表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
570/1756

王女奪還作戦 再会と拒絶

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です。

「ロザリア様、よろしいですか」


 ゲンジロウ爺さんは和服の襟元を正すと、客室の扉をゆっくりとノックした。


「王都より迎えの者が来ました。――――覇王丸です。あの破天荒な大男が、陛下の書簡と、いつものように出鱈目な策を携えて、たった二人で乗り込んで参りました。既にシャードを退け、屋敷を制圧したようです」


「絶対に馬鹿にしてるだろ?」


「そんなことはない」


 俺からのクレームを適当にあしらいつつ、ゲンジロウ爺さんがゆっくり言い聞かせるように報告すると、ややあって客室の扉が開き、隙間からロザリアが顔を覗かせた。


(……少しやつれたな)


 俺の記憶の中のロザリアと比べると、別人のようだ。まるで生気が感じられない。


「覇王丸……様?」


「よう。久しぶりだな」


 俺が王城内でたまたま見かけたくらいのノリで声を掛けると、ロザリアはくしゃりと表情を歪ませた。無理に笑おうとして、失敗してしまったようだ。


 堰を切ったように、涙がその頬に零れ落ちた。


「……貴方は、私の所に来る時は……いつも、傷だらけなのですね」


「見た目ほど酷い状態じゃないんだけどな」


「あれほど、無茶はしないでほしいと……。私が、お願いしたのに」


「努力はしたぞ」


 でも、俺はまだ実力不足だ。足りない分は、血で払わなければならない。


 そして、血を払うなら、この中で一番タフな俺が払うべきなのだ。


「心配させたことについては謝る。でも、それをいうなら、怪我をして稽古を付けてくれない爺さんや、もっと簡単に助けられる場所に捕まっていないお前も悪いんだぞ」


「ひでーな」


「無茶苦茶だの」


 ハウンドとゲンジロウ爺さんが横から口を挟んでくるが、俺はガン無視して言葉を続ける。


「それに、前にも言っただろ? 俺の中では、お前は優先順位が高いんだ。お前が困っているなら、体を張って助けるくらいのことは、いくらでもする。これは俺が勝手にやっていることだから、お前が気にする必要は無い。運が良かったくらいに思ってくれればいいんだ」


「そういうわけには……」


「いいから。王都に帰ろうぜ? 王様も、金髪も、ジョアンも、皆が待ってるから」


 そう言って、俺は手を差し出したのだが――――


「……ごめんなさい」


 ロザリアは一瞬だけ伸ばしかけた手を、数秒の逡巡の後、引っ込めてしまった。


「覇王丸様。そう言っていただけるのは嬉しいのですが……。私にはそんな資格は」


「うるさい」


「え?」


 俺は差し出した手をそのまま振り上げて、ロザリアの脳天にチョップを振り下ろした。


「いたっ」


 勿論、本気ではない。


 チョップは本気ではないが――――俺は本気でイラついていた。


 罪の意識から内罰的になっているのは分かるが、周囲の「助けたい」という気持ちにまで、目を背けてどうするのだろうか。


「資格が無い? そんなの当然だろ。そもそも、お前はもう王族じゃないんだから」


「え?」


 どういうことですか? と。


 ロザリアが説明を求めてきたので、俺は仏頂面のままゲンジロウ爺さんに手を伸ばした。


「爺さん、さっきの手紙」


「ほれ」


 ゲンジロウ爺さんから国王の手紙を引ったくると、それをロザリアに突き付ける。


「……これは?」


「いいから読め。読まないなら、もう一発、頭を引っ叩くぞ」


「は、はい」


 俺に威嚇まじりで急きたてられ、ロザリアはあたふたと手紙を読みはじめた。

評価、ブックマーク、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