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第8話 二つの同心円と卒業式の約束

十月上旬の月曜日の朝、初秋の冷たい風が、薄黄色く色づき始めたイチョウの葉を府中高校へと続く坂道に舞い上げていた。 静まり返った週末を終えた四角い校舎を、秋の高く澄み切った空が巨大な鏡のように見下ろしていた。

三階にある1年A組ならぬ2年A組の教室で、高橋蒼はドアをくぐるなり、真っ直ぐ窓際の自分の席へと無言で歩いていった。

過ぎ去った九月の四週間、月曜日の朝はいつも、空っぽの机の中に手を入れる時のじわじわとした失望感から始まっていた。 先週、親友の由佳が「C棟で何か誤解があったのかも」と励ましてくれたが、期待すればするほど、指先が冷たい木の表面に触れた時の恐怖は大きくなるばかりだった。

蒼は革のカバンを椅子に置き、乱れた心拍を落ち着かせるために大きく深呼吸をした。 彼女は座り、靴紐を直すフリをしてうつむきながら、ゆっくりと右手を左隅に歪な星型の傷がある木の机の中へと滑り込ませた。

コツン。

蒼の指先が、硬くて分厚い、見慣れたザラザラした紙の表紙に触れた瞬間、背筋に電流が走ったように全身がビクッと震えた!

「あっ……!」

蒼の喉から小さな声が漏れた。 隣の席で小さな鏡を見ながら前髪を直していた由佳も、すぐにバッと振り向いた。 ばっちりメイクをした親友の目は、蒼が震える手で机の中から引き出した角の擦り切れた茶色い物体を見て、パッと見開かれた。

「蒼!! ノート……茶色いノートが本当に戻ってきてるじゃない!!」

蒼は一言も言葉が出なかった。 胸の中で心臓が飛び出しそうなほど激しく鼓動していた。

一学期最後のあのC棟での午後から二ヶ月以上の長い月日を経て、茶色いクラフト表紙のノートはついに、本当に彼女の膝の上に戻ってきたのだ!

蒼は少し震える手で、七月に自分が書いた待ち合わせの手紙のすぐ次にある、最新のページをめくった。

目に飛び込んできたのは、自由奔放な男子の字でびっしりと埋め尽くされたページだったが、今回の文字は殴り書きで切羽詰まっており、翔太の怒りに満ちた筆圧で紙に深く跡が刻まれていた。

『九月末の金曜日: おい、約束を破った2年A組の裏切り者!! 僕は卒業するまでこのノートをカバンの中に隠し持って、君のことなんか一生無視してやろうと思ってたんだぞ! でも僕は寛大でフェアな男だから、この「軍師同盟」を正式に解散する前に、最後にもう一度だけ君を問い詰める手紙を書いて白黒はっきりさせてやることにした! ちゃんと僕に説明してみろよ。どうして七月の一学期終業式の金曜日の午後、君自身の口で協定の解除を提案して、16時30分ちょうどにC棟の自販機の前で待ち合わせしようって僕を誘い出しておいて、結局君は一秒たりともあそこに顔を出さなかったんだ?!! あの日、僕がこのノートを右手に持って、メロンソーダを二缶買って、16時28分からC棟の一階ロビーでずっと君を待ってたことを知ってるのか?! 16時45分になっても君が現れないから、君の方向音痴のせいで別のロビーに迷い込んだんじゃないかと心配になって、三十分以上もC棟の建物を汗だくになって走り回って君を探したんだ。それから17時過ぎにまたメインロビーの自販機の前に戻ってきて、18時の学校の閉門チャイムが鳴るまでずっと立ちっぱなしで待ってたんだぞ!! あの日僕の手にあった二缶のメロンソーダは、キンキンに冷えてたのにすっかり生ぬるくなっちまったんだよ、この冷酷女め!! 僕が失恋したのを見て、僕をC棟に呼び出して一時間半もピエロみたいに立たせてからかうためのイタズラだったのか?!……』

