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再戦 VSサルーキ その二

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

 サルーキは腰の短剣を手にすることなく、拳を握り込んだまま、軽快なフットワークで俺の側面に回り込んだ。俺の実力を確かめるという発言は、嘘ではないのだろう。


 だが、それは奢りというものだ。


 俺が突き出した腕をラリアットのように振り回すと、サルーキはそれも屈んでかわし、俺にボディブローを撃ち込んで、再び間合いを取ろうとした。


 その腕を、俺は掴んだ。


「っ!?」


「今更、お前に殴られたくらいで怯むかよ。こんなもの、痛くも痒くもねーぞ」


 本当は痛いのだが、ここは強がっても許される場面だろう。


 昔の俺と、今の俺を比較すると、決定的に変わっているところが一つある。


 それは、俺が治癒魔法や回復薬を必要としないほどの自己治癒力を手に入れたことだ。


「最初から、これが狙いか……!」


「攻撃を受けた瞬間に手を伸ばせば、お前は確実に「いる」からな」


 敵の攻撃を避けるわけではないので、読み合いをする必要が無い。


 痛みに反応して、手を伸ばすだけ。


 規格外の耐久力と自己治癒力があるからこそできる「肉を切らせて骨を断つ」戦法だ。


 お世辞にもスマートな戦い方とは言えないが、無理やりにでも相討ちに持ち込んでしまえば圧倒的に俺が有利なのだから、使わない手は無い。


 何より、前回はこの作戦で勝っているのだ。


 俺はサルーキの腕を掴んだまま、重い荷物を放り投げるように腕を振り回した。


「ぐうっ!」


 サルーキは踏ん張ることもできずに、床の上をゴロゴロと転がる。


 即座に体勢を立て直すも、その表情は強張っていた。


「負けたくせに、まだ自分が格上のつもりでいるのか? 油断さえしなければお前でも勝てる程度の相手が、獣王に勝てると本気で思ってんのか? ――――馬鹿にするなよ?」


 短剣を使え、でないと一方的な展開になるぞ、と。


 俺は上から目線で忠告して、再びサルーキに突進した。


「ちっ!」


 過去の敗北は戒めとして受け入れつつも、戦闘技術では圧倒していたという自負はあったのだろう。


 サルーキは不利な体勢のまま、横っ跳びで突進を回避すると、屈辱に顔を歪めながら短剣を手に取り、俺が追撃を仕掛けられないように、切っ先をこちらに向けて牽制した。


 だが、俺はお構いなしに、追撃を仕掛けた。


「っ!?」


 サルーキは驚愕に目を見開いた。


 タイミングを合わせて短剣が大きく振り払われるが、俺は意に介さない。


 その結果――――俺は、切り傷一つと引き換えに、再びサルーキの腕を掴んだ。


「物足りないな。お前、覚悟が足りねーよ」


 俺が人質の件で怒っていることは、既に十分すぎるほど伝わっているはずだ。


「俺には、お前の用件につきあう義理は無いんだ。まさかとは思うけど、お前が納得すれば、この戦闘が終わるとでも思ってんのか?」


「ぐうっ!」


 そう言って、俺が指に力を込めると、サルーキは痛みのあまり悶絶して、その場に跪いた。


 正直、相手にならない。


 戦闘技術では、多分、今でもサルーキの方が上なのだろうが、圧倒的なフィジカルの差が、技術面の不利を完全に帳消しにしてしまっている。


 なにしろ、今の俺には獣王と力比べをしても負けないほどの腕力があるのだ。


「俺と戦うのなら、獣王に挑むくらいの覚悟でこいよ」


「……っ」


 その瞬間、床に這いつくばっていたサルーキの雰囲気が変わった。

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