第7話 沈黙の夏と空っぽの机の中
二年生の夏休み最初の月曜日の朝、府中高校の空は雲一つない真っ青な色をしており、七月の照りつけるような日差しが、誰もいない土のグラウンドに火のように降り注いでいた。
高橋蒼は、三階の静かな廊下を2年A組の教室に向かって歩いていた。
本当なら、今日彼女は学校に来る予定などなかった。初夏に植物の水やり当番があった一年生の時とは違い、今年の文化委員は七月に集まる活動が一切なかったのだ。しかし、この週末の二日間、あの金曜日の午後、C棟の不気味な静寂の中で足が痺れるほど待ち続けて以来、蒼はほとんど一睡もできなかった。
すっぽかされたと思った時の最初の惨めさと怒りは、二晩中彼女の頭の中をぐるぐると回り続ける何百もの疑問へと次第に変わっていった。もしあの日の午後、翔太に何か本当にC棟に行けないような突発的な用事ができていたら? もしバスケ部のウォーミングアップ中に捻挫して保健室に行かなければならなかったり、期末テストのことで沢渡先生に夜遅くまで職員室に引き留められたりして、C棟に駆けつけた時には18時を過ぎて学校が閉まっていたとしたら? もしそうだとしたら、去年の夏休みのように、彼が帰る前にこっそり2年B組に戻り、平謝りのメッセージを添えて茶色いノートを机の中に入れておいてくれたかもしれないじゃないか。
そのわずかな希望の光だけで、蒼が母親に「歴史の参考書を本屋に買いに行く」と言い訳をし、週明けの月曜日の早朝に一人で電車に乗って学校に向かうには十分だった。
夏休み初日の二年生の教室エリアには、人っ子一人いなかった。朝の陽光で温められた木の香りが廊下に漂っている。蒼は2年A組のドアの前で立ち止まり、引き戸の取っ手を握る手が緊張で少し震えていた。
彼女は教室のドアをそっと引き、窓際から四番目の木の机——四月初めに彼女と由佳が汗と涙を流してここまで運び上げた、左隅に歪な星型の傷があるあの机——へと足早に向かった。
蒼の心臓が胸の中でドキドキと高鳴った。彼女は大きく深呼吸をし、祈るように一秒間ギュッと目を閉じると、身をかがめて木の机の中に手を入れた。
何もなかった。
蒼の指先は、手前から奥の底まで、ただザラザラとした冷たく空っぽの木の板に触れただけだった。見慣れた茶色いクラフトのザラザラした厚紙の感触はない。メモ用紙の切れ端一枚すら残されていなかった。
蒼の唇に芽生えかけた希望の微笑みが、ふっと消えた。
彼女は机のそばで立ち尽くした。強烈な夏の日差しが窓ガラス越しに彼女の青ざめた顔を照らし、宙を舞う細かな埃の粒をくっきりと浮かび上がらせていた。
つまり……彼に突発的な用事ができてC棟に間に合わなかったわけではないのだ。
なぜなら、この一年半の絶対的な法則に従えば、ノートがこの木の机の中に置かれている時に限り、月曜日の朝に自動的に場所を変えるからだ。もしあの金曜日の午後、翔太がいつものように2年B組の自分の机の中にノートを残していたら、今日の月曜日の朝、ノートは間違いなくここで彼女を待っていたはずなのだ。
この机の中が完全に空っぽであることは、一つの残酷な真実を意味していた。あの金曜日の午後、あの男子はわざとC棟に彼女に会いに行かなかっただけでなく、夏休みの直前に二人の間の連絡手段を完全に断ち切るために、茶色いノートを自ら家に持ち帰ったのだ!
