詳しい話はまた明日
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明後日です
「覇王丸さん!」
「起きていたのか」
俺の姿を確認するなり、扉を開けて抱きついてくるライカの頭をよしよしと撫でてやる。
かなり心配させてしまったらしい。足音で俺と分かったのだろうか?
「良かった。無事だったようだな」
部屋の中から、安心した様子のオルツも出てきた。その手には、抜き身の短剣が握られている。
こちらも寝ずの番をしていたようだ。
(こわ)
「あっちの食堂より、こっちの方が物騒じゃねーか」
俺の心の声と、ハウンドの呟き声が重なった。
「問題は解決したのか?」
「そうだな。解決したとも言えるし、更なる厄介事に巻き込まれたとも言える」
「どういうことだ?」
「取りあえず、今日はもう寝ようぜ。さすがに疲れた」
俺も疲労困憊だが、二人も待ちくたびれているはずだ。
「明日、詳しいことは話すよ。もう、襲われたり、連れ去られたりする心配は無いから」
「そうか? それなら、よいが……」
「ちなみにハウンドを拉致した犯人は、サルーキって奴だった」
「え!?」
その名前を耳にした瞬間、かつてサルーキに連れ去られた経験のあるライカが、俺の腕の中で驚きの声を上げた。
「は、覇王丸さん? それは、いったい……?」
「そいつと一緒に飯を食ったり、話し合ったり、殺し合ったりした」
「は?」
ますます混乱の度合いを深めるライカ。
「……それは、どういう状況なんだ?」
オルツも怪訝な表情で、俺を見ている。
「結論を言うと、そいつの手伝いをすることになったんだ」
「はあ……。お手伝いですか?」
「今度、この国で反乱を起こすんだってさ」
まるで「祭りの手伝いをする」くらいの感覚で、国家転覆を口にした俺の言葉に、ライカとオルツは絶句して顔を引きつらせた。
「詳細は、明日の朝飯の時に話すよ。取り敢えず、今日のところは寝よう」
「気になって、眠れそうにないのだが……」
「嘘を吐いてないところが、逆に悪質なんだよなぁ」
俺は、怒涛の展開に思考が停止しているライカの体をひょいと小脇に抱えると、
「はい。おやすみ。また明日」
憮然とした表情を浮かべるオルツとハウンドの二人を部屋から追い出して、扉を閉めた。
そして、ライカをベッドの上に寝かせると、その隣で大の字に寝そべった。
(あ)
その時、サルーキと空中で揉み合った際にできた腕の切り傷のことを思い出したが、自分の腕を見てみると、どこを斬られたのかも分からないくらい、傷痕は綺麗に消失していた。
(マキちゃんが、怖いって言っていたけど……)
そう言いたくなる気持ちも、分からなくもない。
俺はなんとなく沈んだ気持ちになって、静かに目を閉じた。
本当に疲れていたので、すぐに眠りに落ちた。
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