王女奪還作戦 プロポーズ(三回目)
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次回の更新は明後日です。
「お前さあ……。自分でやっていて、何かおかしいとは思わないのか?」
「一世一代の申し出であろうが。手紙ではなく自分の口から伝えんか」
またもやハウンドとゲンジロウ爺さんが口を挟んでくるが、俺は今度も無視をして、手紙に目を通すロザリアの様子を注視した。
(一世一代と言われても、こっちはそうじゃないからな)
『昨日と今日で、三人目ですからね。結婚詐欺師でも自重しますよ』
山田が呆れたように皮肉を口にするが、実際、それくらいのハイペースだ。
だが、俺としては、こうするしかなかった。
言葉巧みに異性を口説いたり、甘い言葉を囁いたりするのは、はっきり言って俺の領分ではないし、柄でもない。
それならば、現実を突き付けてしまう方が、手っ取り早いと踏んだのだ。
いろいろなことが起こりすぎて、すっかり打ちのめされてしまった心を立ち直らせるには、毒にも薬にもなる「結婚」という劇薬が、ちょうど良い「気つけ」になるだろう。
はたして、国王の手紙に目を通したロザリアの顔には――――見る見るうちに血色が戻ってきた。悲しみの感情も、罪の意識も、自己嫌悪も、すべてが吹き飛んでしまったようだ。
「あ、あの……。覇王丸様? これはいったい……?」
「手紙に書いてあるとおりだよ。獣王を倒したご褒美に、そうしてもらったんだ」
「で、でも、私と覇王丸様が……その」
頬を紅潮させて動揺を隠しきれずにいるロザリアの肩に、俺は手を乗せ、深呼吸をして心を落ち着かせるように言い聞かせた。
「いいか? 一度しか言わないから、ちゃんと聞いてくれよ?」
「は、はい」
ロザリアはごくりと息を飲んで、俺の言葉を待ち構えた。
「――――反乱の責任を取って死刑になりたくなかったら、俺と結婚しろ」
『何だそりゃ! どんなプロポーズだよ!』
「脅迫じゃねーか!」
「見下げ果てた男だ」
ここぞとばかりに、外野が集中砲火を浴びせてくるが、そんなもの知ったことではない。
こちとら、一世一代のはずのプロポーズを、昨日から立て続けに三回も(しかも知り合いの見ている前で)しているのだ。
それが、どれだけ精神的なエネルギーを消耗することだと思っているのか。
『覇王丸さんにとっては三回目でも、お姫様にとっては初めてなんだから、もっと気の利いたセリフを言ってあげればいいじゃないですか』
(断られたらどうするんだよ。赤っ恥だぞ)
『この流れで断るとかあり得ないでしょ。お姫さまだって、これが自分を助けるための策だと気づいていますよ』
山田はそう言うが、それならばそれで、やはり、気の利いたセリフを言うことは憚られる。
俺はただ、ロザリアを取り巻く環境――――窮屈な現実をぶち壊したいだけなのだ。
断ることのできない状況につけ込んで、取引めいた婚姻を承諾させたいわけではない。
できることならば、ロザリアにも、自分は悪くない、だから、俺との結婚を利用してやると開き直ってほしかった。
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