第6話 失恋同盟と黄昏のC棟での捜索
三階の窓の外で七月上旬のセミが鳴きしきり、高校生活二度目の夏が各教室に本格的に訪れたことを告げていた。
木曜日の午後、放課後のチャイムが鳴り終わると、親友の山本健二はコートの場所取りのためにバスケットボールを抱えて体育館へと慌てて走っていったが、俺は担任の沢渡先生から2年B組全員の国語の課題ノートの束を二階の職員室まで運ぶよう命じられていた。
そして今日、残りの半分の束を運ぶために俺と一緒に割り当てられたのは、他でもない美波だった。
黄金色の夕日が降り注ぐ静かな廊下を歩きながら、胸の高さまであるノートの束を抱えた俺は、すぐ隣を歩く彼女の端正な横顔を盗み見た。
二年生になって、一年生の時のように同じ机に座らなくなって以来、こうして美波と二人きりで気兼ねなく話せる機会はめったになかった。
週の初め、茶色いクラフト表紙のノートで2年A組の軍師殿の「風呂キャン」の釈明を読んで顎が外れるほど笑った後、俺は今週ノートを持っている間に、夏休み前に必ず大きな突破口を開き、机の向こうの彼女をあっと言わせるようなことをノートに書いてやろうと心に誓っていたのだ。
聞けよ、翔太! もうすぐ町内の神社の夏祭りだ。今すぐ彼女を誘って、友達グループと一緒に金魚すくいの屋台を見に行くのが一番自然な流れだ!
俺は大きく深呼吸をし、口を開こうとしたその瞬間、隣を歩く美波の足取りが急に遅くなった。
「あの……鈴木くん」美波が小さく俺の名前を呼んだ。彼女は両手で胸の前のノートの束をきつく抱きしめ、少し頬を赤らめてためらっているようだった。
俺の心臓は即座に喉元まで跳ね上がった。待てよ……この恥じらっているような表情はどういうことだ?! もしかして、俺が口火を切るまでもなく、美波の方から先に夏祭りに誘おうとしているのか?!
「うん、聞いてるよ! どうしたの、美波?」俺はできるだけ低く、大人っぽく落ち着いた声になるようにトーンを落とした。
美波は軽く唇を噛み、透き通った瞳で見上げてきた。「実は……一年生の時の体育祭の時から、ずっと2年D組の陸上部のキャプテンのことが気になってて。昨日、図書委員の当番の時に偶然少し話す機会があって……。もうすぐ夏祭りだから、勇気を出して友達グループと一緒に彼を誘うメッセージを送ろうと思うんだけど、女の子から先に誘うのって、男の子からすると変に思われるんじゃないかって不安で。鈴木くんから見て……メッセージ送ってみてもいいと思う?」
夏の風が廊下の窓を吹き抜け、俺たちが立っているすぐそばの白いカーテンをバタバタとはためかせた。
俺は廊下の真ん中で立ち尽くした。わずか三秒ほどの短い間に、校庭の騒がしいセミの声が遠くへと退いていくように感じられた。
2年D組の陸上部のキャプテン……。俺もそいつのことは知っている。背が高く、疾風のように速く走り、トラックの上でとても爽やかな笑顔を見せる男だ。去年の体育祭で、美波がトラックの脇に立って声が枯れるほど全力で応援していた時、彼女の視線は俺の1年B組ではなく、1年D組の走者の背中を追っていたのだ。
一年生の入学式で消しゴムを借りたことから始まった俺の片想い——雨の中で魚の骨のようになった壊れた傘、文化祭での石膏ボードへの頭突き、そしてバレンタインデーの義理チョコを経てきたその恋は——夏の陽射しの下で、シャボン玉のように静かに弾けて消え去った。
しかし、俺自身にも説明できない奇妙なことが一つあった。一年以上も追いかけていた女の子が、他のやつを好きだと言い、俺のことを「アドバイスをもらうのに一番いい男友達」だと思っていると告白されたのだから、本来なら胸が締め付けられたり、激しく崩れ落ちたりするはずではないか。
