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第9話 春の掛け声とメロンの香りと、恋に名前がついた瞬間

府中高校での三度目の春は、メインの教室棟へと続く道を埋め尽くすような桜の花びらの雨と共に始まった。

二年生の初めのような机と椅子を抱えて先生から逃げ回る混乱した光景はなく、新学期の始業式の朝、三階の二つの教室の前に掛かっていた木のプレートは、守衛さんによって静かに取り外され、二つの真新しいプレートに付け替えられていた。3年A組と、3年B組だ。

俺たちは——かつては何も知らない十五歳、十六歳のガキだった俺たちも——今や正式に三年生、この高校で最上級生の先輩となったのだ。

しかし、「三年生の先輩」という響きがどれほど威風堂々としていようと、四月の最初の週からの3年B組の教室内の空気は、それと同じくらい息苦しく、張り詰めたものだった。

「よく聞きなさい、3年B組のあんたたち!」

三年連続で俺と親友の山本健二の担任を務めるという記録を打ち立てた沢渡先生は、教壇に立ち、黒板のすぐ上にデカデカと貼られたカウントダウンカレンダーを木の定規でビシッと指した。

「センター試験まで:あと280日!」

「三年生になってクラスも机も変わらなかったからって、去年のようにお祭り騒ぎして遊んでられると思ったら大間違いよ!」沢渡先生の鋭い視線が、教室でうつむく四十個の頭の上を舐めるように通り過ぎ、窓際から四番目の俺の机でピタリと止まった。「特に、そこの運動部の鈴木と山本! 五月末の夏の大会は、あんたたちが部活を引退して大学受験に全神経を集中させる前の最後の大会よ! 今学期の模試で第一志望の基準点から落ちるようなことがあったら、毎日夜の八時まで学校に残って私と補習授業を受ける覚悟をしておきなさい!」

3年B組のクラス全体から、まるで毛をむしられるアヒルの群れのような悲痛なうめき声が一斉に上がった。

朝のホームルームが終わった後、前の席の健二は、レンガのように分厚い日本史の参考書の山にぐったりと突っ伏し、長いため息をついた。

「終わったよ、翔太……。三年生の初日から、俺の未来は墨汁みたいに真っ暗だ。おまけに今日の午後は、最後の夏の大会に向けてバスケ部の練習量が倍増してるってのに!」

「何ブツブツ言ってんだよ! どうせ高校生活最後の大会なんだ、歴史に残るような試合をしてから、安心して手を洗って受験勉強に専念すればいいだろ!」

俺は振り返って親友の肩をバンと威勢よく叩き、再び前を向いて、右隅に五芒星の傷がある机の中から茶色いノートをこっそり少しだけ引き出した。

かつては分厚かったノートも、今や残すところあと三分の一に突入していた。

昨日は新学期最初の月曜日で、3年A組の俺の軍師殿は、春休みを経て、受験生としての決意に満ちた日記のページと共にノートを引き継いでくれたのだ。

俺は机の下でノートを開き、パンをかじりながら頬杖をついて、彼女が先週末に書いた丸っこい黒インクの文字をもう一度読んだ。

『三年生最初の週の金曜日: おはよう、3年B組の三年生、鈴木翔太! これで私たち、本当に最後の学年に突入したわね。昨日、うちの3年A組の担任も黒板の上に大学受験までのカウントダウンのカレンダーを貼ったんだけど、あの数字を見るだけで心臓がバクバクして倒れそうになっちゃった。 この前の春休み、口が酸っぱくなるまで説得して、やっと両親が北府中駅の向こうにある美術予備校の夜間クラスに通うのを許してくれたの。ただし条件として、学校の模試の点数でクラスのトップ10から絶対に落ちないこと! ということで、四月の最初の週の今週から、私は毎日放課後、画用紙の入った筒を背負って、学校から「三億円事件」の通りを抜けて十分以上早歩きして、17時半のデッサンの授業に間に合うように通ってるのよ。足が棒になるくらい歩くけど、大好きな筆を持てるのはすごく楽しい! そっちの背番号7の選手はどう? 五月の引退前の最後の大会の準備は進んでる?』