紙面を埋める凶暴な非難の言葉の数々が、突然、蒼の目の前で徐々にぼやけていった。

熱い涙の雫が彼女の白い頬を伝い落ち、ポトリという音を立てて白いページの隅、翔太が文末に書いた三つの巨大な感嘆符のすぐ横に落ちた。

「ちょっと蒼! どうして急に泣き出してんの?! あのバカ、ノートで蒼をいじめるようなこと書いたわけ?! 私が2年B組に乗り込んで、そいつをボコボコにしてきてあげる!」由佳は慌ててポケットからティッシュを取り出して蒼の手に押し付け、周りの生徒たちの好奇の目から親友を隠しながら狼狽して尋ねた。

「ち、違うの、由佳……」

蒼は濡れた目尻をティッシュで軽く押さえながら、涙の中で声を上げて笑った——それは、この二ヶ月間彼女を包み込んでいた灰色の雲の層を突き抜ける、朝の陽光のように輝かしい笑顔だった。

「由佳の予想通りだったわ……。彼、私を見捨ててなんかいなかった! あの日の午後、彼も16時28分からC棟に来て、メロンソーダを二缶買って、私と全く同じように18時まで待っててくれたのよ!」

翔太が問い詰める手紙に書き連ねたタイムラインを何度も読み返し、蒼の頭は長い悪夢からパッと目覚めたように晴れ渡った。

すべてが……信じられないほど完全に一致している!

16時28分から16時45分まで:二人とも一階の自販機の前で待っていた。 16時45分以降:二人とも相手が迷子になったのではと焦り、同時に持ち場を離れてC棟の各建物を三十分以上も走り回っていた! そして17時過ぎから18時まで:二人とも「一箇所に立ち止まる」という原則を思い出し、元の自販機に戻って、学校が閉まるまで石像のように死守していたのだ!

「ちょっと待って……。でもなんで二人とも一階のロビーにいて、午後中ずっと探し回っていたのに、お互いにすれ違わなかったの?」由佳は頬杖をついてノートを見つめ、眉をひそめて不思議そうに言った。

蒼は2年A組の窓から、校庭の隅にあるC棟の複合施設を眺めた。 澄み切った秋の陽射しの下、四角いU字型に繋がった教室棟の構造がハッキリと見えた。 この皮肉なすれ違いの答えを今すぐ見つけ出したいというこみ上げるような衝動の中で、蒼はハッと両手を打ち合わせた。

「見て、由佳! C棟の施設は、東側と西側の二つの棟が渡り廊下でU字型に繋がってる構造でしょ! うちの学校のC棟は、東側の階段のロビーにも西側の階段のロビーにも、両方の一階に自販機が置いてあるの! 私が待ち合わせの手紙にただ大雑把に『C棟の自販機』って書いたから、2年A組の階段から降りてきた私は西側のロビーで待ってて、2年B組から走ってきた彼は東側のロビーで待ってたに違いないわ!」

「うそでしょ!!」由佳は両手で頬を押さえ、驚きで小さな悲鳴を上げた。「じゃあ、16時45分に二人が同時に場所を離れて探しに行った時は?!」

「あの時は、十五分待っても来ないから二人とも焦ってて、きっとU字の両端から同じタイミングで出発して、同じ方向に各階を走り回ったのよ……」蒼はそのアニメのような皮肉な光景を思い浮かべ、泣き笑いしながら言った。 「だから私が一階の廊下を走って東側のロビーに着いた時には、彼はちょうど階段を二階に上がったところで、私が二階に上がった時には、彼はちょうど西側のロビーへ駆け下りてたのよ! 17時過ぎに二人とも『一箇所に立ち止まる』っていう魔法の呪文を思い出して、建物の両端でお互いに元のロビーに戻って、真っ暗になるまで彫像みたいにじっと立ってたのよ、あのバカ!」

その瞬間、蒼も由佳も、その完璧に筋の通った「二つの同心円」の仮説に完全に納得した。 階段の急ぎ足の音も、あの日の夕暮れに揺れていた白いカーテンも、彼女の妄想ではなかったのだ! 誰も誰かを見捨てたわけではなかった——彼らはただ、夏の午後ずっと、お互いの影を追いかけて無自覚に走り続けていただけなのだ!