それなのに今この瞬間、鼻先にほんの少しの喪失感がよぎった以外、俺の心は不思議なほど穏やかだった。それどころか、美波の「女の子から先に誘うのって変に思われるんじゃないか」というおずおずとした質問は、去年の秋、美術部の男子に話しかける相談をしてきた2年A組の軍師殿が書いた、あの躊躇いがちな文字を思い起こさせたのだ。
答えを待って不安そうにしている美波の顔を見て、俺は思わずふっと軽く吹き出した。
「なんだ、もっと深刻な話かと思ったよ!」
俺は抱えているノートの束を持ち直し、いつものように満面の笑みを浮かべ、この半年間茶色いクラフト表紙のノートを通して鍛え上げられた「恋の軍師」の口調で言った。
「美波みたいに可愛くて優しい女の子から夏祭りに誘われて、面倒くさいなんて思う男子がどこにいるんだよ! その陸上部のキャプテンだって、君からメッセージをもらったら、絶対に嬉しくてグラウンドを十周しても疲れないくらい飛び跳ねて喜ぶに決まってるさ! 自信を持って誘ってみなよ、俺も両手を挙げて応援するから!」
美波の目がパッと輝いた。彼女は満面の笑みを浮かべ——俺が今まで見た中で最も誠実でホッとしたような笑顔だった——そして、ノートを置き終わった後、何度も頭を下げてお礼を言いながら階段の方へと走り去っていった。
俺は二階の廊下の窓辺に一人立ち、頬杖をついてクスノキの木陰が広がる校庭を見下ろした。
「これで……片想いも卒業だな」俺は小さく呟き、夕日の中で大きく背伸びをした。涙もなければ、悲壮感もない。逆にその時真っ先に思い浮かんだのは、「早く教室に戻って茶色いノートを取り出し、2年A組の軍師殿にこの衝撃的なニュースを報告しなければ!」ということだった。
翌日の金曜日の放課後、来週の彼女に引き継ぐために星型の傷がある机の中にノートを残す前、俺は新しいページに豪快な総括を書き込んだ。
『金曜日:2年B組の総司令部から2年A組の軍師殿へ緊急通知! 美波ちゃんをオトす一年三ヶ月にわたる僕の作戦は……昨日の午後をもって、完全敗北という結果で正式に幕を閉じたよ! 昨日一緒にノートを運んでいた時、彼女は一年生の時から2年D組の陸上部のキャプテンが好きだったと打ち明けてくれて、おまけに夏祭りに誘うメッセージの送り方まで相談されちゃったんだ。』
『もちろん、スマートな大人の男の器量を見せて、笑顔で祝福して、彼女がアタックできるようにすべての秘伝を伝授してやったさ! 不思議なことに、その祝福の言葉を口にした後、去年想像していたように死ぬほど苦しむこともなく(「なう」なんて一言も鳴いてないからな!)、十六歳の長編ドラマを一つ見終えたかのように、ただ心がすっと軽くなったんだ。』
『ということで、君の軍師長は今日から正式に楽しいお一人様同盟に復帰したってわけだ! 今回は君が僕を思う存分笑うことを許可してやる! そっちと後ろの席の美術部の四ツ目野郎との進展はどうなった? まさか失恋した同盟者を一人置き去りにして、自分だけ抜け駆けするなんて言わないよな!』
◇
七月上旬の月曜日の朝、2年A組の教室。高橋蒼は窓辺で頬杖をつき、翔太の文字でびっしり埋め尽くされたページを指先でそっと撫でていた。いつもの週のように、彼女の席からクスクスという笑い声が漏れることはなかった。
一年以上も好きだった女の子が別の男子の元へ行くのを笑顔で祝福したことについて、わざと豪快でおどけたように書かれた彼の文章を読みながら、蒼は自分の心の中に奇妙な優しさが込み上げてくるのを感じていた。
彼女にはこのバカの性格が手に取るようにわかった。普段は傘が折れたり壁に頭突きしたりしただけでこの世の終わりのように泣き叫ぶくせに、現実で本当に失恋に直面した時は、相手の女の子を困らせないように優しく温かい態度を選び、そして密かにその出来事をこのノートに持ち込んで、何事もなかったかのような軽いトーンで書いているのだ。
