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ピスキス 見送り

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

 そして、更に数日が過ぎて、作戦決行の前日。


 俺は南部地域の港町ピスキスを訪れていた。


 今日は、オース海峡からのトレンタ大陸上陸作戦に先立って、大量の支援物資を積んだ船が竜の巣に向けて出発する日だ。


「覇王丸様からお預かりした宝石を代価にして、ここまで数を揃えることができました」


 半分照れ臭そうに、半分誇らしげに説明するリゼットの指し示す方角には、ピスキスの港を埋め尽くす……ほどではないが、所狭しと停泊する複数の貨物船。


 オターネストと比べると、港そのものが小規模であるとはいえ、壮観であることには変わりない。


「すべて中古ではありますが、まだまた長距離の航海にも耐えられるものばかりです」


「結構な数を揃えたんだな。この前、戻った時には気づかなかったけど」


 これだけの数を揃えたなら、船団と呼んでもまったく遜色は無い。


 一度に運べる支援物資の量が数倍に増えるので、竜の巣の食糧事情は大きく改善されるだろう。


「船を揃えるところまでは順調だったのですが、先の内乱のせいで流通が滞ってしまい、肝心の支援物資を調達することができずに、頭を抱えていたのです。ですが、リカルド殿下に口利きをしていただいたおかげで、国内から余剰分の食糧を買い付けることができました」


「へえ」


 反乱の責任を取る形でアヴィド侯爵が失脚したため、現在、南部地域の統括は皇太子のリカルドが代行している。


 リゼットは最後まで反乱軍に屈服せず、しかも、殆ど損害を出さずにピスキスの町の防衛に成功した功績を認められて、リカルドの補佐官に任ぜられたのだが、早速、その恩恵にあずかれたようだ。


「ただ、別の問題もありまして……。乗組員の数が足りないのです」


「まあ、そりゃそうだよな」


 単純に船の数が倍に増えれば、必要な乗組員の数も倍増するのが道理だ。


「足りない分はどうするんだ?」


「不幸中の幸い……と言ってしまうと不謹慎ですが、反乱の影響で職にあぶれた者が南部地域には大勢いましたので、リカルド殿下に求人を出していただきました。それで、頭数だけはどうにか確保できまして。今は取り急ぎ、船旅の未経験者に船乗りの基礎を学んでもらっているところです」


 そのため、船団を先発隊と後発隊の二つに分けて、後発隊が出発するまでの間に、新入りの乗組員を半人前と呼べる程度には仕上げるつもりらしい。


 要するに、二週間ほどで運転免許が取れる、自動車教習所の短期合宿みたいなものだ。


「先発隊が支援物資を届けて帰路に着く頃に、後発隊が竜の巣に向けて出発するように日程を調整するつもりです。そうすることで、今までよりも短い間隔で帰りの船が出るようになりますので、覇王丸様たちにとっても利点があるかと」


「なるほど」


 たしかに、そうしてもらった方が、俺たちにとっては好都合だ。


 今までの半分の周期で船が出るなら、トレンタ大陸への行き来がしやすくなる。


 また、船団を二つに分けても全体として見れば、運べる支援物資の総量が減るわけではない。


『でも、そうすると、オース海峡を無理して渡る必要もなくなるんじゃないですか?』


(それはそれ、これはこれだろ)


 いくら船の本数が増えても、片道十日の部分は変わらないのだから、そこを短縮するために上陸作戦を決行する価値は十分にある。

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