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夢千夜  作者: 西野了
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彼女のママは自動車に乗せてくれなかったので、僕はバスに乗って寝転んだ

保育園に来て自転車が故障していることに気づいた。山道を30キロ以上走るので歩いて帰るのは辛い。付き合っている女の子のママがいて、ママの自動車で自転車屋さんまで連れていってくれるように頼んだ。だけど彼女のママは「堀江の方? そっちは行かないのよ」と断ったのだ。

 僕は仕方がないのでバスで自転車屋さんに行くことにした。たしか港の方に自転車屋さんがあったはずだ。修理を依頼するとめんどくさいので新車を買うことにした。

 バスを見つけると「宇和島市駅」の名前があった。このバスに乗り込むと運転手さんに「港の方に行きますか?」と訊こうとしたが、それを口に出すこと出来なかった。運転手さんは怖くて忙しそうだった。

 バス料金を準備しようと、がま口財布を見たが100円玉が見つからない。バスは海岸沿いを走っている。おそらく行先に間違いはない。そんなことを考えていたら床にお金を落としてしまった。53円である。50円玉1個と1円玉3個を無事拾うことができた。再びがま口財布を見ると100円玉が1個あったので僕は安心した。そして何故かとても疲れてしまってバスの床に寝転んでしまった。他の乗客の皆さんはちゃんと椅子に座っている。

 バスが目的地に着くと僕は商店街を歩いた、確かこの辺りに自転車屋さんはあったはずだ。商店街は以前よりも活気がある。今日は祭りの日だった。浴衣を着た女の子がちらほらいる。ここは港町だ。僕はここによく来るのだ。

 

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