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夢千夜  作者: 西野了
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ジャイアンツの新人とタイガースの内野ノック

 決勝ホームランを打った奴はジャイアンツ期待の新人選手ではなかった。そいつはやたら頭が小さく顎が尖っていて長い。顔の形は逆三角形で帽子も似合っていなかった。それでも奴はこの試合のヒーローだった。第7号8号の連続ホームランを放ち勝利に大きく貢献した。原監督も嬉しそうに彼を称えている。

 

 タイガースの内野の守備練習は海岸で行われている。いや、正確には海の中でノックをするのだ。海の中といっても海中ではない。海面にベニア板のような板を敷き詰めて、その上でノックをする。その板は薄いクリーム色であまり広くない。

 守備についているのはファースト、サード、ショートだ。ショートはあの平田だ。1回目のノックは平田が上手く捌いた。しかい2回目のノックでは2遊間を抜かれてしまった。僕は慌ててボールを追い海の中に入った。得意のクロールで泳いでいるとボールが僕の胸の中に収まっていた。そして「この場所で守備練習をするのは、どうかな?」と少しだけ疑問に思うのだ。

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