彼女の「学校から三億円事件の通りを抜けて十分以上歩いて」という文字を読んだ時、パンを噛んでいた俺の動きがふと止まり、眉が少しひそめられた。

「あれ……『三億円事件』の通りって、どこの道のことだ?」

俺は喉の奥で小さく呟き、頭の中にわずかな疑問が湧き上がった。

子供の頃からここに住み、二年以上もこの学校の周辺を行き来してきた俺は、たい焼き屋のある路地から学校から徒歩十五分圏内の電柱の数まで全部頭に入っているが、この辺りの道を「三億円事件」の通りと呼んでいるのを聞いたことは一度もなかった。

自分の記憶に自信が持てず、俺は振り向いてボールペンで健二の背中を突いた。

「おい健二、ちょっと聞くけど……。うちの学校から駅に向かって徒歩十分くらいのところに、『三億円事件』の通りなんて名前の道あったっけ? というか、その三億円事件って何のことか知ってるか?」

バナナミルクを飲んでいた健二は、ぽかんとして俺を見上げた。

「はあ? 何の三億円事件だよ? うちの学校の周りなんて、町内会長の飼い犬が迷子になっただけで町内放送で三日間も探し回るくらい平和なのに、三億円もの事件なんて起こるわけねーだろ! きっと土曜の夜の刑事ドラマのタイトルか、あっちのクラスの女子どもが駅裏の暗い坂道に勝手につけた怪談用のあだ名に決まってるさ!」

「あー……確かにそうかもな!」

俺は笑いながら頷き、健二の筋の通った説明に完全に納得した。きっと3年A組の想像力豊かな画家さんが、三億円事件が出てくる推理小説でも読んだばかりで、予備校へ向かう午後の道を歩きながら退屈しのぎに、そんな刑事ドラマみたいなあだ名を自分で勝手につけたに違いない! 俺はついでに余白にからかいの言葉を書き足した。「おい画家さん、学校の周りに『三億円事件』なんて通りはないぞ。推理小説の読みすぎで、歩きながら自分が探偵になったとでも妄想してるのか?!」

そして3年A組の教室で、四月末にノートが戻ってきた時、高橋蒼はその行を読んで一人で首を振って吹き出した。

彼女は心の中で思った。(本当に、バスケとタコさんウインナーのことしか頭にない男子なんだから! うちの学校から一キロちょっとしか離れてない通りで起きた歴史上最も有名な事件で、大人はみんな知ってるのに、彼やその友達は一文字も知らないなんて! まあいいわ、このバカと歴史の話をするなんて馬の耳に念仏だしね)

そうして、午後の予備校へ通う道の話は、二人の受験生の数学の公式や英単語でいっぱいのページの中で、すぐに幕を閉じた。

◇

五月上旬の数週間は、初夏の竜巻のようにあっという間に過ぎ去っていった。

3年A組の教室で、高橋蒼は高校に入学して以来最も忙しい時期を迎えていた。

昼間は学校で、両親との「クラスのトップ10を維持する」という約束を守るため、国語、英語、世界史の模試を何十回も解いて頭をフル回転させなければならなかった。そして毎日の放課後、四時のチャイムが鳴ると、彼女は黒いプラスチックの図面ケースを肩に掛け、急ぎ足で北側の坂道を越えて夜八時まで石膏デッサンの予備校に通い詰めていた。

五月中旬の金曜日の午後、学校と予備校の間を行ったり来たりしてふくらはぎがパンパンになるような一週間を終え、蒼は帰りのホームルーム前に3年A組の机に座り、来週ノートを受け取る翔太——彼のバスケ部が学生生活最後の夏の大会に突入する週——のために、引き継ぎの日記を書こうと茶色いノートを開いた。

