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南部軍の反乱 その後

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

 翌日から、膠着していた戦況が目に見えて動きだした。


 俺が王都に情報を持ち帰ったことにより、正規軍と南部軍が擬似的に情報を共有できている状態になり、連携を取れるようになったことが最大の要因だろう。


 国境を越えて南部地域の奥深くまで入り込んでいたスエービルランス王国軍は、友軍である南部軍がいきなり敵に回ったことで、一夜にして孤立無援の状態に陥った。


 撤退しようにも、正面には南部軍が立ちはだかり、退路を塞いでいる。


 だからといって、もたついていれば、背後から迫ってくる正規軍に追いつかれてしまう。


 スエービルランス王国軍は、補給すらままならない不利な状況下で、特赦の資格を得るため死に物狂いになっている南部軍との交戦を繰り返すという、地獄の行軍を余儀なくされた。


 そして、アルバレンティア王国側に傾いた流れを決定的なものにしたのは、それまで静観と沈黙を続けていた東部軍だ。


 リカルドをして「狸」と言わしめたツィオーネ侯爵は、抜群の嗅覚を発揮して、これ以上はないという絶妙のタイミングで、撤退するスエービルランス王国軍の脇腹に、東部軍の精鋭を噛みつかせた。


 その結果、スエービルランス王国軍は総崩れになり、逃げ遅れた兵士は降伏して捕虜になるか、自棄になって討ち死にするかの二択を迫られた。


 国境線まで逃げおおせることができたのは、元々、国境の近くに駐留していた少数の部隊を含めても、全体の半数ほどだったという。


 アルバレンティア王国の南部地域で起きた反乱――――それを隠れ蓑にした二国間の戦争は、当初の勢いを覆す逆転劇で、アルバレンティア王国軍がスエービルランス王国軍を返り討ちにする結果となった。


     *


「――――以上が、先の掃討戦の報告となります。この戦闘によって、スエービルランス王国軍を国内から駆逐することに成功いたしました」


 戦争の大勢が決してから更に数日後。


 俺は王城内の会議室に呼び出されて、諸々の報告を聞いていた。


 とはいえ、俺がすることは何も無い。ただ、要人が情報を共有する集まりに出席しろと声を掛けられたので、言われるがまま足を運んだだけだ。


 前回に引き続き、今回も会場が玉座の間ではないのは、俺がイスに座りたいとゴネたからではなく、ごく少数の信頼できる者だけを集めた非公式の会合だから……ということらしい。


 出席者は、国王、リカルド、ウォートランド侯爵の他には、先日、正規軍との引き継ぎを終えてノトスヴァイナから帰還したゲンジロウ爺さんと、中央の重鎮だと思われる貴族が片手で数えられるほど。


 ハウンド、ライカ、ヒナの三人は、面倒くさいから、場違いだから、すぐに飽きてしまいそうだからと、三者三様の理由で欠席している。


 かなりの長丁場になりそうな予感がしたので、できることなら俺も欠席したかったのだが、ロザリアに「覇王丸様が出席しなくてどうするのですか」と説得(説教)されたため、仕方なく出席することになった。


 ちなみに、ロザリアは俺の付き添いという形で、ちゃっかり隣の席に座っている。


『覇王丸さんって、女の人の言うことは素直に聞きますよね』


(そんなことはない)


『いやいや。そんなことあるでしょ』


 俺が真剣に話を聞いているふりをしながら、山田と他愛ない会話をしていると、南部地域で起きた戦闘の経過報告は終わり、話題がそこから一歩、踏み込んだ内容のものに変わった。


「スエービルランス王国から停戦の申し入れは?」


「特には何も。現在は南の砦を挟み、緊張状態が続いているようです」


 リカルドの質問を受けて、ウォートランド侯爵が回答した。


 どうでもいいが、この会議でもウォートランド侯爵が司会進行の役を引き受けている。


 適当な文官や若手の貴族に代わりをさせてもよいと思うのだが、本人がやりたがるので誰も止めていないようだ。

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