「そういうことだったのね……。最初から、この机の中を唯一の秘密の樹洞だなんてバカみたいに思っていたのは私だけで、あいつを一番大切な同盟者だなんて思っていたのも、私だけだったんだ……」
蒼はゆっくりと空っぽの手を机の中から抜き出し、その細い指で制服のスカートの裾を布地がくしゃくしゃになるほどきつく握りしめた。
校庭でけたたましく鳴き叫ぶセミの声に包まれながら2年A組の教室を後にした蒼は、七月の三十五度の猛暑が、なぜか骨の髄まで凍りつくように冷たく感じられた。
そうして、蒼の十七歳の夏休みは、どうしても埋めることのできない広大な空白の中で過ぎていった。
毎晩のように話しかけ、心の内を明かすための茶色いノートが家の勉強机の上に常にあった一年生の夏とは違い、今年の夏の蒼の勉強机には、分厚い復習の参考書と、SNSの通知で絶え間なく光るスマホしか残されていなかった。
八月上旬のある午後、蒼はクラスの友達グループに誘われて、ネットでとても人気のあるミニマルなデザインのカフェに出かけた。店内で過ごした二時間、女子たちの話題といえば、どのカラーフィルターが流行りかとか、投稿する短い動画の再生回数をどうやって増やすかとか、昨日の夜に投稿した写真にどれくらいの「いいね」がついたかをチェックすることばかりだった。
蒼は友達の会話に相槌を打って微笑み続け、カメラのレンズの前では大人しく首を傾げてポーズをとっていた。しかし、遊びが終わり、家に帰るために一人で夕暮れの電車に乗り込んだ瞬間、彼女の顔の完璧な笑顔は、重すぎる仮面のようにポロリと剥がれ落ちた。
電車の窓ガラスにぼんやりと映る自分の姿を座って見つめながら、蒼はふと中学生の頃を思い出していた——世界中が疫病に覆われ、登校する生徒全員が白いマスクで顔を覆い、互いに安全な距離を保たなければならなかったあの時期のことだ。その数年間、マスクのせいで誰の表情も完全には見えなかったため、蒼は自分を殻に閉じ込め、常に相手の目から顔色を読み取ろうとし、誰も不快にさせないような当たり障りのない言葉しか口にしないという癖がついてしまっていた。
高校に進学してマスクを外すようになっても、蒼の心の中の「目に見えないマスク」が本当に消え去ることはなかった。彼女は気まずい沈黙を恐れ、浮いていると評価されることを恐れ、自分の本当のイライラや弱さを露わにしたら一人取り残されてしまうのではないかと恐れていたのだ。
あの木の机の中のページの前でだけ——「クックック」という奇妙な笑い声を上げ、とんがり顎の棒人間を描く翔太という名前のバカな男子の前でだけ——蒼はその防壁を完全に取り払うことができた。彼に対しては、お世辞を選ぶ必要もなく、どれだけ「いいね」がもらえるかを気にする必要もなかった。彼を大バカだと心置きなく罵ることができ、迷子になって足が水ぶくれになった話や、面倒くさくてお風呂をサボって寝た話を好き勝手に書くことができた。なぜなら、来週になれば確実に彼がそこにいて、活気にあふれた騒々しい文字で返事してくれるとわかっていたからだ。
それなのに今、この息苦しい世界で彼女に息をつかせてくれていた唯一の樹洞は、その扉を固く閉ざしてしまったのだ。
その日の夜、見慣れたオレンジ色の明かりの下で勉強机に向かった時、一年以上かけて潜在意識にまで染み付いた習慣に従い、蒼の右手は午後の面白い出来事を思いついた瞬間に無意識に黒ペンを握っていた。(ねえ翔太、今日友達とカフェに行った時、あんたの絵そっくりのとんがり顎のモフモフした子犬を見かけたのよ……)
ペン先が宙で止まった。
彼女の目の前には何もない空っぽの机があるだけだった。茶色いノートはここにはない。
酸っぱいような切なさがこみ上げ、目尻が熱くなった。蒼はコトッと音を立ててペンを机に置き、縁側でチリンチリンと鳴る風鈴の音だけが響く静まり返った部屋の中で、両腕に顔をうずめた。
◇
一方、十七歳の夏の向こう側で、俺——鈴木翔太——の八月の日々もまた、誰かに時計の針をへし折られたかのように重く、長く引き伸ばされて過ぎていた。
俺は自宅の二階の寝室で畳の上に寝転がり、扇風機がブンブンと回る音の中で、天井をじっと見つめていた。
ベッドの横の勉強机の上では、茶色いクラフト表紙のノートがガラスのペーパーウェイトの下で静かに眠っている。
夏休みの一ヶ月以上もの間、俺はそこに一文字も書き足していなかった。いや、正確に言うなら……苛立ちと自尊心から、何十回も開いてはバタンと閉じるのを繰り返していたのだ!