二ヶ月以上も蒼の胸に重くのしかかっていた鬱憤、惨めさ、そして孤独感は、まるで最初から存在しなかったかのように綺麗さっぱり消え去った。 代わりに、生ぬるくなった二缶のメロンソーダを抱えて立ち尽くし、私にからかわれたと勘違いして夏中一人で引きこもってすねていたバカな翔太の姿を想像すると、甘美な喜びに一抹の切なさが入り混じった感情が込み上げてきた。

昼休みまで待つことなど到底できず、その日の月曜日の朝の最初の自習時間に、蒼は歴史の教科書を立てて顔を隠し、お馴染みの黒ペンを取り出すと、人生最速のスピードで丸々二ページにわたる長文の弁明の手紙を書き殴ったのだ!

◇

翌週の月曜日の朝——十月中旬。

2年B組の教室で、俺は朝の七時半から机の下でずっと貧乏揺すりをし、判決を待つ死刑囚のように星型の傷がある木の机を凝視していた。

ノートが机の中から消えて2年A組の彼女の元へ渡ってからの一週間、俺は一晩たりとも熟睡できなかった。 俺のあのキツい責め言葉に怒り狂って、一年生の時の脅し通り本当にノートを焼却炉に投げ捨ててしまうのではないかと恐れる一方で、あの「軍師長をすっぽかした」大罪を彼女がどうやって言い訳してくるのかと、ハラハラしながら待っていたのだ。

「おい翔太、お前慢性貧乏揺すり病かよ? 下の俺の机まで揺れてるぞ!」前の席で大あくびをしながら、山本健二が俺の椅子の脚を軽く蹴った。

「うるせえ、冬のバスケの大会に向けて脚の筋肉鍛えてんだよ!」

俺は適当に誤魔化し、健二が隣の席のやつに問題集を借りようと振り向いた隙に、大きく深呼吸をして机の中に手を入れた。今朝戻ってきたばかりの茶色いノートを引き出し、太ももの上に置いた。

俺はドキドキしながら、俺の問い詰める手紙のすぐ次のページを開いた。

そして、見慣れた黒インクの文字でありながら、震えるような感動に満ちた彼女の文章を読んだ瞬間、俺は完全にフリーズした。

『十月上旬の月曜日: 大バカ鈴木翔太!! 勝手に私を約束破りの裏切り者扱いして、ノートを抱え込んだまま二ヶ月以上も一言のメッセージもなく消え去るなんて、誰が許可したのよ?!! 夏休み最初の月曜日の朝、私が本を買うと嘘をついて電車に乗り、机の中のノートを探しに来たことや、九月になってから毎日その空っぽの机の中に手を入れて絶望してたこと、あんたにわかる?! いいこと、目を見開いてよく聞きなさい、このすっとこどっこい! 一学期終業式のあの金曜日の午後、【私も16時28分からC棟に行ってたのよ!!】 私は星型のヘアピンをつけて、C棟の一階ロビーの自販機の前で16時45分まであんたを待ってたわ! その後、あんたが来ないから、あんたの方向音痴のせいで別のロビーに迷い込んだんじゃないかと心配になって、三十分以上もC棟の二階や三階を走り回ってあんたを探したのよ! そして最後は、去年の花火の夜にあんたが教えてくれた「一箇所に立ち止まる」っていう呪文を思い出して、17時過ぎにまたその自販機に戻ってきて、18時のチャイムが鳴って守衛さんが鍵を閉めに来るまで死守してたんだから!! どうして二人ともC棟にいて、スケジュールもぴったり合ってるのに会えなかったのかって?! あんた、ちょっと頭を働かせてC棟の構造を思い出してみなさいよ。C棟は二つの棟が繋がってて、東側の階段のロビーにも西側の階段のロビーにも、【両方の一階に自販機が置いてあるのよ!】 絶対にあの時、あんたは2年B組の方から降りてきたから東側のロビーに立ってて、私は2年A組の方から行ったから西側のロビーに立ってたのよ! 16時45分に二人とも同じ方向に向かって各階を走り出したから、お互いの背中を追いかける形になって、17時過ぎにまた建物の両端でお互いに元の場所に戻って、真っ暗になるまで遠く離れて立ち尽くしてたのよ、この大バカ!!』

