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夢千夜  作者: 西野了
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黒曜石のトイレと横転するスポーツカー、そして水位が上昇しているクッキー工場

 「お客様、そこはトイレではございません」ホテルのボーイは丁寧に言った。なるほど、ボーイの指摘した場所はレストランから見えてしまうのだ。このトイレは広大で黒曜石が敷き詰められている。畑の畝のような凹凸があり、その凹んだところに向けて放尿するのだが、みんな気分よく大量に放尿している。さすが一流ホテルである。ふと見ると礼服を着た兄貴が設計士と何やら話している。兄貴は優しい性格だが不愛想なのだ。それに兄貴はチャラチャラした奴が嫌いである。だから不機嫌な顔をしている。

 僕は高校に戻り靴箱に置いてある鞄を取りに行った。途中でセーラー服を着たチャーミングな同級生に会う。一人は清楚な感じで、もう一人は健康的なボディで二人とも颯爽と歩いている。僕は友人のコバヤシの鞄を探したが見つからない。彼は自分のぺったんこの鞄を見つけてそれを手に持った。

 僕たち9人は交差点のところで6人は赤信号になる前に南向きの横断歩道を渡ったが、僕を含めてあと3人は渡れなかった。僕たち3人は西向きの横断歩道を渡ろうとした時に北の方からスポーツカーが凄い勢いで転がって来た。友達の1人がスポーツカーに轢かれそうになった子供を助けるために、その子の傍を走っている。そいつはスタジアムジャンパーを着ていて、火が付くと燃え上ってしまうのだ。刑事がスポーツカーの運転手に発砲して何とか無事に事件は解決した。子供を助けた友達のジャンパーには少し焦げたところがあったが、燃え上がらなかったようだ。

 僕は娘の大学の同窓会があることに気がついた。その会場で娘が記念品の入った紙袋を忘れたので、取りに行かなければならない。


 作業所のクッキー工場のガスコンロの隙間をどうして埋めるか僕たち三人で考えていた。聡明なオーナカさんは森林組合の間伐材が余っているので、それを有効利用したらいいと言った。僕はそれはいいアイデアだと頷いた。バスの運転手がヒノキが良いと言った。それからオーナカさんは「木綿豆腐の硬いやつも隙間にすっぽり入るよ」と付け加えた。僕は木綿豆腐は汚れて汚くなるから彼女の追加提案は嫌だなあと思った。だけど地面を覗くとかなり水が溜まっている。早くガスコンロの隙間を塞がないと水位はどんどん高くなっていく。今でも水位は30センチくらいあるのだから。僕は危うく地面に落ちそうになりスラックスの裾か少し濡れてしまった。あーあ・・・

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