君、怪人なんだね」


藤田

「すごい!どうしてわかったんですか?」


相田(直樹の姿)

「え……ええ!?」


直樹

〈ええ!?〉


大声で驚いた。


風来人

「ケロちゃん気づいてなかったの?」


相田(直樹の姿)

「気が張ってたもんで…」


少年は少女へ視線を向けた。


相田(直樹の姿)

「…み…味方なの?」


藤田

「味方って…なんの?」


相田(直樹の姿)

「聞き方変える…」


風来人

「カエルだけに?」


相田(直樹の姿)

「おい!」


風来人

「ごめんごめん」


藤田

「なんでカエルなの?」


二人同時

「「え…」」


風来人

「可愛いじゃん」


相田(直樹の姿)

「そうそう、可愛いから」


風来人の肩を揉む。


相田(直樹の姿)

「おいぃ…」


耳元で囁く。


風来人

「ごめん…」


小さくで囁いた。


相田(直樹の姿)

「ねえ、藤田さん」


藤田

「なあに?」


相田(直樹の姿)

「僕に話したいこと…あるんだろう?」


藤田

「うん」


表情が変わる。


藤田

「魔法使いにしてください!」


相田(直樹の姿)

「は!?」


風来人

「……ん?」


藤田

「魔法使いにしてください!」


憧れのきらめく瞳。


少年と風来人は目を合わせる。

目をぱちくり。


次の瞬間。


相田(直樹の姿)

「ハハハハ…」


少年はお腹を抱えて笑い出した。


風来人

「ん?」


相田(直樹の姿)

「ハハ…」


少年は次第に表情が変わった。


相田

《真彩の能力のことか?》


相田(直樹の姿)

「それ…なんで?」

「どうして?」


藤田

「直樹くんのママって異世界に行けるんでしょ?」

「魔法使いなんだよってママから聞いたの」


相田(直樹の姿)

「は?」


直樹

〈……ママが魔法使い?〉

〈…フフッハハハッ…〉


天使はお腹を抱えて笑い出した。


相田(直樹の姿)

「だってよ」


天使へ指を差した。


藤田

「ひどい!」


少女は頬を膨らました。

ご機嫌斜めだ。


直樹

〈だって!ママが魔法使ってるところ見たことないんだもん!〉


風来人

「ねえ、魔法ってTSIの能力のこと?」


藤田

「え?TSIってなんですか?」


相田(直樹の姿)

「話がこじれたじゃないか」

「もうっ…一旦ストップ!」


「王子。お前はなにしに来た」

「デートの邪魔か?」


少女の頬が少し赤くなった。


少年は咳払い。


風来人

「中山ちゃんがケロちゃんを護るって」

「だから、明日転校してくるからよろしくね〜」


相田(直樹の姿)

「それだけ?」


風来人

「宇佐美って怪人。ケロちゃんの学校の教員だって」

「気をつけてね〜」


「あとこれ」


テーブルにUSBケーブルとアダプタが置かれた。


「バッテリーなくて連絡できなかったんでしょ?」


相田(直樹の姿)

「ありがとう…連絡するタイミングがなかっただけだが」


風来人

「みんな心配してたよ〜」


相田(直樹の姿)

「…だろうな……」

(ぼく)は…死んだ」


突然、胸ぐらを掴まれた。


風来人

「子どもじゃなかったら殴ってた。二度とその言葉使うな!」


唾を呑んだ。


相田(直樹の姿)

「ご…ごめんなさい……」


胸ぐらから離す。


風来人

「ごめんね。見苦しいところ見せちゃって」


藤田

「いいえ。やっぱそこに居るのは…」


天使を見つめる。


「直樹くんなんだね」


「直樹くんの体の中の人は…誰ですか?」

「名前…教えてくれませんか?」


少年は息を呑んだ。


相田(直樹の姿)

「あ…相田 輝です」


藤田

「輝さん…」

「これからよろしくお願いします」


相田(直樹の姿)

「え…?」

「え?なにを?」


――チリン


牛鈴(ぎゅうれい)()

鍵を開ける(おと)


相田(直樹の姿)

「帰ってきた」


玄関が開く。


大地

「ただいまー」

「…お客さん?」


リビングへ入ってくる。


「いらっしゃ…い……」


風来人を見て固まる。


風来人

「お邪魔してます」

「直樹くんが心配できちゃいました!」


大地

「そういう事か…」


藤田

「お邪魔してます」

「同じクラスの藤田です」


少女は小さくお辞儀した。


大地

「いらっしゃい」


藤田

「私、そろそろ帰ります」


大地

「危ないから送るよ」


藤田

「いえ、大丈夫です。ね?」


風来人へ視線を向けた。


風来人

「え…あっ。俺に任せてください!」

「レディを送るのは俺の役目です」


「ケロ……直樹くんまたね!ケロケロ〜」


相田(直樹の姿)

「ケロケロ〜またね〜」


二人は全身に脂汗を滲ませた。

大地と少年は玄関で二人を見送った。


大地

「彼女かな?」


相田(直樹の姿)

「違うもん…」


リビングへ逃げて行った。

アダプタとUSBケーブルを回収した。


相田(直樹の姿)

「パパ…」


大地

「どうした?」


相田(直樹の姿)

「おかえり」


大地

「ただいま」


少年は大きなあくびをした。

天使は寝室から親子のやり取りをニコニコしながら見つめていた。


Next Time Hint

――牛鈴(ぎゅうれい)

観測者

[最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。]

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