「はっ……な、なんだって?!!」

俺は目を丸くしてページを見つめ、茶色いノートを持つ手が小さく震えた。

彼女も……あの日16時28分からC棟に来ていたっていうのか?!

彼女も星型のヘアピンをつけて最初の十五分間俺を待ち、俺を探して三十分以上も各階を走り回り、そして去年の俺の教えを守って学校が閉まるまで一箇所に立ち止まって待っていてくれたっていうのか?!

最初、「東側と西側の両方のロビーに自販機がある」という彼女の言い訳を読んだ時、俺は一瞬だけ眉をひそめて疑った。「ちょっと待てよ……俺の記憶じゃ、C棟には東側のロビーにあの古い自販機が一つあるだけで、西側の階段のロビーには実験室用の手洗い場があるだけで自販機なんてなかったはずだが?」

しかし、そのささやかな疑問は閃いた直後、俺の胸の中に押し寄せる巨大な喜びと安堵の波に完全に押し潰された。きっと初夏に学校が西側のロビーの隅に新しい自販機を設置したのに、バスケットコートにしか興味のない俺が気づかなかっただけなんだ! あの賢い軍師殿の「両端の自販機に立って、お互いの背中を追いかけて走っていた」という説明以上に、この世に理にかなった説明なんてあるはずがない!

「なんてこった……。この二人の大バカ者は……」

俺は右手で目を覆い、背もたれに頭を預けた。極度の安堵と、胸が締め付けられるような切なさが入り混じった長いため息が、胸の奥から漏れた。

誰が誰を騙したわけでもなかったのだ。誰が誰を見下したり、相手の気持ちをおもちゃにしてからかったりしたわけでもなかった。あの日の夕暮れ後半、俺が東側の階段で冷たくなった二缶のメロンソーダを抱えて絶望していた時、彼女もまた足が棒になるまで待ち続け、俺に見捨てられたと思い込んで目を赤くして自販機に寄りかかっていたのだ!

俺は慌てて彼女の二ページ目の文字を読み進めた。最初は強気で生意気だった口調はすっかり和らぎ、感動のあまり少し傾いた筆跡へと変わっていた。

『水曜日(追記): 翔太……。月曜日に机を開けてノートが戻っているのを見つけてあんたの手紙を読んだ時、私、教室の真ん中で泣き出しちゃって、隣の由佳をすごくびっくりさせちゃったわ(前のページの隅に滲んでる跡が見える? 私の涙よ、このバカ!)。 このノートがなかった二ヶ月間、私はすごく悲しくて恐ろしいほど孤独だった。現実で会いたいなんて私が欲張って協定を破ったから、神様が罰として、この学校で唯一本当の自分をさらけ出せる友達を奪ってしまったんだと思ってた。 あの日あんたも18時まで私を待ってくれて、メロンソーダまで買って用意してくれてたって知って、もうあんたのこと少しも怒ってないわ。でもね翔太……今回のC棟でのぐるぐる鬼ごっこ事件を経て、私、なんだかすごく怖くなっちゃったの。この「木の机の魔法」は、私たちが匿名のルールを守っている時にだけ、私たちを守ってくれるものなんじゃないかって気がするの。もし私たちがまだその時じゃないのに無理に会おうとしたら、万が一今度また何か別のすれ違いが起きて、どちらかが本当にこのノートを捨ててしまったらどうなるの? 九月みたいに、空っぽの机の中に手を入れるあの感覚は、もう二度と味わいたくないの。 だから……もう一度「秘密の樹洞協定」を正式に復活させましょう! 今から二年生が終わるまで、そして三年生になっても、私たちは二度と勝手に待ち合わせしたり、お互いを探したりしない。この茶色いノートだけを2年A組と2年B組の唯一の架け橋にして、そして【3年生の卒業式の日】——すべての試験を終えて、卒業証書を手にしたその日に——私たちは堂々と正門前の桜の木の下で会いましょう(正門は一つしかないから、もう絶対に間違えようがないわよ!)。 約束してくれるわよね、軍師長・鈴木翔太?』