あの茶色いノートを見るたび、あの金曜日の午後、C棟の自販機の前で生ぬるいメロンソーダを二缶抱えたまま二時間近く立ち尽くした映像が、屈辱的なスローモーション映画のように頭の中にハッキリと蘇ってくるのだ。
夏服のシャツのシワを一つ一つウキウキしながらアイロンがけし、背中が汗でぐっしょり濡れるまでC棟のU字型の廊下を走り回って彼女を探し、そして学校のチャイムが18時を打つまでメインロビーに木偶の坊のように立ち尽くしていたというのに……自ら手紙で俺を誘い出した本人は、一秒たりとも姿を現さなかったことを考えると、どうしても怒りが収まらなかった!
「絶対に、現実で顔を合わせたら自分の正体がバレるって怖気づいたか、最初からノートで俺をからかうのを暇つぶしのおもちゃ程度にしか思ってなかったんだ! 上等だ、君がこの軍師長・鈴木翔太をそこまでコケにするなら、僕だってこれ以上君に笑われるために、厚かましくノートを机の中に戻してやる義理はないね!」
俺は勉強机の横を通るたびに、誇り高くそう自分に言い聞かせていた。
しかし、そのプライドが俺の夏休みを少しでも楽しいものにしてくれることはなかった。
一年生の夏休みの時は、六週間の間ノートが彼女の家にあったとはいえ、彼女がそれを大事に持っていて、何十ページも日記を書き込んで九月に返してくれると確信できていた。しかし今年の夏は、ノートは俺の目の前の机の上にあるのに、まるで魂を抜き取られた死んだ本のようなものだった。
「翔太! どこ見てんだよ、目の前にパスが来てるのにコートの外にこぼしてどうすんだ!」
八月末の午後、府中高校の体育館でのバスケ部の練習中、三年生のキャプテンの怒声と、ボールが肩にバンと当たる音で、俺はハッと我に返った。
「あ! すみません先輩! 暑すぎてちょっと目が眩んじゃって!」
俺は慌てて頭を下げて謝り、コートの隅に転がっていったバスケットボールを拾いに走った。
休憩時間、チーム全員が木の床に座り込んでゴクゴクと水を飲んでいる時、首にタオルをかけた親友の山本健二が、俺の脇腹を肘で強く突いた。
「おい翔太、マジで聞くけどさ……。一学期の終わりに美波に振られたのがそんなにトラウマになってて、八月いっぱいずっと魂抜けてるわけ?」
「ここでなんで美波が出てくんだよ!」俺は眉をひそめ、ボトルの水を半分ほど一気に飲み干した。「俺と美波のことは、とっくの昔に円満解決したって言っただろ! あのことで落ち込んでなんかねーよ!」
「じゃあ美波のことじゃないなら一体何なんだよ?」
健二はまるで死体検視でもするように俺を上から下まで値踏みするように目を細めた。「毎年の夏休みはお前の方から釣りやらゲーセンやらに一日中俺を誘い出してただろ。それなのに今年の夏は、終業式の日の午後に『C棟で歴史的な約束がある』とか息巻いてたあの日から、お前の顔はずっと売れ残りの肉まんみたいにふくれっ面じゃねーか! さっきの休憩中だって、体育館のロビーの自販機を睨みつけて、中に入ってるメロンソーダを二缶とも食ってやろうかみたいな顔してたぞ! 兄弟に隠さず白状しろよ、あの日C棟でどこの女幽霊に魂吸い取られたんだ?」
俺は言葉に詰まり、危うく飲んだばかりの水にむせそうになった。
その夜、川辺での夏の花火大会から健二と一緒に歩いて帰る道すがら、夜空で最後の花火が消え、浴衣姿の人波が通りへと散っていく中、俺は思わずため息をつき、ポロリとあいつに尋ねた。
「なあ健二……仮の話だぞ、あくまで仮の話な……。もしお前に、一年半もめちゃくちゃ話が合って、何でもかんでも話せる友達がいたとするだろ。そんで突然、向こうから『ある場所で会おう』って約束してきたのに、お前が駆けつけて二時間近くも待ってたのに、相手は来やしなかった……お前なら、その相手が頭ん中で何を考えてたと思う?」