「本当に、お人好しのバカなんだから……」蒼は小さく微笑み、彼女の視線はページの最後にある彼の質問で止まった。『そっちと後ろの席の美術部の四ツ目野郎との進展はどうなった?』
まさにその週の水曜日の放課後、翔太の質問に対する答えが、自然と蒼の元へとやってきた。放課後、蒼と隼人は他の生徒より三十分遅く2年A組の教室に残り、七月のクラスの掲示板の隅に色紙で作ったひまわりの花を貼り付けていた。廊下では、親友の由佳が遠くで靴紐を結び直すフリをしながら、実は耳をそばだてて様子を窺っていた。
「これで夏休み前の掲示板は完成だね。一学期の間、一緒に頑張ってくれてありがとう、高橋さん」隼人は脚立から降り、銀縁の眼鏡を外して鼻筋の汗を軽く拭き取ると、見慣れた優しい笑顔で蒼の方を向いた。
「あ、そうだ。今度の夏休みの最初の日曜日に、市立美術館で夏の風景画の展覧会があるんだ。招待券が二枚あるんだけど……もし高橋さんが忙しくなければ、一緒に見に行かない? 二人きりで」
2年A組の教室の空間が突然静まり返り、頭上で扇風機が等間隔に回る音だけが聞こえていた。もしこれが一年生の秋、遠くの廊下から隼人の姿を見てその落ち着きに憧れていた頃なら、おそらく蒼は相手の気を悪くさせないようにと慌てて即座に頷いていたことだろう。
しかし今この瞬間、二枚の展覧会のチケットを手に持つ完璧な男子を前にして、蒼の心は秋の湖面のように静まり返っていた。
なぜか、その時彼女の頭に真っ先に浮かんだのは、美術館の優雅な油絵などではなく……茶色いノートに書かれた自由奔放な男子の字と、とんがり顎の棒人間の絵だった。
毎週月曜日の朝、彼のバカな妄想を読んで涙が出るほど爽快に笑った感覚、誰かに批判されることを恐れずに自分の怠惰さや醜さをすべて書き出せる絶対的な安心感、そして、週の初めに彼が正直に失恋を告白してきた時のあの書き方を思い出したのだ。
(ページを通してとはいえ)誰かのそばで完全に自分らしくいられることに慣れてしまった今、蒼はこれ以上、遠慮して完璧な少女の仮面を被らなければならないような関係に無理して足を踏み入れたくないのだと気づいた。
蒼は大きく深呼吸をし、顔を上げて隼人の目を真っ直ぐに見つめ、とても礼儀正しく、しかしきっぱりと頭を下げた。「私のことを気にかけてくれてありがとう、隼人くん。でも……ごめんなさい、二人きりで展覧会には行けないわ。クラスメイトとして、文化委員の仲間として、隼人くんのことはすごく尊敬してるけど、私たちは今のままのいい友達の距離でいるのが一番合ってると思うの。どうか怒らないでね」
隼人は蒼の予想外に率直な答えに数秒間一瞬固まった。しかしすぐに、眼鏡をかけた彼は鼻の上で眼鏡を押し直し、少し残念そうだが尊重に満ちた笑顔を浮かべた。「そっか……わかったよ。高橋さん、本当の気持ちを言ってくれてありがとう。二学期も引き続き、一緒に掲示板作り頑張ろうね!」
蒼がカバンを持って2年A組のドアから出ると、廊下の角に隠れていた由佳がすぐに飛び出してきて彼女の腕に抱きつき、目を丸くして驚いた。「ちょっと嘘でしょ蒼!! 隼人くんみたいに頭も良くて優しい男子がデートに誘ってくれたのに、たった三十秒でキッパリ断っちゃうわけ?! もしかして、あんたの心の中にはもう別の『秘密の王子様』が居座ってて、だからそんなにキッパリしてるの?!」
「秘密の王子様だなんて、変なこと言わないでよ!」蒼は顔を赤らめて由佳の手を振り払ったが、眩しい夕日を浴びながら階段を降りる時、彼女の口角は思わずホッとしたような笑みの形にカーブしていた。
その週の金曜日の放課後、2年A組の生徒が全員帰った後、蒼は窓際から四番目の木の机のそばに一人座っていた。彼女は茶色いノートを開いた。