秋の柔らかな陽射しが2年B組の窓から差し込み、涙の跡が乾いた彼女のページを黄金色の暖かな光で包み込んでいた。

俺は前のページの隅にある、少しシワになった小さな滲み跡を静かに見つめ、机の向こうの彼女の熱い涙の雫に触れるかのように、親指をそっとそこに置いた。

その瞬間、二週間前の金曜日の午後に沢渡先生が言ってくれた言葉のすべてが、俺の細胞の隅々にまで染み渡るのを感じた。

もしあの日、俺がちっぽけなプライドに固執してノートを机の中に戻さなかったら、俺はこの教室の真ん中で俺のために涙を流してくれた女の子を永遠に傷つけ、十七歳の最も大切なものを永遠に失ってしまっていただろう。

俺はボールペンを取り出し、一秒の躊躇いもなく、ページの半分から下に、これまでで一番丁寧で誠実な字で返事を書き綴った。

『十月中旬の月曜日: ごめんよ、2年A組の軍師殿。今回は百パーセント、一人で勝手に妄想してノートを夏中隠し持ってた僕の責任だ。 向こうのページの涙の跡と、あの日ぬるくなっちゃった二缶のメロンソーダの償いとして、軍師長・鈴木翔太は「秘密の樹洞協定——アップグレード版」に正式に承認の判を押させてもらう! 今日から三年生の卒業式の日まで、何があっても絶対に君を疑わないし、この机の中を二度と一週間以上空っぽになんてさせないって誓うよ! 安心してこの秘密の樹洞の中から好きなだけ僕に文句を言ってくれ。三年生の卒業式の日に正門の桜の木の下に立つ時は、お詫びとしてメロンソーダを十缶、キンキンに冷やして持っていくからな! 指切りげんまんだ、同盟者!』

◇

雨降って地固まる——C棟での誤解の嵐の後、2年A組と2年B組を結ぶ見えない絆は断ち切られるどころか、以前より何倍も強く深いものになっていた。

二年生の晩秋の数ヶ月は、不思議なほど穏やかで温かい空気に包まれて過ぎていった。

十月末の体育祭と十一月上旬の文化祭では、卒業式の日まで現実でお互いを探さないという協定を絶対厳守することで同意していたため、一年生の時のように上着を被ってこっそり相手のクラスの屋台を覗き見に行くようなことはしなかった。その代わり、お互いに自分のクラスの友達と行事を心ゆくまで楽しみ、ノートを持つ週になったら、詳細なレポートにイラストを添えて相手に読ませた。

美波や美術部の隼人の影がページに挟まることもなくなり、俺たちの会話は十七歳のずっと深い部分——将来のこと——に触れ始めた。

十一月中旬、校庭のイチョウの葉が黄金色の絨毯のように地面を埋め尽くす頃、学校は最終学年に向けて「第一回進路希望調査票」を二年生全員に一斉に配布した。

2年A組の教室で、肌寒い小雨の降る木曜日の午後、高橋蒼は放課後に一人で机に向かい、目の前の真っ白な調査票を憂鬱な目で見つめていた。

「希望する学部・大学名(第一希望)」の欄で、鉛筆を持つ蒼の手は宙に浮いたまま、どうしても書き込むことができなかった。

小さい頃から、蒼は絵を描くことやグラフィックデザインが大好きだった。しかし両親は共に伝統的な会社員であり、昨夜の夕食の席で母親は優しくこう言ったのだ。「女の子が美術の道に進むのは大変だし不安定だから、お父さんもお母さんも、蒼には普通の総合大学の経済学部か教育学部に進んで、将来は安定した仕事に就いてほしいのよ」と。

