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ウォートシエイラ訪問 二

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です。

「ジョアン、今の私は謹慎中の身ですから」


「そんなことを言っていたら、いつまで経っても王城から一歩も外に出られないよ。そんなの不健康じゃないか」


「でも、まだそんなに日数も経っていないし……」


「日数なんて関係無いよ。批判する人というのは、ロザリアが何日おとなしくしていようと、批判するものなんだ。それならこの機会に便乗して、一度、外に出た方がいい」


 ロザリアはやんわりと辞退しようとしたものの、弁の立つジョアンの前に成す術も無く言い負かされてしまった。


 ジョアン曰く、俺がロザリアを王城の外に連れ出したという形にすれば、国内の貴族は何も言ってこないとのことだ。


「彼らは安全地帯の中から、王族をチクリと批判したいだけだからね。批判をモノともしないどころか、確実に反撃してくる相手には何もしないよ」


「お前は、俺を何だと思っているんだよ」


「人類最強の切り札であり、暴力装置かな」


「悪口じゃん」


 どうやら、口の悪さには自信と定評のある俺をもってしても、平常運転に戻ったジョアンを言い負かすことは至難の業であるらしい。


 とても、ロザリアの救出前は自責の念で取り乱し、救出後には感動のあまり号泣していたジョアンと同一人物とは思えない。


「覇王丸ぅ。ロザリアに対する批判は、全部、君が引き受けるんだろう?」


「そうだな」


 俺としても、その点については何の異論も無いし、ロザリアがいつまで経っても王城の外に出られない軟禁のような状態になってしまうことは、避けたいと思っている。


(ジョアンの言うことにも一理あるんだけど……)


 問題は、ロザリア本人も言っていたように、今、このタイミングで公の場に姿を現すことは、まったく謹慎をしていないのと同じになってしまうことだ。


 なにしろ、先日の会議から、まだ何日も経っていない。


「当面の間は謹慎すると決めた矢先に外出するのは、さすがにマズいだろ。それとも使用人に変装させて、こっそり連れ出すのか?」


 俺が単刀直入に尋ねると、ジョアンは芝居がかった仕草で首を横に振った。


「むしろ、その逆だね。正体を隠す必要はまったく無いよ」


「どういうことだ?」


「謹慎する前に、ロザリアの元気な姿を国民の前にお披露目すると考えるのさ。そうすれば、ロザリアは覇王丸と一緒なら、どこにでも行くことができる」


 良い案だろう? と。


 ジョアンは得意満面のドヤ顔でにやりと微笑んだ。


「なるほど」


 たしかに良い案だ。


 国民的アイドルと言っても過言ではないロザリアの安否については、多くの国民にとって、重大な関心事だろう。


 事前に噂を流し、世論を誘導したおかげで、これまで大きな混乱は起きていないものの、実際のところ「ロザリアは本当に無事なのか?」という疑念を抱いている国民は多いはずだ。


 まして、反乱を鎮圧した後、一度も姿を見せることなく「当面の間は謹慎」では、死亡説のような噂が立ってしまっても不思議ではない。


 そこで、国民を安心(納得)させるために、一度、元気な姿をお披露目する。


 謹慎期間に入るのは、それが終わった後。


 そういうことにしてしまえば、ひとまず、ロザリアが自由に行動するための建前としては、十分だろう。それでも批判をしようとする輩の前には、俺が立ちはだかればいい。

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