隣のページに翔太が先週描いた殴り書きの自画像——白いハチマキを巻いてスリーポイントシュートの練習をしながら、沢渡先生の補習を恐れて涙を流しているとんがり顎の棒人間——を見て、蒼の唇は思わず優しい微笑みの形にカーブした。何も考えず、彼女は黒インクのペンを取り、いつものようにおしゃべりするような感覚で、金曜日の午後の日記を一気に書き連ねた。

『金曜日:今週は本当に時間との戦いの一週間だったわ、翔太! 昨日の午後、ちょうど下校の時間に急に土砂降りになっちゃって、私、図面ケースを抱えて光の速さで予備校まで走ったの。走りながら頭の中でずっと「エッホエッホ、紙が濡れる前に早く予備校に着かなきゃ、エッホエッホ!」って呟いてて、自分がなんだかフクロウのヒナみたいで笑い死にそうになっちゃった! そういえば、来週はあんたが引退する前のバスケ部の最後の夏の大会でしょ? 手のひらにマメができるまでスリーポイントの練習をして、沢渡先生の罰を恐れてるあんたの描写を読んでたら、なぜかあんたが最近ちょっと「メロい」って思っちゃったわよ! 何も後悔しないように、全力で試合を頑張ってね、3年B組の背番号7の選手! 私はずっとこの机の向こう側からあんたを応援してるから! おやすみ、また来週ね!』

◇

「エッホエッホ……それにメロいだと?!」

夏のバスケ大会が開催される週の月曜日の朝、3年B組の教室で、俺は茶色いノートを手に持ち、自分の脳の電気回路が完全にショートしたかのように感じていた!

一年生の時の「片想いハート」の惨劇や、二年生の「風呂キャン」の騙し討ちを経て、俺は寝室の電球に誓って、三年生になったら二度とこの3年A組の彼女の奇妙な語彙を勝手に推測したりしないと決めていたのだ。

しかし……彼女がこのページに書いた文字を見てくれ!!

まずはこの連呼だ。「エッホエッホ、紙が濡れる前に早く予備校に着かなきゃ、エッホエッホ!」に加えて、「自分がフクロウのヒナみたい」という自白!

なんだこれ?! どうして十八歳という大人の入り口に立つ三年生の女子が、雨の中を走る時にジムの爺さんみたいに「エッホエッホ」なんて荒い息を吐き、あまつさえ自分を……フクロウのヒナだなんて自称するんだ?! 予備校のプレッシャーが強すぎて、走りながら息を合わせるために「イチニ、イチニ、エッホエッホ」みたいなエアロビの掛け声を自分で作曲したってのか?!

だが、その「エッホエッホ」という体操の掛け声よりもさらに恐ろしいのは、すぐ下の段落のこの一文だ。

『手のひらにマメができるまでスリーポイントの練習をして、沢渡先生の罰を恐れてるあんたの描写を読んでたら、なぜかあんたが最近ちょっと「メロい」って思っちゃったわよ!』

「メロい」だって?!!

俺の心臓は突然、胸から飛び出しそうなほど激しくドクンと鳴った!

紙の上のその文字を何度も読み返してみても、今の俺の頭の中に響く音は「メロン」の三文字しかなかった!

間違いない! 最近の若者は言葉を省略するのが好きだから、あの「メロい」は絶対に彼女が「メロンっぽい」を省略した言い方だ——つまり、メロンのような甘くて爽やかな香りってことだ!!

よく考えてみろ。メロンソーダは、去年のC棟での待ち合わせからの俺たちの運命的な思い出の飲み物であり、今年の卒業式に俺が彼女に十缶買ってあげると約束したものじゃないか!