他人をがっかりさせるのを常に恐れる性格の蒼は、食卓で素直に頷いて「はい」と答えた。しかし、この見慣れた木の机の前に座った時、胸が締め付けられるのを感じた。彼女は茶色いノートを開き、将来への恐怖について初めてページに思いをぶつけた。

『木曜日:ねえ翔太、そっちのクラスはもう大学の進路希望調査票出した? 昨日の夜、両親に安定してるから経済学部を受けなさいって言われたの。美術大学やデザインの学校なんて苦労するだけだからって。両親の前では笑って「うん」って答えたんだけど、なんだか学校の用紙に「経済学部」って書こうとすると、手が震えて書けないのよ。親に逆らって落ちたら親不孝になるんじゃないかって怖いし、でもこのまま絵を描くことを諦めちゃったら大人になってから後悔するんじゃないかって怖い……。私みたいに臆病で、いつも人の顔色ばかり窺ってる子が、美大に行きたいなんて夢見るのは非現実的なのかな、翔太?』

その二週間後、十一月末にノートが蒼の机の中に戻ってきた時、彼女の戸惑いに満ちた文章のすぐ下には、2年B組の男子の驚くほど力強く、温かい文字が並んでいた。

『火曜日:君の夢が非現実的だなんて誰が言ったんだ、このおバカな軍師殿?! 美大の教授連中がどうやって採点するのかは知らないけど、僕の目から見れば、君がこのノートに描いてくれた階段の下の野良猫や、親指を立てた「片想いハート」の手の絵は、教科書に載ってる絵の百倍は魂がこもってて生き生きしてるぞ! うちの親父だって、僕に自分と同じ会計士を継げって毎日うるさいんだ。僕は数字を見ただけで目がチカチカするってのにな! でもよく考えたんだ。十八歳からの人生は、僕たち自身が生きるものだろ! もし君が、他の学部を書こうとして右手が震えるくらい本当に絵を描くことが好きなら、一度はそのために戦ってみるべきだ! 調査票には美大も経済学部も両方書いとけ。そして来年の大学受験まで、僕と一緒に死に物狂いで頑張ろうぜ! 君はこのノートの中で優等生の仮面を脱ぎ捨てる勇気を持てたんだから、現実世界でも自分の夢に正直に生きる勇気を持たなきゃダメだろ、2年A組の未来の画家さん?!』

「2年A組の未来の画家さん」という彼の文字を読んで、蒼はまた鼻の奥がツンとなった。

彼はいつもそうだ。普段はくだらないことばかり言って誰よりもナルシストなくせに、彼女が一番弱気になって自信を失っている時に、机の向こうのこの男子だけが、彼女の本当の姿を見抜き、前へと背中を押してくれるのだ。その日の午後、蒼は消しゴムで調査票に薄く鉛筆で書かれた文字を綺麗に消し去り、黒のペンで迷いなくハッキリと『第一希望:視覚デザイン学科 — 美術大学』と書き込み、担任に提出した!

