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ウォルフ

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です

 集まった部下たちに、昨夜の経緯を簡単に説明した後、


「ウォルフ様はどうしている?」


 サルーキは唐突に本題に入った。


「既に身支度を整えて、お待ちになっています」


 オズもすぐさま頭の中を切り替えて、てきぱきと応答する。


「すぐにお会いになりますか?」


「そうしよう」


 サルーキは頷いた後、俺の方を見て「構わないな?」と事後承諾を求めてきた。


「まあ、いいけど」


 俺としても、さっさと用事を済ませて留守番組のところに帰りたいので、異論は無い。


 オズは「すぐに準備します」と言い残して、建物の中に入って行った。


 気になったのは、扉の隙間から覗いた建物の内部が、かなり暗かったことだ。窓が一つも無いのだから、当然と言えば当然だが、やはり異常に感じる。


「これから会う獣人は、ウォルフって名前なのか?」


「そうだ」


「どんな奴なんだよ」


 そろそろ教えてくれてもいいだろ、と。


 俺が催促すると、サルーキも同じことを考えていたらしく、あっさりと頷いた。


「ついてこい。ここから先は、最高機密だ」


 扉に手を掛けると、オズが戻るのを待たずに、さっさと建物内に入って行くサルーキの後に続いて、俺とハウンドも屋内に足を踏み入れる。


 案の定と言うべきか。建物の内部は暗闇に閉ざされていた。


 屋内の灯りは、壁に固定された蝋燭の炎だけ。


 光源と呼ぶには、あまりにも弱々しく、心許ない光だ。


 しかも、蝋燭の数が極端に少ないため、照明としての役割をまるで果たしていない。


「おっと。わりぃ」


 思わず歩みを止めた俺の背中に、止まらずに進んできたハウンドがぶつかった。


 どうやら、夜目の利かない俺とは違い、サルーキとハウンドは既にこの暗闇に適応しているようだ。


「いくらなんでも、灯りが少なすぎるだろ」


「それはそうだ。蠟燭の数を増やしすぎると、屋内にいる者が窒息してしまうからな」


「換気しろよ」


 さらりと怖い発言をするサルーキの声がする方向に、すり足でそろりそろりと移動する。


「見えないなら、俺が手を引いてやろうか?」


「男とは手を繋ぎたくない」


「俺だって、別にお前と手を繋ぎたいわけじゃねーんだよ」


 ハウンドを相手に減らず口を叩きながら、更に進んでいくと――――崖のように急に足場が無くなっている地点に突き当たった。


「そこからは階段だ。気を付けろ」


 俺たちが追いつくのを待っていると思われるサルーキの声が、前方のやや低い位置から聞こえてくる。


「地下があるのかよ」


「檻だからな。地下に造らなければ、壁を壊して簡単に脱出できてしまう」


「それができるのは、ごく一部の力自慢だけだぞ」


 とはいえ、檻に収容されるのが獣人であることを考えれば、当然の対策なのかもしれない。


 恐らく、この奥にいる次期獣王候補――――ウォルフという獣人も、薄い壁くらいは簡単に破壊できてしまう怪力の持ち主なのだろう。


 俺が壁伝いに階段を下って、なんとかサルーキのいる踊り場のような場所に辿り着くと、


「オズが呼びに来るまで、この場所で待機する」


 そう言って、サルーキは壁に背中を預けて寄りかかった。


 どうやら、早めに屋内に入ったのは、俺の目が暗闇に慣れるまでの時間を確保するためでもあったようだ。


「さて。お前が知りたいのは、ウォルフ様が何者か……ということだったな?」


「あと、どうしてこんな場所にいるのかも知りたい」


「今から順番に説明してやろう」


 待っている間の時間潰しになるからな、と。


 サルーキはこのタイミングで、俺が知りたがっていた情報を話し始めた。

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