再戦 VSサルーキ その一
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「いるはずのないハウンドを見つけたもんだから、俺もいるはずだと思ったのか」
「そういうことだ」
「それで、人質を取って、俺を呼び出したわけだ」
あの時の復讐をするために――――
思わず口にしかけた言葉を、すんでのところで理性が押し止めた。
――――待て。それはおかしい。
俺への復讐が目的なら、口が裂けても「敵対する意思は無い」とは言わないはずだ。
捕まったハウンドが拘束されていなかったことも、腑に落ちない。
そもそも、オターネストで司令官を務めていたサルーキは、軍に所属する将官のはずだ。
それなのに、なぜ、こんなアウトローの溜まり場で待ち構えていたのだろうか?
なぜ、先程は「兵士が来ると面倒なことになる」と言ったのだろうか?
(……分かんねーな)
どうやら、考えても、すぐには正解に辿り着けそうにない。
最初、ボスの獣人の正体がサルーキだと判明した時は、すべてが一本の線で繋がったように思えたのだが、ただの錯覚だったようだ。
(まあいいや)
それならそれで、俺のすることは決まっている。
――――暴れてから話を聞こう。
結局は、最初に宣言した通りの展開になるということだ。
だが、それでいい。望むところだ。
サルーキの目的が何であろうと、仲間を人質に取られて、俺が頭にきているという事実は、何も変わらないのだから。八つ当たりでも何でも、発散しなければ気が済まない。
俺は気持ちを切り替えて、露悪的に笑った。
「お前もつくづく間抜けな野郎だな」
「何?」
「この俺に対して「また」人質を取ったんだからな。それが原因で、前回、散々な目に遭ったことを忘れたのか? 痛みだけ覚えていても意味がねぇぞ!」
仲間を人質に取るという行為は、俺にとっての逆鱗案件だ。
そのような事態に陥った時、俺が取る行動は一つしかない。
ライカをオターネストに連れ去られた時も。
遠征中に神聖教会の大聖堂を急襲された時も。
南部軍の反乱でロザリアが南部侯爵の屋敷に囚われていると知った時も。
すべての場面で、俺は最も危険な場所に乗り込み、敵を上回る暴力で戦場を平定している。オターネストだけは、その後、火の海になってしまったが。
『目には目を、歯には歯を、と言いますからね』
(そういうことだ)
理不尽な暴力に対抗する、最も効果的な暴力装置が、俺なのだ。
「俺の実力を確かめるって言ったな? できるもんなら確かめてみろよ!」
俺は啖呵を切って、サルーキに突進した。
過去に戦った敵との再戦は初めてだが、これはこれで興味深い。獣王や赤髪侯との激闘を経て、自分がどれくらい強くなったのかを知ることができるからだ。
過去にサルーキと戦った時、俺はテクニックで圧倒され、腕を掴んで間合いを殺すまでは、まともに攻撃を当てることができなかったが――――
『それは今もそうでしょ』
(うるせぇ!)
俺は山田の冷静なツッコミを一蹴して、サルーキに手を伸ばした。
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