◇

十二月の身を切るような北風が吹き荒れ、毎朝生徒たちが吐く息が白い靄に変わる頃、冬のバスケットボールの地区予選——府中高校バスケ部にとって今年最後の大きな大会——が正式に開幕した。

トーナメントが始まる前の週、俺はノートで彼女に、今年の俺たちのチームがいきなり初戦で地区の第二シードと激突すること、そして俺が三年生の先輩たちから信頼され、レギュラーのポイントガードとして背番号7のユニフォームを任されたことを語った。

試合前日の月曜日の朝、2年B組の机の中で茶色いノートを開いた俺は、一分近く息を止めて固まってしまった。

ノートの真ん中の見開き二ページいっぱいに広がっていたのは、いつものような小言の文章ではなく、息を呑むほど美しい黒インクのスケッチだった。少し尖った顎と風になびく短い髪のバスケ選手が、相手の二人のディフェンダーに囲まれながら宙に跳び上がり、汗に濡れたユニフォームの背中にはくっきりと「7」の数字が描かれている。そしてその絵のすぐ下には、彼女の丁寧な字が添えられていた。

『金曜日:あんたにそそのかされて、美大の名前を希望調査票に書いちゃったわよ。だから、志望校を決めてからの初作品は、2年B組の「背番号7の選手」への特別プレゼントよ! 協定があるから直接体育館に行って声援を送ることはできないけど、私の運を全部この机の中からあんたに送るわ! 試合に出てあっさり負けたら、ここに戻ってきて英単語百ページ書き写しの罰だからね! 頑張れ、鈴木翔太!!』

その水曜日の午後、キュッキュッと床を擦るバッシュの音と、スタンドからの割れんばかりの応援の太鼓の音が響く体育館で、試合は息が詰まるような接戦となった。

第4クォーター残り四十秒を切り、俺たちの府中高校が二点ビハインドの状況で、俺も山本健二も四クォーターぶっ続けで走り続け、足は鉛のようにパンパンに張っていた。サイドラインのベンチでは、今日応援に駆けつけてくれた担任の沢渡先生が、祈るように両手を胸の前で固く握りしめていた。

「翔太! いけっ、最後のワンプレイだ!」健二が肩で息をしながら大声で叫び、スリーポイントラインの外にいる俺にパスを出した。

相手ディフェンダーの激しいマークを受けながら、熱い革のボールを両手でキャッチしたその瞬間、茶色いノートのページで高く跳び上がる背番号7の選手のスケッチ——そしてあの見知らぬ彼女の「頑張れ、鈴木翔太!!」という言葉——が、突然鮮やかに脳裏にフラッシュバックした。

彼女には夢を追いかける勇気を持てと言ったんだ……軍師長たる俺が、ここでそう簡単に諦めるわけにはいかないだろ!!

俺は残されたすべての力を両ふくらはぎに込め、フェイントで目の前のディフェンダーの肩をすり抜け、アークの外から限界まで高く跳び上がり、手首をスナップさせてボールを放った。ボールは美しい弧を描き、真っ直ぐバックボードに向かって飛んでいく!

スパッ!!

耳をつんざくような試合終了のブザーが鳴り響いたまさにその瞬間、ボールはリングのネットを甘い音を立てて見事に通り抜けた!

完璧なスリーポイント! 府中高校が一点差での劇的な逆転勝利を収めた!

「入ったぁぁぁ!! やったな翔太ぁぁぁ!!」

健二をはじめとするチーム全員がコートに雪崩れ込み、俺を抱きしめて天に向かって雄叫びを上げた。サイドラインの沢渡先生も、厳格な教師のイメージを忘れて飛び跳ねながら拍手喝采していた。

体育館でのチームメイトたちの熱狂的な歓声の輪の中で、俺は高い天井を見上げ、胸を激しく上下させながら、最高の笑顔を浮かべていた。見たか、2年A組の画家さん……君の幸運のお守り、本当に効果絶大だったぜ!

