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再戦 VSサルーキ その五

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です

「俺だって、正面から乗り込んで勝てるのなら、そうするよ」


 事実、南部軍が反乱を起こした時はハウンドとワタシを引き連れた二人と一匹で、正面から敵の本拠地に乗り込んでいる。


 圧倒的な力の差を見せつけて勝つ方が、敵の心を挫くことができるからだ。


「でも、あの時の俺は、いろいろと小細工をしなければ、勝ち負け以前に、お前のいる所まで辿り着くことさえできなかったからな」


 ライカを人質に取られていたので、俺もなりふり構ってはいられなかった。


 他に選択肢が無かったのだ。


「今更、卑怯だなんて言うなよ」


「言うものか。勝つために策を弄するのは、むしろ当然のことだ。――――俺も、そうさせてもらうぞ?」


「?」


 サルーキは意味深な発言をすると、周囲の部下に向かって大声で命令した。


「お前ら、俺が合図をしたら室内の灯りを消せ! 一つ残らずだ!」


「あ、てめぇ!」


「暗闇の中、互いに条件は同じはずだ。俺はお前の体がデカいことを卑怯だとは思わん。その代わり、お前も俺の夜目が利くことを卑怯だとは思うなよ?」


 してやったりの表情で言い放つと、サルーキは景気付けとばかりに、コップに残った液体を一気にあおって、俺に突進してきた。


「くそ!」


 結局、長々と話をして相手の体力を回復させてしまった。


 一瞬だけサルーキから目線を外して周囲を見回すと、作戦の意図を理解した数人の部下が、既にランプの近くに移動して合図を待っている。


 こちらの味方はハウンドだけだが――――


(……駄目だな、ありゃ)


 一斉に動き出したサルーキの部下を目で追いながら、あたふたしていた。


 どれか一つだけでも、ランプの灯を消させないように動いてくれれば助かったのだが、ベターではなくベストな行動を取ろうと考えたせいで、出遅れてしまったようだ。


 こういう時は、直感に従って行動する方がよい。思考は後から付いてくるものだ。


(仕方ない)


 俺はハウンドからの援護は無いものと諦めて、短期決戦に切り替えた。


 急がなければ、店内が暗闇に閉ざされてしまう。


 そうなれば、俺は圧倒的に不利な戦闘を強いられることになる。


 サルーキが部下に合図を送る前に、決着を付けてしまわなければ――――


(――――ん? 待てよ?)


 その時、俺は違和感に気がついた。


 よくよく考えれば「合図をしたら灯りを消せ」という指示は、変ではないだろうか?


(別に「今すぐ」でよくないか?)


 俺がそのことに気づいた時、


「っ!?」


 目の前に詰め寄っていたサルーキが、口から霧状にした液体を吹き出した。


「あ、きたねっ。てめ……!」


 飲み干したとばかり思っていたが、口の中に溜めていたようだ。


 さすがに、不意打ちで霧状に噴出された液体を避けることはできない。


 モロに顔面に浴びてしまうが、毒霧ではあるまいし、これだけでは目潰しには不十分だ。


 ――――などと思っていたら。


「っ!」


 目に異変を感じた。


 痛い。


 というか、めちゃくちゃ目に沁みる。目を開けていられない。


「くそが! 酒じゃねーか!」


 水だと言っていたのに、とんでもない嘘吐きだ。


 俺は心の中で思い付く限りの罵詈雑言を浴びせたが、現実ではそんな余裕はない。


 考えるよりも先に、体が動いた。

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