歩きながら手に持ったフランクフルトをかじっていた健二は、俺の質問を聞いて立ち止まり、ひどく驚いたような目で俺を見た後、ハハハと大声で笑い出した。
「あーっ! 翔太様の終業式の日の『歴史的な約束』って、文通相手に会いに行ってすっぽかされたってことだったのか?!」
「黙れ! だから仮の話だって言っただろ!」俺は顔を真っ赤にして小声で怒鳴り、背を向けて歩き去ろうとした。
「わかったわかった、からかうのはやめるよ!」健二は駆け寄ってきて俺の肩を組み、少しだけ真面目な声になった。「でも、もし俺ならさ……本当に一年半も仲良かったんなら、わざわざ頭悩ませて憶測なんてしねーよ。女の子ってのは時々すげー面倒くさいもんだぜ。あの日急にお腹が痛くなったとか、自転車がパンクしたとか、あるいはそこまで行ったのに急に恥ずかしくなってお前の前に出る勇気が出なかったとかかもしれねーだろ? 本人に一言直接聞くこともせずに、ひと夏ずっと腹の虫を抑え込んでるなんて、お前は本当に心の狭い男だな!」
夏の花火の夜の健二の無邪気な一言に、俺はハッと立ち止まった。
俺は、まだ花火の硝煙が微かに残る夜空を見上げた。駅へと向かう雑踏の中で、去年の夏、下駄を脱いで裸足で神社の裏を走り回って迷子になったあのおバカな彼女の話をふと思い出し、今年の花火大会ではまた足に水ぶくれを作っていないだろうかと考えた……。
あの日C棟で、健二が言うように本当に何かのアクシデントがあったのだろうか? それとも、俺が彼女を決めつけるのが早すぎただけなのだろうか?
八月の最後の日々、家では両親が来年の大学受験の志望校について真面目に考えろと口うるさく言い始め、俺の頭をさらに混乱させる一方で、あのC棟の午後についての疑問は、小さな棘のように俺の胸の奥に刺さったままだった——ひどく痛むわけではないが、息をするたびにチクッと痛むのだ。
◇
九月が訪れ、府中高校に二年生の二学期がやってきた。
しかし、始業式のチャイムが鳴り響き、三階の教室が普段の騒がしい日常を取り戻しても、2年A組と2年B組の間の「凍結」状態は全く変わらなかった。
九月最初の月曜日の朝、そして第二週、第三週の月曜日の朝……。
俺は毎日カバンの中に茶色いノートを入れて登校していたが、カバンのチャックは常に固く閉ざされたままだった。毎週金曜日の放課後、帰る前に俺の手はカバンの中のノートに伸び、それを引き出して星型の傷がある机の中に突っ込んで、向こうの彼女がどんな反応をするか見てやろうと思うのだが——そのたびに、頭の中で自尊心に満ちた声が響くのだ。「お前はC棟ですっぽかされた方なんだぞ、翔太! あいつからお前を呼び出したんだろ、なんで被害者のお前が先に折れてノートを返してやらなきゃならないんだ?!」
そうして俺は手を引っ込め、窓際から四番目の木の机の中を、来る週も来る週も空っぽのままにしておいた。
その頃、2年A組の教室では。
「ねえ蒼……マジで聞くけど。最近なんか悲しいことでもあった?」
九月の第三週の水曜日の昼休み。もうすぐ始まる秋の体育祭の種目決めについて、クラス中が校庭で賑やかに話し合っている中、人の少ない教室で親友の由佳が突然椅子を引いて蒼の机のすぐ横に座り、声を潜めて尋ねた。
蒼はビクッとし、空っぽの机の中に無意識に入れて、左隅の星型の傷を撫でていた手を慌てて引き抜いた。
「え……そんなことないよ、由佳! 私普通だけど、なんで急にそんなこと聞くの?」
「隠さないでよ!」
由佳はため息をつき、木の机に両手をついて、作り笑いを浮かべている蒼の顔を真っ直ぐに見つめた。
