京都駅からアパートに戻ると新聞配達のおばさんがやってきた
目覚めると京都駅に着いていた。近鉄の特急列車の1人用座席に座ったまま眠っていたのだ。僕は慌てて改札口に向かった。途中で荷物を座席に忘れたことを思い出し、列車にもどってそれを確保した。
僕の恰好はパジャマの上にコートを羽織っているだけだ。同じような格好の若い女の子もいた。彼女も外泊をしたのだろう。
隅の改札口では新人の職員が切符を切っていた。僕の切符は数か所の改札をフリーパスで通り抜けてきた。最後の改札では新人が切符とは違う文書に穴をあけたので、ちゃんとした切符に穴をあけてもらう。その改札では上司が新人に指導していたが、慣れない新人は足元に置いてあるストーブの調子が悪いと言っていた。
駅を出ると空はまっくらで凄い雨が降っていた。通勤途中の会社員たちが不安そうに空を見上げている。僕は今、働いていないので何だか後ろめたい気分だ。
アパートに帰ったのだが二階なので危うく滑り落ちそうになった。僕と同時に隣の青年と向かいの女の子もアパートにもどった。僕らのアパートは畳2畳の広さしかない。
僕はオレンジ色のプラスチックの新聞受けを開けると新聞が1部入っていた。すると新聞配達のおばさんがやってきた。彼女は今日の新聞を持ってきたのだ。
おばさんは昨日の衣山マラソンを沿道で観たと話した。僕はマラソンには興味がなかった。それからそのおばさんは宇和島の誰それさんはどうしているのかと訊いてきた。僕は宇和島の誰それさんはそのおばさんではないかと思った。昔、そのおばさんとは宇和島で会ったことがあるのだ。




