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夢千夜  作者: 西野了
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午後5時45分、どこに行けばよい?

腕時計をみると午後5時45分だった。就業時刻は午後5時30分までなので、15分オーバーだ。俺は若手3人に「じゃあ、帰るわ」と言って部屋を出た。

 俺の愛車スバルR2に乗ろうとすると上司が声をかけてきた。

「悪いがこの2人を送ってくれないか」

 俺は断る理由もないので承諾した。Nは南方面、Mは東方面だったはずだ。

 俺は最初にどちらの家へ行こうか迷っていた。するとNが「Mの方」と舌っ足らずな喋り方で言ってきた。

 俺は車を走らせた。

 私鉄沿線の国道だか県道だかわからないが、整った道を行く。しかしどうしてもMの家を思い出せない。

 左側に大きな駐車スペースがあった。トレーラーやトラックが数台停まっている。俺もそこにR2を停車させた。とくに問題はない。

 それからレストランに入る。

 すると穴の空いたマカロニが出てきた。

 レシピには最高級のマカロニで三ツ星だと書かれていた。

 そしてそのあとにこう綴られている。

 お前の病気は突然悪化する。

 すべての記憶は暗黒の穴に飲み込まれてしまう。

 そうだった。俺はこの病気に罹っていたのだ。

 俺はなすすべもなくテーブルにうずくまり、小さくなっていった。

 

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