「私たち一年生からずっと隣同士で座ってて、今年のはじめには腰が折れそうになるくらい重いこの木の机を二人で三階まで運んだ仲じゃない。あんたが本当に笑ってる時と、作り笑いをしてる時くらい見分けがつかないとでも思ってるの? 一学期の間ずっと、一週間おきにあんたが机の中でこっそり何かを読んで、一人でニヤニヤしてすっごく楽しそうにしてるのを見てたわよ。それなのに、一学期の終わりに『C棟に本を返しに行く』って言ってから今まで、九月に入ってからのこの三週間、毎日あんたがその空っぽの机の中に手を入れては、魂が抜けたみたいにボーッとため息をついてるのを見てるんだから!」
蒼は固まり、長いまつ毛を伏せた。太ももの上で両手をきつく組み合わせ、どう誤魔化せばいいのかわからなかった。
蒼の沈黙を見て、由佳の声は、普段のキャピキャピしてオシャレな様子とは打って変わって、優しく真剣なものになった。
「ねえ蒼……本当のこと言うと、一年生で入学したばかりの頃、あんたがいつも私たちと距離を置いてたのは気づいてたよ。遊びに行く時はいつも愛想よく笑って話してたけど、なんだか誰も触れられない透明なガラスの壁の後ろに立ってるみたいだって、ずっと思ってた。去年の夏から机の中のあの茶色いノートを書き始めてから、初めてあんたが怒ったり、口を塞いで涙が出るほど大爆笑したりするのを見たのよ。そのノートを誰と共有してるのか、あんたは一度も教えてくれなかったけど……でも、その人が私の蒼を前よりずっと幸せにしてくれたってことは、私にははっきりわかってるの」
蒼の胸は大きく揺さぶられた。彼女は目を丸くして親友を見上げた。由佳は自分が思っていたような浅はかな子ではなく、ずっと密かに自分の変化を観察し、大切に思ってくれていたのだ。
「だからね……」由佳は言葉を続け、蒼の少し冷たくなった手をそっと握った。「あんた自分で気づいてる? 七月のはじめに、隼人くんみたいな完璧な男子からのデートの誘いを断った時、あんたは少しの未練もないくらいスッキリして平気な顔をしてた。それなのに今、あの机の中の友達とたった数週間連絡が取れなくなっただけで、あんたは私が傍で見てるだけでも胸が痛くなるくらい、悲しくて孤独な顔をしてるのよ!」
蒼の心臓が、チクリと痛むように一つ脈打った。
由佳の言葉は、この二ヶ月近く蒼がずっと意図的に目を背け続けてきた心の死角を真っ直ぐに映し出す鏡のようだった。
「私……一学期の終業式の日に、勇気を振り絞って彼にC棟で会おうって手紙を書いたの……」蒼は初めて由佳に言葉を詰まらせながら打ち明けた。その声は風のように小さかった。「一時間半も、学校が閉まるまで待って、C棟中を走り回って彼を探したのに……でも彼は来なかった。それからノートを持ったまま、机に返してくれないの……。きっと私が現実で会いたいって言ったのが面倒になったのよ、由佳」
「絶対にそんなことないわよ!」
由佳は断言し、首を強く振った。「一年半も根気よくあんたと日記を交換してて、連絡が途絶えないようにって古い学習机を二年生の教室まで一緒に盗み運ぼうなんて誘ってくる人が、たった一回の待ち合わせの約束で、あんたを無視するわけないじゃない?! もしかしたらあの日、あんなに広いC棟で何か取り返しのつかないすれ違いがあって二人は会えなかっただけで、今頃向こうのバカも蒼にすっぽかされたと勘違いして、意地を張ってノートを持ったままなのかもしれないじゃない!」
蒼は目を見開いて由佳を見つめ、息を呑んだ。
「あいつが……私にすっぽかされたと勘違いしてる?!」
