遅めの朝ご飯
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翌朝、案の定、寝坊した俺は、既に起きて身支度を整えていたライカと一緒に、ハウンドとオルツを叩き起こして、全員で遅めの朝食を食べた。
その際に説明したことは、昨夜の話し合いで新たに得た情報も含めると、次のとおりだ。
獣王は王城に帰還しているが(多分、俺に負けたことが原因で)無気力になっており、軍の強硬派がこれ幸いと好き勝手に国を動かしていること。
そのことを快く思わない勢力が軍内外に存在し、水面下で手を組んでいること。
魔王軍が出した獣王の出頭要請には期限があり、残り二十日以内に獣王が呼応しなければ、獣人国と魔王軍の同盟関係は高確率で破綻すること。
それまでに国内で大きな動きを起こす必要があるが、作戦を知る者が増えれば増えるほど、情報漏えいの危険が増すため、少数精鋭で動かざるを得ないこと。
故に、作戦成功には、一点突破のできる「個の戦力」が必要不可欠であること。
「なるほど。それで、獣王を倒した君に、協力を要請してきたというわけか」
「多分な」
朝から大量に運ばれてくる料理を次々に平らげながら、納得したように頷くオルツに、俺も頷き返した。
卓上には所狭しと料理皿が並べられており、俺たちの囲んでいるテーブルだけ、食べ放題のようになっている。
「しかし、よく引き受けたものだな。こう言ってはなんだが、君はそんなお人よしではないと思っていたが」
「断っても良かったんだけどさ」
強硬派が魔王軍との戦争を想定して動いている以上、反乱が成功しようと、失敗しようと、結果に大差は無い。
ただ、作戦が成功すれば、強硬派の影響を排除した上で軍が団結するため、魔王軍に与える損害が(少しだけ)大きくなる。メリットは、それだけだ。
そのためには、無気力状態に陥っている獣王に、もう一度、国のために奮起してもらうか、それが叶わないのであれば、新たな王を擁立する必要があるのだが――――
「獣王とは、前に戦った時に「絶対に殺す」なんて啖呵を切っているからさ。決着というか、落とし前をつける意味でも、手伝うのはありかなと」
「獣王との因縁を終わらせるわけか」
「そんな大それた話じゃないけどな」
結局のところ、言葉にして説明するほどの(他人に納得してもらえるほどの)ちゃんとした理由があるわけではない。
なんとなく、手伝ってもよいかなと思っただけ。
言ってしまえば、気まぐれや直感の類だ。
「成功すれば大きな貸しを作れるし、失敗したところで、こっちは痛くも痒くもないからな。命までは懸けないって条件付きで、手伝うことにしたんだよ」
「なるほど」
だが、そんな取って付けたような理由でも、オルツは納得したらしい。
「それで、具体的にはどうするのだ?」
「獣王に会って発破をかけるか、一騎打ちで倒して王座を奪うかのどっちかだな」
一騎打ちで勝てば王位の禅譲になるが、そうでなければ王位の簒奪になる。
最も強い獣人が国を治めるというのが、獣人国における暗黙の了解――――不文律なので、新たな獣王を名乗るためには、とにかくサシで勝利することが必要らしい。
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