最後の大会に向けて俺が手のひらにマメができるまでシュート練習をしている話を読んだ時、なぜ彼女は突然俺が少し「メロい」と感じたのか?! それはつまり、非常に洗練された暗喩なんじゃないか。今の彼女の目には、バスケットコートで汗を流す俺の姿が……彼女が大好きなメロンソーダのように、魅力的で甘く映っているということなんじゃないのか?!!

「うわああぁ……」

顎から耳の先まで、俺の顔は思わず真っ赤に染まった!

理性が「お前はまた二年前のように『メロい』と『エッホエッホ』の意味を勘違いしようとしている、九割九分間違っているぞ」と告げていたにもかかわらず、彼女が俺の最後の試合を応援するために、メロンの香りのように耳に心地よくて甘い言葉を使ってくれたと思うと、どういうわけか温かい熱が俺の胸いっぱいに広がっていくのだった。

俺は慌ててボールペンを手に取り、バカのようにニヤニヤと笑いながら、生死を懸けた試合の週に入る前に、ノートに短い返事を急いで書き殴った。

『月曜日:おい、3年A組の画家さん! 三年生にもなって、君の言葉遣いはますます奇妙な方向に進化してるな! 雨の中を走りながら、公園で太極拳やってるお爺ちゃんみたいに「エッホエッホ」なんて体操の掛け声を出すやつがあるか?! それに、下にある「メロい」って褒め言葉はどういう意味だ?! 卒業式に僕が買ってあげるって約束したメロンソーダが飲みたすぎて、今や僕がバスケの練習をしてるのを見ただけで、僕がメロン味みたいに甘くて美味しそうに見えちゃうのか?!(今回は僕の推理は百パーセント完璧だぞ、誤魔化そうとしても無駄だからな!) でもまあ、軍師殿から「メロンみたいに甘い」って褒められてから戦いに行けるなら、僕の戦闘力は千パーセントだ! 今週の金曜日の午後が、僕たちにとって最後の夏の予選なんだ。勝利の報告を持ち帰ってノートに書くから、待っててくれよな!』

◇

五月下旬の金曜日の午後——夏の県大会の日であり、そして俺が府中高校バスケットボール部の背番号7のユニフォームに袖を通す最後の日だった。

三回戦の俺たちの対戦相手は、北工業高校——電柱のようにひょろ長い選手たちを揃える、県内のディフェンディングチャンピオンだ。

コート上での公式戦四十分間、俺も、山本健二も、そしてチームの三年生全員も、十八歳の最後の一滴の汗まで本当に完全に燃やし尽くした。俺は両方の肺が火のように熱く燃えるほど走り、ルーズボールに飛び込んで両膝を擦りむき血をにじませ、狭い角度からのスリーポイントシュートを連続でリングに沈めた。

しかし、現実のスポーツには、去年の冬の大会のような土壇場の魔法がいつも起こるわけではない。

体育館に無情な試合終了のブザーが鳴り響いた時、電光掲示板のスコアは二つの数字で止まっていた。68対72。

俺たちは四点差で敗れた。そして俺たち三年生の部活の夏は……ここで正式に終わったのだ。

試合後、湿布の匂いが立ち込めるロッカールームで、普段はチームで一番騒がしくてよく笑う大柄な健二が、ロッカーの隅に座り込んでいた。汗まみれの白いタオルで顔を覆い、その広い両肩は声にならない嗚咽で震えていた。周りに立っている一年生と二年生の後輩たちも、先輩たちと一緒に次に進めなかったことを謝りながら、うつむいて涙を流していた。

俺は自分のロッカーの前に立ち、脱いだばかりのユニフォームの7の数字をそっと手で撫でた。

鼻の奥がツンとし、悔しさで喉が締め付けられた。この体育館の屋根の下でオレンジ色のボールを追いかけた二年半は、今、本当に過去のものとなってしまったのだ。

俺がスポーツバッグを肩に掛けて体育館裏の廊下に出た時、学校に帰る前に顔を洗ってスッキリしようとしていると、手洗い場の横にある鬱蒼とした緑の桜の木の下から、突然女子生徒の澄んだ声が響いた。

