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再戦 VSサルーキ 決着

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です

「このっ!」


 反射的に繰り出した前蹴りは、虚しく空を蹴る。


 だが、同時に床を踏み鳴らす音が聞こえた。


(上か!)


 俺の前蹴りを跳躍でかわして、飛び掛かってくるつもりのようだ。


 棒立ちの俺に上から襲いかかり、床に押し倒し、首筋に短剣を突き付けて、


「俺の勝ちだな」


 などとドヤ顔で言うつもりなのだろう。


「させるかよ!」


「――――なっ!?」


 間髪いれずに跳躍した俺に、さしものサルーキも仰天したようだ。


 絶対にそうだと決め付けることはできないが、多分、サルーキは魔法を使えない。


 だから、いったん跳躍してしまえば、空中では物理法則に従うしかないはずだ。


「ぐっ!」


 ガツン、と。


 空中で、頭と頭が激突する。


 同時に、左腕に刃物で斬り付けられるような痛みが走った。


 斬られたのではなく、伸ばした左腕がたまたま短剣に触れてしまったのだろう。


 要するに――――


(短剣を持っているのは、こっちの腕かっ!)


 俺は無我夢中でサルーキの右腕を掴み、もつれたまま床に落下した。


 有利な体勢になったのは――――空中で押し勝った俺の方だ。


 そのまま、全体重をかけてサルーキの体を押さえ付ける。


 柔道で言うところの、寝技(固め技)に近い体勢だ。


 見様見真似ではあるが、ひとまず体の自由を奪うことには成功した。両肩をしっかりと床に固定してしまえば、そう簡単に抜け出せるものではない。


 後は、痛みが引いて目を開けられるようになるまで、この体勢を維持するだけ。


 サルーキは何度か抜け出そうともがいたが、体重差と気迫でそれをさせなかった。


「……ふう」


 やがて、聞こえてきたのは、諦めるようなため息。


 同時に、背中をぽんぽんと叩かれた。


 ギブアップの合図だ。


「俺の負けだ。技を解いてくれ」


「よし」


 目を擦りたい衝動を懸命に堪えていた俺は、すぐに技を解いた。


「あー、くそっ。酒なんか吹き掛けやがって」


「どんなに小細工を弄しても、勝てないのでは意味が無い」


 良い案だと思ったのだが、と。


 サルーキは起き上がる気配もなく、淡々と感想を口にした。


「ランプを消せって言ったのは、俺の注意を逸らすための囮か」


「部下を使って勝ったところで、お前は納得しないだろう。こちらにとって重要なのは、勝ち負けではなく、お前に話を聞いてもらうことだからな」


「……話か」


 そうだったな、と。


 俺は深呼吸をするように、ため息を吐いた。


 ハウンドを拉致してまで、俺に聞いてもらいたい話とは、いったい何だろうか?


 なんだか、きな臭い匂いがする。


 十中八九、まともな要件ではないだろう。


(……あれ?)


 服の袖で何度か目を擦り、目を開けられるまでに回復した俺は、ふとサルーキが握り締めている短剣に目を止めた。


 おかしい。


 右手で持っていると思っていたのに、いつの間にか左手で握っている。


(どういうことだ?)


 向かい合った状態で、俺は左腕を負傷したのだから、サルーキは右手に短剣を握っていたはずだ。


「お前、そっちの手で短剣を持っていたのか?」


 不思議に思って俺が尋ねると、


「落下する時に持ち替えたんだよ」


 近づいてきたハウンドが、サルーキの代わりに説明をしてくれた。

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