二年生の一学期が終わるまで残すところあと一週間。そして学校全体が再び六週間にわたる夏休みに入ろうとしていた。
蒼は、この一年半で半分以上書き込まれたページを振り返った。去年の四月の「月曜日の朝の泥棒」が誰かを言い争った行から、花火の夜の迷子、今年の初めに汗だくになって木の机を新しい教室まで盗み運んだ作戦まで……。そして今、なんて偶然だろう、彼女も2年B組のバカな翔太も、現実世界の「片想いのターゲット」に同じ月に終止符を打ったばかりなのだ!
恋愛の専門家だと自負して胸を叩いていた二人の「ダメ出し軍師」が、結局のところ、十七歳の夏休みを前にして手を繋いで独り身のスタートラインに戻ってきたのだ! そう思うと、蒼の胸の中に、これまでにないほど強烈な衝動が突然湧き上がってきた。
彼女は彼に会いたかった。
遠い卒業式の日を待つのでもなく、隔週で待つ文字を通してでもない。今この瞬間、二人が外の無邪気な恋に終止符を打ち、夏休みの間この机から離れなければならないという時に、蒼は、一年以上もの間ずっとそばで自分のあらゆる悩みを聞いてくれた同盟者の本当の顔を、一度でいいから見てみたいと心から思ったのだ。
彼女は、あの憎たらしい「クックック」という笑い声を発する時、彼の本当の声がどれほどマヌケに聞こえるのか聞いてみたかったし、失恋したばかりの「軍師長」を慰めるために、自分の手で彼とジュースの缶で乾杯したかった!
去年の九月、現実で顔を探ることを禁じる「秘密の樹洞協定」を定めたのは蒼自身であり、翔太は「君が許可するまではルールを破らない」という武士の約束を守り通してくれた。それならば今日、彼女自身の手でその鍵を開けよう!
蒼の心臓は胸の中で激しく鼓動していた。彼女は黒インクのペンを手に取り、大きく深呼吸をしてから、ノートを机の中に置く前に決定的な言葉を一行ずつ丁寧に書き込んだ。
『金曜日: ねえ翔太……今回はあんたのことを笑ったりしないわ。美波ちゃんのことを笑顔で祝福してあげるなんて、よくやったしすごくカッコよかったわよ、軍師長。 それに、信じられないくらい偶然な話をしてあげる。この前の水曜日の放課後、後ろの席の美術部の男子が夏休みに展覧会に二人で行こうって誘ってきたんだけど……私、キッパリ断っちゃった! あんたが以前言ってた通り、一緒にいる時に無理して背伸びしなきゃいけないような人のことは好きになれないって気づいたの。ということで、私たち二人の「恋の軍師」は、結局のところ夏休みを前にして〇対〇の引き分けで完全な非リア充ってことね!』
『ねえ翔太……来週は夏休み前の一学期最後の週で、ノートはあんたのところにあるわよね。考えてみれば、私たちは一年半近くも秘密の同盟を組んで、一緒にこの木の机を二年生の教室まで運んだりもした。去年の「秘密の樹洞協定」の設立者として、今日ここに宣言します。協定の一時停止を【正式に許可】します!』
『来週の金曜日の放課後——一学期の終業式の日——放課後の16時30分ちょうどに、C棟の自販機の前で現実世界で会いましょう! C棟のあたりは夕方になると人が少ないし、そこでメロンソーダを二缶買って、「独り身軍師同盟」を祝って乾杯しようよ。そして、夏休みの日記を書けるように、あんたの手から直接このノートを私に渡して!』
『あんたは私の名前も顔も知らないから、C棟に立つ時は、目印としてこの茶色いノートを右手に持っていてね! 必ずあんたを探しに行くから。会えるまで絶対帰らないでよ、翔太!』
◇
「今週の金曜日の放課後に、C棟で直接会うって?!!」 夏休み前の最終週の月曜日の朝、2年B組の教室で、俺は2年A組の軍師殿が書いた最後のページをじっと見つめながら、まるで特大の花火が自分の頭頂部で爆発したかのように感じていた!