「鈴木先輩……!」

俺は振り返った。数歩離れたところに立っていたのは、あかり——俺たちのバスケットボール部の二年生の女子マネージャーだった。彼女は水筒のバッグの紐を胸の前できつく握りしめ、五月下旬の夕日を浴びてその可愛らしい顔を赤く染めていた。

「あ、あかりか。みんなもう帰りのバスに乗る準備をしてるのに、ここで何してるんだ?」俺は先輩らしい明るい笑顔を無理に作ろうとした。

あかりは下唇を軽く噛み、そして突然一歩前に出て、俺の目の前で九十度に深く頭を下げた。そして、角に小さなバスケットボールの刺繍が入った白い汗拭き用のリストバンドと、淡い水色の封筒を差し出した。

「鈴木先輩、この一年以上、部活を引っ張ってくださって本当にありがとうございました! 実は……去年マネージャーとして部活に入った最初の日から、ずっと先輩のことを尊敬していて……大好きでした! 今日で先輩は正式に部活を引退されるので、今言わないと、この先先輩が大学受験の勉強で忙しくなって体育館で会う機会がなくなってしまうと思って……。もし鈴木先輩に今彼女がいらっしゃらないなら、私と……お付き合いしていただけませんか?!」

初夏の風が、俺たちの頭上にある葉の隙間をサラサラと音を立てて吹き抜けた。

俺は手洗い場の横で立ち尽くし、目の前で震えているリストバンドと淡い水色の封筒を見つめた。

十八年の人生の中で、これほどまでに大きな誠意と勇気を持って女の子から直接告白されたのは、これが初めてだった。あかりはとても可愛らしくて、働き者で、常にチームのメンバーを気にかけてくれる二年生の女の子で——以前は俺のクラスの男子たちもしばしば感嘆と憧れを口にしていた、まさに夢のような彼女の理想像だ。

もし俺が一年生か二年生の鈴木翔太——口を開けば「非リア脱出作戦」と叫んでいたあの頃の男——だったら、間違いなく顔を真っ赤にしてパニックになるか、天にも昇るような心地でどうしていいかわからなくなっていただろう。

しかし……彼女の「もし今彼女がいらっしゃらないなら、お付き合いしていただけませんか?」という質問を聞いたまさにその瞬間、俺の胸の中には、目の前の人に対する心の揺らぎなど微塵も生じなかったのだ。

なぜなら、その千分の一秒の瞬間に、俺の脳と心臓はすべての理性に代わって答えるために、ある一つのイメージを自動的に浮かび上がらせたからだ。

それは、俺がこれまでに見たことのある特定の誰かの顔などではなく、茶色いノートのページに書かれた、時に丁寧で、時に怒りでグチャグチャに線を引かれた黒インクの文字であり、空高くジャンプする背番号7の選手のスケッチであり、秋のページの隅にある乾いた涙の跡であり、そして今週の月曜日の朝に俺をバカだと言いながらも「メロい」と褒めてくれた、あの生意気な口調だった!

俺は一瞬の躊躇いも迷いもなく真っ直ぐに立ち、目の前のマネージャーの女の子を最も真剣で尊重に満ちた眼差しで見つめ、そして静かに頭を下げた。

「俺みたいにまだ未熟な先輩を好きになってくれて、本当にありがとう、あかり。それに、今までずっとチームを支えてくれてありがとう。でもね……ごめん。この手紙を受け取ることはできないし、君と付き合うこともできないんだ。だって今……俺の心の中には、好きな人がいるから」

その言葉を口にした後、自分自身の口から出た言葉の響きを聞いて、俺自身もハッとして言葉に詰まり、息が喉に詰まった。

俺の心の中には……好きな人がいるだって?!

