滞在期間の延長
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「そうと決まれば、しばらく、この国に滞在することになるのだろうか?」
早速、今後のことに話題を切り替えたオルツに、俺は「そうだな」と返答した。
「宿には連泊の手続きを取って、活動の拠点にしようと思う」
「そうなると……。幾つか、片付けなければいけない問題があるのではないか?」
「そうなんだよ」
オルツが指摘したように、差し当たっての問題は二つある。
一つは、竜の巣への連絡。
このままいけば、海上ルートでトレンタ大陸に向かったゲンジロウ爺さんが、あと数日で竜の巣に到着するはずなので、余計な心配をさせないように、俺たちも無事に到着していることを知らせる必要がある。
もう一つは、森の中で俺たちの帰りを待っている留守番組のことだ。
(獣人に変装しないと、王都に出入りすることもできないからなぁ)
アホ兄弟はともかく、風呂にも入れない環境下で、何日もヒナに野宿をさせるのはさすがに忍びない。
それに、食糧の問題もある。
「なあ、ライカ」
「何ですか?」
「ワタシとオレサマの飯って、あとどれくらい残っているか、把握してるか?」
「そうですね……。昨日も食べていたら、多分、あと一日か二日で無くなると思います」
「……食ってるだろうなぁ」
ワタシとオレサマは食い意地が張っているので、我慢とか、節約とか、そんな殊勝なことは考えないはずだ。
そもそも、元々の予定では、今日の午後には西への移動を再開して、明日か明後日には竜の巣に到着することになっていたので、二匹からすれば、残りの食料を節約する理由が無い。
それに、まだまだ食糧不足の解消されていない竜の巣に着いたら、食事の回数や量を減らされることは目に見えているので、むしろ積極的に残さず食べ切ろうとするだろう。
「今日の用事を済ませたら、俺たちもいったん竜の巣に移動した方がいいかもな」
今回は特殊な状況下における作戦なので、変装手段のある俺は例外だとしても、獣人以外のメンバーは自動的にお役御免になる。それならば、作戦に参加できないヒナとアホ兄弟については、さっさと安全な場所に送り届けてしまった方が、後顧の憂いなく作戦に専念できるというものだ。
「誰か一人は、サルーキとの連絡係として王都に残ってもらうことになるけど……」
「どうせ俺だろ」
ハウンドが諦めたような口調で、立候補するように手を上げた。
「まあ、お前しかいないよな」
サルーキと面識があるのが、ハウンドの他には俺とライカだけなので、消去法で考えれば、他の選択肢はあり得ない。
「怪しまれない程度には、外を出歩いてもいいんだろ?」
「いいぞ」
「ずっと同じ宿に連泊するのも不用心だから、何日かおきに宿を変えてもいいか?」
「別にいいけど。どうせ、俺たちもすぐに戻って来るぞ」
なにしろ、猶予期間は残り二十日しかないのだ。竜の巣に着いたとしても、毎度お馴染みのとんぼ返りになる確率は極めて高い。
「お前……。まさか、安宿に移って、浮いた金で娼館に行くつもりじゃないだろうな?」
「ばっ! お前、そんなわけないだろ!? そんな非常識なこと、誰がするんだよ!?」
なあ? と。
ハウンドは同意を求めるようにライカとオルツに目をやったが、
「……」(疑いの眼差し)
「独り身なのだから、別に隠すことはない」
「……なんだよぉ、お前ら」
誰にも信じてもらえずに、がっくりと肩を落とした。
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