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オース海峡攻略作戦 四

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です。今回は短めですみません。

「なんで、驚くんだよ。どう考えても、お前らを行かせる流れだっただろーが」


 というか、ピスキスから第一軍港に連れて来られた時点で、普通の感覚の持ち主なら「これは何かあるぞ」と察すると思うのだが。


 なぜ、限界ぎりぎりまで、現実から目を背けようとするのだろうか。


「可愛い弟分の俺たちに、もしものことがあったらどうするんですか!」


「取り返しがつきませんよ! 損失は計り知れません!」


「いくらなんでも自分を過大評価しすぎだろ」


 そもそも、こいつらは俺より年上だし、可愛くもなければ、弟分でもない。


 だが、この期に及んでここまで自己評価が高いのは、むしろ良い傾向だと言える。


 往生際の悪さとは、逆境でこそ本領を発揮するものだからだ。追い詰められた時に、死んで堪るかと思えるような奴でなければ、危険な仕事は任せられない。


「大丈夫だって。飛翔魔法を使える魔法使いが一緒だから。ほんの少しでも危険を感じたら、すぐに逃げてこいって言ってあるから。その時は一緒に逃げてくればいい」


「本当なんでしょうね!?」


「その人が、俺たちを見捨てないという保証はあるんですか!?」


「いいから行けよ」


 俺は欄干から、既に小型船に乗り込んでいるアルバレンティア王国軍の乗組員に手を振って合図を送ると、


「達者でな」


「うわぁぁぁぁ!」


「ぎゃぁぁぁぁ!」


 隣に立っていたアホ兄弟を、海に突き落とした。


「は、覇王丸さん!?」


 ライカが慌てて欄干にしがみ付き、身を乗り出すようにして二人の安否を確かめようとしているが、いくら俺でも事前の根回し無しでこんな暴挙には及ばない。


 ざぶん、ぼちゃん、と。


 眼下で小さな水しぶきが上がると、すぐさま小型船から縄に括られた浮き輪代わりの木片が海に投げ込まれた。


「ゴネたら海に突き落とすから救助してくれって伝えてある」


 溺れる者は藁をも掴むとは、よく言ったものだ。


 アホ兄弟は(泳ぎも達者なはずだが)パニック状態で手足を必死にバタつかせて、辛うじて目の前の木片にしがみ付いた。


「兄貴の人でなし!」


「覚えてろよ!」


 捨てゼリフを吐きながら小型船に一本釣りされる二人に向かって、俺は笑顔で手を振った。

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