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ウォートシエイラ訪問 七

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です。

「それで、南部軍の兵士がこいつらを連れてきてくれたのか?」


「ああ、そうだぞ。もしかしたら、南部軍の兵士じゃないかもしれないけど」


 俺が話を戻すと、嫉妬の炎に焼かれていたおっさんは、すぐに質問に答えてくれた。


 結婚の話題を長引かせても、自分が精神的ダメージを受けるだけだと悟ったのだろう。


「前回、里帰りをした後、お前ら、南部地域に行ったんだろう? しばらくしたら、王国軍の兵士が馬車ごと届けてくれたんだよ。お前がピス……何とかって南部地域の町から、トレンタ大陸に渡ったっていう、嘘みたいな報告と一緒に」


「事実だぞ」


「もう、お前は何でもありだよな」


 おっさんは呆れたように呟きながら、馬車の積荷の整理を始めた。


「危ないところだったんだぞ。こいつらが大森林に帰ってきてから何日もしないうちに反乱が起きたんだからな」


「危機一髪じゃねーか」


 ハックとヤマダは元軍用馬なので、そのまま南部地域に留まっていたら、徴用されて戦場に駆り出されていた可能性もある。


 話を聞く限り、馬車を届けてくれたのはリカルドかアヴィド侯爵のどちらかだと思うが、感謝しなければならないだろう。


「お前ら、運が良かったな」


 そう言って、俺が顔を撫でてやると、二頭とも甘えるように頭を擦り付けてきた。


 どうやら、俺のことを覚えているようだ。


「それで、どうするんだ? 集落に荷物を運ぶ馬が足りなかったから、俺たちが使っていたんだけど。また、こいつらを旅に連れていくか?」


「いや。もう一度、トレンタ大陸に渡るつもりだから、此処に置いていく。こいつらの体が鈍らない程度に、こき使ってやってくれよ」


「そうか」


 分かった、と。


 おっさんは大きく頷くと、オルツに向き直った。


「さて。次はどこに行けばいい?」


「先程、工房で受け取った荷物を届ければいい。今の時間なら畑にいるはずだが、本人の家に届ければよいだろう」


「そっかそっか」


 几帳面なオルツの記憶をすっかりあてにしている様子で、おっさんは馬車の御者席に乗り込んだ。


「それじゃあ、俺たちはもう行くぞ。今日は出迎えに行けなくて、すまなかったな」


「別にいいよ。こうして会えたからな」


「勇者殿もこの工房に用があるのかな?」


「ん? ああ、そうだった」


 二人に再会した嬉しさで、オルツに尋ねられるまで、すっかり自分の用事を忘れていた。


「さっき、トレンタ大陸に行くって言っただろ? あっちに獣人の国があるらしいんだよ」


「ほう」


 真っ先に反応したのは、やはり、オルツだった。


 獣人にとって、自分のルーツにつながる獣人国の存在は、特別なのだろう。


 興味深げにぴくぴくと動くオルツの獣耳を見ながら、俺は話を続けた。


「向こうに着いたら、情報を集めるつもりなんだ。基本的にハウンドに任せるつもりだけど、一応、俺も獣人に変装くらいはしようと思ってさ。熊の耳を調達しにきたんだよ」


「え?」


「熊って尻尾が短いじゃん? だから、耳だけあれば十分だと思って」


 俺は体もデカいから丁度いい、と。


 口角をつり上げてニヤニヤと笑う俺を見て、オルツは目に見えて動揺しはじめた。


「そ、それは、つまり、私の耳を?」


「そんなわけがないだろう……。覇王丸もオルツ殿をからかうのはやめなさい」


 ボルゾイがため息を吐きながら、悪ノリする俺に口頭で注意をした。

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