◇

二度目の冬も、日々厚みを増していく日記のページと共に過ぎていった。

除夜の鐘が鳴る短いお正月休みを終え、二年生の2月14日のバレンタインデーの週がやってきた——「二人の敗北者」のどんよりとした空気に包まれていた一年生の時とは違い——今年は、俺も机の向こうの彼女も、クラスの誰からもチョコレートを貰うことも、期待することもしなかった。

その代わり、バレンタインの週にノートを持っていた俺は、ページ丸々一つ使って巨大なチョコレートの箱の絵を描き、「二年連続で独り身をこじらせてる同盟者に贈る、想像上のメロンソーダ味のチョコレート!」というキャプションを添えた。そして二月の最後の週にノートが俺の手元に戻ってきた時、俺のボールペンのチョコレートの隣には、彼女が黒ペンで丁寧に描いた星型のロリポップキャンディの絵が追加されており、「三月までの借りを前払いでお返しよ!」というメッセージが添えられていた。

あっという間に、三月末の金曜日の午後——府中高校での二年目の学年を締めくくる修了式の日がやってきた。

担任の沢渡先生が二年生の最終成績表を配り終え、俺がホッと胸を撫で下ろすような嬉しい知らせを発表してくれた後——四月からの三年生では、受験に向けて生徒の精神的安定を図るため、文系・理系ともに現在のクラス名簿と三階の教室をそのまま維持する(ドアのクラスプレートが2年A組、2年B組から3年A組、3年B組に変わるだけで、つまり今年は去年のような心臓が止まるような机泥棒作戦を繰り返す必要がないということだ!)——クラスの連中は春休みを満喫しようと歓声を上げながらカバンを持って帰っていった。

俺一人だけが窓際の席に残り、午後の暖かな陽光の下で再び咲き始めようとしている校庭の桜の蕾を眺めていた。

俺は机の中から茶色いノートを引き出した。

かつては分厚かったノートも、今や三分の二以上のページが書き込まれ、表紙の四隅はこの二年間、二人の手のぬくもりで柔らかくなっていた。

俺は思わず、ノートの最初のページをめくって振り返った——一年生の入学から二週間経った頃、歴史の授業の最中に、前の席のやつの背中を盾にしてこっそり書いたあのタイトルの文字が、今もそこに残っている。

『極秘ファイル:高校一年生非リア脱出作戦』

その初々しい文字と、その翌日に彼女が余白に突き刺すように書いた黒インクの『目を覚ませ、このナルシスト変態! 鳥頭!』という鋭い言葉を見て、俺は誰もいない教室で一人、思わず声を上げて笑ってしまった。

時間は瞬きをするように過ぎていく。母親に買ってもらった英単語帳をくだらない日記帳にして、自分の机の中に放置したまま忘れてしまった一年生のガキだった俺も、今度の短い春休みが終われば、俺も机の向こうの彼女も正式に三年生——高校生活最後の学年であり、そして二人が約束した卒業式に向けて一日一日をカウントダウンしていく一年が始まるのだ!

あとちょうど一年で、正門の桜の木の下に立ち、メロンソーダを十缶持って、この眩しい二年間の青春を共に歩んできた彼女の本当の笑顔を見ることができる……そう思うと、胸の中の心臓が、突然、騒がしくも不思議なほど切なく脈打つのを感じた。

俺は真っ白な新しいページをめくり、ペンを取り、近づいてくる春の甘い夕日の光の下で、二年生を締めくくる最後の文章を書いた。

『二年生最後の金曜日: ねえ、2年A組の軍師殿(あ、忘れてた、四月からは3年A組って呼ばなきゃな!)。これで僕たちは、担任から逃げるために机を担いで走ることもなく、無事に二年生を完走したってわけだね! 夏休みのC棟の事件の後も僕に怒らないでいてくれてありがとう。それに、冬の大会のリレー……いや、背番号7の絵もありがとう。正直言って、この二年間、もしこのノートがなくて、机の向こうに君がいなかったら、僕の青春は間違いなく半分くらい退屈なものになってたと思う。 卒業式の約束の桜の木の下まで、あとたったの一年だ。春休みの間はしっかりご飯を食べて、いっぱい絵の練習をして、三年生に向けてエネルギーをチャージしておけよ! おやすみ、僕たちの最後の学年でまた会おう!』


お読みいただき、ありがとうございます!

次話は明日19時20分に更新します。

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