あかりが俺の正直さに作り笑いで感謝し、チームのバスに向かって走っていった後も、俺は木陰の下で一人釘付けになったように立ち尽くしていた。右手は無意識に左胸に置かれていた。そこでは、コートで試合を終えたばかりの太鼓の音のように、心臓が激しく脈打っていた。

「あかりちゃんを断ったのか、翔太?」

親友の山本健二が、いつからそこにいたのか、体育館の死角の壁に寄りかかっていた。さっきの負け試合で泣いたせいで目はまだ少し赤かったが、俺の肩を叩くために歩み出てきた時には、理解に満ちた薄ら笑いを浮かべていた。

「お前をバスに呼びに行こうと思ったら、偶然最後の方だけ聞こえちゃってな……。『俺の心の中には好きな人がいる』ってあの子に言ってたよな。その人って美波じゃないんだろ? もしかして……この二年以上ずっとお前の3年B組の机の中にいる、あの茶色いノートの持ち主ってことか?」

俺は一番の親友の方を向いた。いつもの癖で「まだ顔も名前も知らない相手を好きになるわけないだろ!」と言い返そうと口を開きかけた。

しかし……俺の喉からは、もういかなる音も出すことができなかった。

蜂蜜色をした夕日の光が葉の隙間から真っ直ぐに俺の目に差し込み、この二年間俺の心の中にあったあらゆるごまかしの霧を、真実のまばゆい光の下で一瞬にして吹き飛ばしたのだ。

どうしてさっき、高校最後の試合に負けた直後、一番最初で唯一、慰めてもらうために走って帰って報告したいと思った相手が彼女だったのか?

どうして毎週月曜日の朝学校に行き、机の中の茶色いノートに触れるだけで、プレゼントをもらった子供のように有頂天になり、彼女が奇妙な俗語で俺を褒めてくれたのを読むと、まる一週間心臓がドキドキし続けるのか?

そして、現実で可愛い女の子が目の前に立って告白してくれたのに、なぜ俺の心臓は、ここで他の誰かに頷いてしまったら、あの机の向こうの彼女との、卒業式に桜の木の下で会うという約束を裏切ることになるという恐れから、即座にそれを拒絶したのか?!

もし今俺の胸を満たしているこの強烈で、唯一無二で、代わりのきかない感情が愛ではないのだとしたら……この世に愛と呼べるものなんて他にあるだろうか?!

「マジでヤバいぞ、健二……」

俺はバスケットボールの松ヤニの匂いがまだ残る手で熱くなった顔の半分を覆い、苦笑いしながらも震える声で親友に白状した。

「どうやら俺……本当に彼女のことが好きみたいだ。まだ名前も知らない、現実で顔を見たこともない3年A組の人のことが……救いようがないくらい本当に好きになっちまったみたいだ、健二!」

◇

そして木の机の向こう側——六月最初の月曜日の朝、3年A組の教室にて。

「エッホエッホ」を公園での体操の掛け声だと解釈し、「メロい」を「メロンのように甘くて美味しい」と解釈した翔太を前のページで完膚なきまでに罵倒した後、今週の月曜日の朝にノートが手元に戻ってきて、翔太の引退試合の後に書かれた日記のページを読んだ時、高橋蒼は完全に言葉を失っていた。

そのページには、いつものような騒々しい自慢話はなかった。

翔太は、三回戦での四点差の惜敗のこと、親友の健二がロッカールームでタオルを被って泣きじゃくったこと、そして彼が正式に背番号7のユニフォームを脱ぎ、バスケットコートでの二年半の青春に幕を下ろしたことを語っていた。