蒼は軽く唇を噛み、2年A組の窓の外の高く澄み切った秋空を見上げた。もしあの日のC棟に翔太も来ていたという可能性が万が一にもあるのだとしたら……今ノートは彼の手元にあり、彼女の方から先に2年B組にメッセージを送る手段は一切ないのだ(彼の顔すら知らず、四十人の生徒がいる知らないクラスに入って「鈴木翔太」という名前を呼ぶ恐怖にもまだ縛られているのだから!)。
彼女は木の机の星型の傷に手を置き、心の中でただ一つ切実に祈ることしかできなかった。(翔太……もしあの日が本当に何かの勘違いだったのなら、お願いだからノートを机の中に返して。私に一言、質問させてくれないかな?)
◇
そして蒼のその静かな祈りは、運命の不思議な同調によって、まさに九月の第四週の金曜日の午後、2年B組の教室で答えを見つけることになった。
その日の午後、秋の体育祭のフォーメーション練習が終わると、2年B組の生徒は皆帰ってしまった。
俺だけが窓際から四番目の机に居残り、頬杖をついて、カバンから半分引き出された茶色いノートを見つめていた。
今日、校庭で綱引きの練習中、健二が力を入れすぎたせいで体育館シューズの底がスポーンとすっぽ抜けて空高く飛んでいき、あわや見学していた教頭先生の頭に直撃しそうになったのだ。校庭中が大爆笑の渦に包まれた。その瞬間、血肉に染み込んだ無条件反射で、俺は2年A組の廊下を見上げてこう思ったのだ。「こんな面白いことをノートに書いて、教頭の頭に靴底が飛んでいく絵を添えりゃ、絶対にあの軍師殿はいちごミルクを吹き出すほど笑い転げるだろうな!」
しかし次の瞬間、二人がもう二ヶ月以上も互いに一文字も書いていないことを思い出し、俺の唇の笑顔はふっと消え去った。
「ちょっと鈴木。あんたのカバンの中にはペットでも飼ってるわけ? 二学期が始まってからというもの、金曜日の放課後に私が通りかかるたびに、あんたがカバンの中を覗き込んで年寄りみたいに長いため息をついてるのを見るんだけど」
入り口の方から、聞き覚えのある透き通った声が響いた。
担任の沢渡先生が、教卓に忘れたバッグを取るために、学級日誌の束を抱えて教室に入ってきたのだ。俺がビクッとして慌てて茶色いノートをカバンに押し込もうとするのを見て、沢渡先生は鼻筋の細いフレームの眼鏡を軽く押し上げ、悠然と歩いてくると、俺の目の前の机に背中を預けて立った。
「また一年生の時からのあの茶色いノート?」
沢渡先生は俺の持つノートを見て、先を行く大人としての鋭くも優しい微笑みを口元に浮かべた。
「あんたが他クラスのどこの子と交換日記をしてるのか手紙をやり取りしてるのかは知らないけど……。二年生の初めに、あんたと山本が一階から三階まで汗水垂らしてこの古い木の机を盗み運んでるのを見つけた時、この机とあのノートがあんたにとってどれだけ大事なものかってことはわかってたわよ。それなのに、なんで今はそれをカバンに隠して机の中に入れないの? 二人で意地張って冷戦状態にでもなってるわけ?」
「そ、そんなことないですよ、先生!」俺は顔を真っ赤にして言い返し、痛いところを突かれた子供のように意地を張った。「あっちが……俺をすっぽかして約束を破ったからですよ! あっちから一学期の最後の午後にC棟で会おうって誘ってきたくせに、俺が走って探しに行って二時間近くも待ってたのに、相手は来やしなかったんです。俺がノートを持ったままもう書かないだけで済んでるだけでも、まだ優しい方ですよ!」
沢渡先生はそれを聞いて声を上げて笑った。彼女は、星型の傷がある俺の木の机を人差し指で軽く叩いた。
「で、あの日どうしてあんたに会えなかったのか、その理由を相手の口から直接聞いたの? それとも、おからの詰まったあんたの頭で勝手に被害妄想を膨らませて、ひと夏ずっと一人で腹を立ててただけ?」
俺は言葉に詰まり、声が出なかった。なんで今日の担任の先生は、花火の夜の健二と全く同じことを言うんだ?!
