思いがけない再会
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明日です
「分かるのか?」
どうやら、当たりらしい。
「なんとなく、そう思っただけだけど」
「直観的に見抜いたか。大したものだ」
どうやら、褒められているようだ。
「檻ってことは、これから会う奴って犯罪者なのか?」
「罪人……か。そのように定義できなくもない」
「まだ教えてくれないのかよ」
俺が不満たらたらの表情でサルーキの背中を睨み付けると、俺たちの来訪に気づいたのか、丸太小屋から数名の兵士が出てきて、一列に並んで敬礼をした。
サルーキは軽く手を掲げてそれに応えると、檻だという異質な建物に歩み寄った。
堅牢な石造りの建物の唯一の出入口の前には、一人の獣人が立っている。
俺は、その獣人に見覚えがあった。
「サルーキ様、その者たちが協力者なのですか?」
「オズじゃん。おっす。久しぶり」
かつて、サルーキがオターネストを占領する獣人部隊の司令官だった頃の副官――――狐の獣人のオズは、いきなり俺に名前を呼ばれて、ぎょっと目を見張った。
「サルーキ様? この者に私の名を教えたのですか?」
「いや」
「では、なぜ……」
「俺だよ、俺。分からないか? ほら、こいつのこと、見覚えがあるだろ?」
そう言って、俺が隣のハウンドを指さすと、オズは「あっ」と声を上げた。
「貴様は……! ということは……」
「そういうこと」
俺は頷いて、正面にいるオズだけに見えるように、頭のカツラを少しだけズラした。
「な……! そんなことが……」
「あるんだな、これが」
青天の霹靂で、しかも、寝耳に水だったのだろう。
オズは驚きのあまり、言葉を発することができずに、口だけをぱくぱくと動かした。
(まあ、気持ちは分かる)
自分の上官が連れてきた助っ人が、かつて自分たちに敗戦の苦渋を味あわせた元凶だったのだから、絶句してしまうのは無理からぬ話だろう。
「言いたいことは分かるが、受け入れろ。――――俺が決めたことだ。異論は許さん」
サルーキはやれやれとため息を吐きながら、目線で訴えかけてくるオズの抗議をにべもなく一蹴した。
どうでもいいが、以前と比べるとかなり丸くなったサルーキの言動が、オズに対してだけは昔と変わらないように思える。
(こいつら……もしかして、ホモか?)
『なんで、そうなるんですか』
別にいちゃついているわけではないでしょう、と。
疑惑に否定的な山田を無視して、俺が「お前ら、どういう関係だ?」と尋ねると、
「ただの同郷だ」
サルーキはつまらなそうに返答した。
「なるほど。同郷なのか」
そういうことならば、オズに対してだけ態度が変わらなかったことにも納得できる。
多分、軍に入るずっと前から、十数年来の上下関係ができあがっていたのだろう。
サルーキに言い含められたオズは、感情を抑え込んで、無理やり納得した様子だった。
「……申し訳ありませんでした。純粋な戦力として見た場合、この男を仲間にすることには、私も賛成です。……性格はともかくとして」
「聞こえてるぞ」
最後の一言は余計だが、負け惜しみのようなものだと思えば、別に腹も立たない。
「まあいいや。よろしくな」
「……相変わらずだな、貴様は」
オズは仏頂面を隠そうともせず、にやにやと薄笑いを浮かべながら手を差し出す俺と、固い握手を交わした。
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