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オース海峡攻略作戦 二

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

 第一軍港を出発した後、船は数時間をかけて沖合のポイントに到着した。


 道中はのんびり風任せ……というわけではなく、乗組員たちが風の魔法で船の進路や速度を調整しつつ、ここまで最短ルートで移動してきたのだが、正直なところ、あまり速いとは感じなかった。


(ヨキの水の魔法に比べたら屁でもないな)


『ラフティングと遊覧観光くらい違いましたね』


 どうやら、最初にハードモードの船旅を経験したおかげで、俺たちはすっかり船酔いに強い体になってしまったようだ。


 今までなら誰よりも早くダウンしていたハウンドですら、余裕の表情で潮風に当たっていたほどだ。


(調子に乗って潮風に当たりすぎると、髪がごわごわになるんだけど……黙っておこう)


 ちなみに、俺とライカとヒナの三人は、ロザリアが出発前に持たせてくれた保湿用オイルでばっちり対策済みだ。こういう場面では、女子力が物を言う。


「勇者殿……水平線に船があるのが見えますか?」


 船特有の揺れに耐性の付いた俺たちとは対照的に、見事に洗礼を受けてしまったシャルムが、しかめ面で前方を指さした。


(てっきり、俺に作戦指揮を一任して、第一軍港に残るのだと思っていたけど)


 予想に反して、シャルムは当然のように船に乗り込んできた。昔は軍事演習が好きだったと言うだけあって、前線が怖いわけではないらしい。


 それはともかく、


「見えない」


「ヒナも見えません!」


「見えるぞ」


「……なんとか見えます」


「私にも見える」


 やはりと言うべきか、水平線にあるという船影を肉眼で確認できたのは、獣人のメンバーだけだった。


 黒豹の顔をした、獣の血が濃い獣人のハウンド。


 狼の耳と尻尾だけを生やした、獣の血が薄い獣人のライカ。


 そして、熊の顔をした獣の血が濃い獣人のオルツだ。


 先日、ウォートシエイラに里帰りをした際、獣人国に潜入して情報収集をするかもしれないという話をしたところ、協力できることがあるなら同行しても構わないと、オルツ本人から申し出があったのだ。


 俺としては断る理由が無いので、二つ返事で同行してもらうことにした。


「水平線に魔王軍の船があるのか?」


「そうですね。上空から偵察した斥候がそう言っているので、そうなのでしょう。実は私にも見えません」


 獣人の皆さんはさすがですね、と。


 シャルムは感心したように呟いた。


 現在位置は、オース海峡のちょうど中間付近。


 つまり、トレンタ大陸まで残り半分のポイントだ。


 オット大陸の人類軍は、魔王軍に対して専守防衛の方針を取っているため、通常、ここまでトレンタ大陸に近づくことは無いらしい。

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