そしてそのページの最後の段落では、翔太の筆跡は普段よりもずっとためらいがちなものになっていた。

『金曜日の深夜(家の勉強机で書いてる): ねえ、3年A組の軍師殿……。「エッホエッホ」と「メロい」の意味を前のページで説明してくれてありがとう。「メロい」ってのは、人の心を溶かすって意味であって、メロンの味のことじゃなかったんだな……。マジで穴があったら入りたいよ! でもね、今日、最後の試合が終わった後、君にだけ本当のことを話したいんだ。体育館を出ようとした時、部活の後輩の女の子に告白されたんだよ。もし僕が一年生の頃だったら、嬉しくて近所中に自慢して回ってたはずだ。でも今日……僕は一秒も考えることなく、その場ですぐに断ったんだ。 健二に理由を聞かれた時、僕はものすごく衝撃的な事実に気づいてしまった。どうやら僕の心の中には、ずっと前から好きな人がいたみたいなんだ。 その人はすごく変わってるんだ。字は印刷したみたいに丸くて綺麗だし、絵も超上手いのに、性格は生意気で僕のことをいつもとんがり顎とか鳥頭って罵ってくる。花火の夜には下駄を脱いで裸足で走って迷子になるし、疲れたらお風呂をサボって「風呂キャン」って言うし、雨の中を走る時はフクロウのヒナみたいに「エッホエッホ」って言うし……。それなのに、いつからか僕は、その人にだけ怒られたいし、その人にだけ笑ってもらうために棒人間の絵を描きたいし、ただ来年の三月の卒業式の日に時間が早く過ぎて、正門の桜の木の下で生身のその人に会えることを願っているんだ。 これを書いてるのは、期限前に協定を破るように君に要求してるわけじゃないからな! 僕は卒業の日まで待つっていう誓いを必ず守る! ただ、「僕の心の中の軍師長」に報告しておきたかったんだ……。今日から、卒業証書を手にして校門を出るその日まで、この鈴木翔太の心は正式に持ち主が決まったってことをね! おやすみ、また来週!』

3年A組の窓際から四番目の机で、高橋蒼の手に握られた茶色いノートがブルブルと震えていた。

彼女の顔は夏の夕焼けのように真っ赤に染まり、胸の奥で息が詰まり、そして彼女の心臓は、3年A組の教室で自習している四十人の生徒全員に、自分の席から響くそのドクン、ドクンという音が聞こえてしまうのではないかと思うほど激しく鼓動していた!

「その人……字が丸くて綺麗で、絵が超上手くて、彼のことをとんがり顎って罵って、花火の夜に下駄を脱いで裸足で走って、疲れたら風呂キャンして、雨の中を走る時はエッホエッホって……」

この世界に、私——高橋蒼——以外に、そんな特徴を持っている人間がもう一人いるわけがないじゃないの?!!

彼は……もう他の女の子のことについて相談する軍師として私を頼っているわけではなかった。彼は彼自身と私との二年間以上の思い出のすべてを使って……このページの上で直接私に間接的な告白をしているのだ!!

翔太のその切実なまでに誠実な言葉を読み終えた瞬間、蒼の十八歳の心の中にあった最後の霧のベールも完全に引き剥がされた。

なぜあんなにもあっさりと隼人を断ることができたのか。なぜ去年の夏、C棟で彼を失うのを恐れてあんなに泣いたのか。そしてこの二年間、校庭の桜の木の下を歩くカップルを見るたび、自分が一緒に歩きたいと願った唯一の人が、あの3年B組の見知らぬ男子だったのはなぜなのか。

翔太だけではなく……蒼自身も、いつの間にか机の向こう側のあの少年に恋をしていたのだ!

蒼は熱くなった両頬に両手を当て、茶色いノートに顔を伏せて、唇に咲きこぼれる戸惑いと最高の幸せが入り混じった笑顔を隠した。

彼女は3年A組の黒板の上にあるカウントダウンのカレンダーを見上げた。

三年生の六月が始まった。あとちょうど九ヶ月——燃えるような受験勉強の夏、最後の学年の秋、そして真っ白な雪の冬を経て——三月の卒業式の日がやってくる。正門前の桜の木の下での約束が、二人の三年間にも及ぶ青春の夢を現実にするその日が!


お読みいただき、ありがとうございます!

次話は明日19時20分に更新します。

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