リカルドは有能
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明日です。
「それにしても、よく思いついたな。先発隊と後発隊の二つに分けるなんて」
「実はこれも、リカルド殿下の発案なんです」
「ふーん」
先程から、事あるごとにリカルドの名前が挙がっているような気がする。
実際、反乱を鎮圧してからのリカルドは、殆ど王城内では見かけなくなるほど、毎日、忙しそうに動き回っていた。南部地域の統括を代行することで、次代の国王に必要な経験を積んでいるというのが、周囲の見方のようだ。
貴族たちの評判も上々で、後継争いにおける最大の対抗馬であったロザリアが廃嫡されたことで、本人に皇太子としての自覚が芽生えたのだろうと噂されている。
いずれにせよ、この国にとっては良いことなのだろう。
だが、俺にとってはあまり面白いことではない。
「……もしかして、あいつって有能なの?」
「はい。殿下は素晴らしい才覚の持ち主でいらっしゃいます」
「嘘だろ?」
リゼットが間髪いれずに首肯したため、俺は軽いショックを受けた。
「あいつは威張る才能と怒鳴る才能しかない、がっかり皇太子だぞ?」
「そ、そんなことは、ないのではないかと……」
「出会ったばかりの頃だって、毎日のようにお供を引き連れて、街で遊び歩いていたし」
「別に遊び歩いていたわけではないぞ」
俺が、どうにかしてリカルドの評価を下げてやろうと熱弁をふるっていると、いつの間にか背後に歩み寄っていたゲンジロウ爺さんに「やめんか」と釘を刺された。
「あれは、城下の視察を装って、情報を集めておったのだ。殿下が麻薬の密売について調べていたことは、おぬしも知っておるだろう」
「遊び歩いていたのも事実じゃないか」
「自分の手足となって動いてくれる者たちに、飯や酒を振る舞うことくらい普通であろう」
なぜ、おぬしたちは仲良くできんのだ、と。
ゲンジロウ爺さんは心の底から呆れた様子で、深々とため息を吐いた。
「殿下に対するリゼット殿の評価が上がることが、面白くないのか? まさか、リゼット殿を四人目の妻として迎え入れるつもりではなかろうな?」
「そういえば、そんな誤解を招いたこともあったな」
「あったのか……」
リゼットには、出会った初日にウォートシエイラで働かないかと勧誘するつもりで「俺のところにこないか」と言ってしまい、プロポーズをされたと勘違いされたことがある。
「ライカがへそを曲げたから、その日のうちに土下座をして誤解を解いたぞ」
「あの時は、びっくりしました。お恥ずかしい限りです」
リゼットは困ったような照れ笑いを浮かべて、そして、今更ながら、あることに気が付いたようだ。
「そういえば……。今日、ライカちゃんは一緒ではないのですね? ヒナちゃんも」
「え!?」
リゼットの指摘を受けて、ゲンジロウ爺さんの更に後方から驚きの声が上がった。
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