国に便宜を図ってもらう
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翌日から、俺はトレンタ大陸上陸作戦を実行に移すために、アルバレンティア王国内を西へ東へ飛び回ることになった。
まずは、国王に作戦の概要を伝えて、実行の許可と、軍の全面的な協力を取り付ける必要がある。
ゲンジロウ爺さんを介して国王に話があると伝えてもらったところ、初めて会った時と同じ玉座の間に呼び出された。今はもう平時のため、正規の手続きを踏んだのだろう。
玉座に座る国王の左右には、皇太子のリカルドを筆頭に、そうそうたる顔ぶれの貴族(だと思われる人達)が立ち並んでいる。
だからといって、俺が緊張したり、萎縮したりするかというと、全然、そんなことはないのだが。
「――――そんなわけで、王様にはいろいろと便宜を図ってほしい。お願いできるか?」
「いいだろう」
俺がいつもと同じ態度、いつもと同じ口調で作戦の概要を伝えたところ、国王はこちらが拍子抜けしてしまうほど、あっさりと快諾してくれた。
「関係各所には、本日中に通達を出しておく」
「ありがとう。……でも、いいのか? 自分で言うのもなんだけど、無茶なことを言っている自覚はあるぞ。軍にもがっつり動いてもらうことになるし」
「お前の無茶には、もう慣れた」
俺の素朴な疑問は、国王の無慈悲な一言で一刀両断にされてしまった。
「それに、どのような内容であろうと、事前に相談があるだけマシというものだ。いつぞやのように、後から「竜の案内でトレンタ大陸に向かった」などという、理解の及ばぬ報告だけをされたのでは、堪ったものではない」
「また、それを蒸し返すのかよ……」
どうやら、俺が竜退治の顛末をきちんと報告せず、そのまま竜の巣に向かってしまったことを、国王は密かに根に持っているようだ。
反乱を無事に鎮圧したことで、忘れていた不満が再燃したのかもしれない。
(まあ、王様だからな)
ただでさえ俺の気安い口調や態度を大目に見てくれているのに、その上で俺に無視や放置をされたのでは、国王としての面子や沽券に関わってくるのだろう。
「まあ、あれだ。今度からは、なるべく事前に相談することにするよ」
「是非とも、そうしてくれ」
俺から譲歩の言葉を引き出したことで、国王は満足げに大きく頷いた。
こちらとしても別に不承不承というわけではない。余程、切羽詰まった状況でもない限り、そうする方が両者にとって有益であることは間違いないのだ。
なにしろ、そうすることで俺は国の全面的な協力を得ることができるし、国王も「勇者の活動を支えている」と国内外に広く知らしめることができる。両者ウィンウィンだ。
「その方がお互いのためだもんな」(お互いに利用し合おう)
「そのとおりだ」(やっと理解したようだな)
お互いの心の声が透けて見えるような気もするが、そんなことは気にもとめず、俺と国王は取って付けたような言葉を交わしながら、不敵に笑い合った。
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