沢渡先生は俺の目を真っ直ぐに見つめ、窓の外で薄い秋の黄色に染まり始めた木々を眺めるその細いフレームの奥の目は、突然驚くほど温かく、そして深く沈み込んだ。
「あんたたちと同じくらいの歳の頃ね、私にも高校時代に一番仲の良かった親友がいたの。駅での待ち合わせで一度時間がずれただけで、お互いにどちらからも口火を切ろうとせず、三年生の一年間ずっと無言ですれ違い続け、卒業式の後には完全に音信不通になってしまったわ。あんたたち十七歳くらいの人間って、すごくバカな病気にかかりやすいのよ、翔太くん。大切な相手と誤解が生じた時、自分が先に口を開いたら負けだと思って、いつも牛車の車輪みたいにバカでかいプライドを何よりも優先してしまうのよね」
沢渡先生は俺の手の下で角が擦り切れた茶色いノートを見下ろし、その声は優しくも、一言一言が胸に染み入るようだった。
「でもね、本当のことを教えてあげる……。この広い人生の中で、一年間ずっと毎週毎週、自分のくだらない話を聞いてくれる気の合う友達を見つけるなんて、そう簡単なことじゃないわ。その子供っぽいプライドのせいで、あと数ヶ月ノートをカバンの中に抱え込んでみなさい。本当に糸が切れてしまった時にあんたが失うものは、あんたのエゴなんかじゃない。あんたの青春において、代わりのきかないたった一人の大切な友達なのよ」
そう言うと、沢渡先生は俺の肩を軽くポンと叩き、バッグを持って2年B組の教室を出て行った。燃えるような秋の夕暮れの光が差し込む教室の真ん中に、俺はただ一人、呆然と座り尽くしていた。
『あんたが失うものは、あんたのエゴなんかじゃない。あんたの青春において、代わりのきかないたった一人の大切な友達なのよ』
沢渡先生の言葉の一つ一つが、俺の胸の奥で何度も何度もこだました。
俺は木の机の上に置かれた茶色いノートを見下ろした。
俺はこの一年半の間に彼女が書いてくれた古いページを一枚一枚めくっていった。最初のページで俺をナルシストだと罵る生意気な文字から、親指を立てた「片想いハート」の絵、悔しさで筆圧が強くなっていた、花火の夜に下駄を脱いで裸足で走り迷子になった夏の日記、二年生の始業式の日に親友と一緒に古い木の机を新しい階まで汗水垂らして運んでくれたこと、そして美術部の男子を断って俺をC棟に誘ってくれた時の、あの勇気に満ちた文字の数々……。
一年生の終わりに、俺との連絡が途絶えるのを恐れて緊急のSOSの手紙を書くような女の子が……C棟での待ち合わせを悪意のあるイタズラにして俺をからかうような、そんな残酷な人間であるはずがあるだろうか?
そして何よりも重要なのは、このノートを二ヶ月以上もカバンの中に隠し持っていて、俺は少しでも楽しく、スッキリした気分になれたかということだ!
美波が2年D組の陸上部のキャプテンを好きだと言った時、俺は少し拍子抜けしただけで、たった三分で笑って済ませることができた。それなのに、「2年A組の軍師殿」の姿がこの机の中から消えたこの二ヶ月間、毎週月曜日の朝に学校へ来ることは、俺にとって息が詰まるほど空虚で味気ないものになっていたのだ! 彼女はもうずっと前からただのすれ違う他人の一人ではなく、俺にとって絶対に失いたくない、最も大切な親友になっていたのだ!
「クソッ……。俺は彼女に釈明の機会すら与えずに、一人で勝手に被害妄想を膨らませてただけじゃないか!」
俺は短い髪をグシャグシャとかきむしり、七月からずっと心にのしかかっていた自尊心という巨大な岩をすべて吐き出すように、深いため息をついた。
今ノートは俺の手元にある——もし俺が自分からこれを机の中に戻さなければ、2年A組の彼女がいくら説明したくても、俺に言葉を送る手段なんて一つもないのだ! たとえあの日の午後、C棟で彼女が本当に約束を破っていたとしても、少なくとも俺はこのノートを向こう側に投げつけて、彼女の顔に面と向かって文句を言い、どうしてそんなことをしたのか理由を吐かせてやらなきゃ気が済まない!
思い立ったら即行動だ。俺は椅子を引き直して背筋を伸ばし、茶色いノートを次の白紙のページ——彼女が七月に書いたC棟での待ち合わせの手紙のすぐ後ろ——に開き、ボールペンを取り出した。そして、二ヶ月以上も溜め込んでいた鬱憤と怒り、そして恋しさのすべてを、一文字一文字に叩きつけた。
『九月末の金曜日: おい、約束を破った2年A組の裏切り者!! 僕は卒業するまでこのノートをカバンの中に隠し持って、君のことなんか一生無視してやろうと思ってたんだぞ! でも僕は寛大でフェアな男だから、この「軍師同盟」を正式に解散する前に、最後にもう一度だけ君を問い詰める手紙を書いて白黒はっきりさせてやることにした!』
『ちゃんと僕に説明してみろよ。どうして七月の一学期終業式の金曜日の午後、君自身の口で協定の解除を提案して、16時30分ちょうどにC棟の自販機の前で待ち合わせしようって僕を誘い出しておいて、結局君は一秒たりともあそこに顔を出さなかったんだ?!!』
『あの日、僕がこのノートを右手に持って、メロンソーダを二缶買って、16時28分からC棟の一階ロビーでずっと君を待ってたことを知ってるのか?! 16時45分になっても君が現れないから、君の方向音痴のせいで別のロビーに迷い込んだんじゃないかと心配になって、三十分以上もC棟の建物を汗だくになって走り回って君を探したんだ。それから17時過ぎにまたメインロビーの自販機の前に戻ってきて、18時の学校の閉門チャイムが鳴るまでずっと立ちっぱなしで待ってたんだぞ!! あの日僕の手にあった二缶のメロンソーダは、キンキンに冷えてたのにすっかり生ぬるくなっちまったんだよ、この冷酷女め!! 僕が失恋したのを見て、僕をC棟に呼び出して一時間半もピエロみたいに立たせてからかうためのイタズラだったのか?! それとも、土壇場になって僕の現実のイケメンぶりを見るのが怖くなって逃げ出したのか?! もし来週、机の中を開けてこれを読んだ君にまだ少しでも良心が残っているなら、お願いだからすぐにまともな説明をここに書いて僕に返してくれ!! さもなきゃ、一生君のこと許さないからな、わかったか?!!』
三つの巨大な感嘆符が紙に食い込むほどの筆圧で最後の文字を書き終え、俺は茶色いノートを閉じた。大きく深呼吸をし、身をかがめて、二ヶ月以上の長い空白を経て、星型の傷がある木の机の真ん中へとノートをそっと戻した。
コツン。
静まり返った教室に、厚紙が机の底に触れる懐かしい音が響いた。それは、俺のすべてのドキドキと緊張感を週明けの月曜日に向けさせる音だった——C棟の夕暮れの謎の幕が、ついに上がり始めるその日に。
お読みいただき、ありがとうございます!
次話は明日19時20分に更新します。