彼女が……彼女の方から「秘密の樹洞協定」の解除を宣言してきたのだ! それだけでなく、後ろの席の美術部の四ツ目野郎からのデートの誘いをきっぱりと断り、今週金曜日の16時30分ちょうどにC棟の自販機の前で……現実で初めて顔を合わせようと俺を誘ってきた!!
茶色いノートを持つ俺の両手は、あまりの興奮で少し震えていた。
先週の失恋の悲しみの余韻など、俺の頭の中には微塵も残っていなかった。それどころか、その週の月曜から金曜までの五日間、俺はまるで魂を抜かれたように、ずっと有頂天になって宙に浮いている気分だった!
廊下の手洗い場の鏡の前を通るたびに立ち止まり、前髪が十分にロマンチックになびいているか何十回も整え直した。夜家に帰ってからは、夏服のシャツを全部引っ張り出してシワ一つないようにアイロンをかけまくった。そのせいで山本健二も沢渡先生も、俺が美波に振られたショックでおかしくなったのだと呆れて首を振る始末だった!
そしてついに、運命の金曜日がやってきた。校庭での一学期終業式が終わり、16時15分に沢渡先生が2年B組の教室から出て行った直後、俺はバネのように即座に椅子から飛び上がった。
「あれっ翔太、今日は終業式の後にバスケ一試合やって帰らないのか?」健二がぽかんとして後ろから声をかけた。
「今日は俺の人生で最も重要な歴史的な約束があるんだよ! 夏休みの後にしてくれ!」俺は親友に手を振って別れを告げ、大きく深呼吸をし、右手にしっかりと握った茶色いノートを確認すると、2年B組の教室から飛び出し、C棟に向かって階段を一気に駆け下りた!
◇
16時20分。
2年A組の教室で、高橋蒼も「C棟にいる友達に借りた本を返しに行かなきゃいけない」という理由で、親友の由佳からの夏休み突入を祝うタピオカミルクティーのお誘いを慌てて断っていた。
まばゆい夕日が降り注ぐC棟の複合施設へと続く廊下を早足で歩きながら、蒼は絶え間なく激しく鼓動する自分の胸に手を当てた。
あと十分足らずで、一年以上もの間、机の中の自由奔放な文字ととんがり顎の棒人間の絵を通してしか存在しなかったあのバカが、生身の人間として本当に彼女の目の前に現れるのだ!
彼は現実でも、自画像みたいにピッケルのように尖った顎をしているのだろうか? 彼女が歩み寄って「こんにちは、2年B組の軍師長」と声をかけた時、彼は目を丸くして驚くのだろうか、それともノートみたいに頭を掻いて「クックック」と笑うのだろうか?
昨夜家で鏡の前に立った時、蒼はこれはただ二人の失敗した軍師の同志愛を祝ってジュースで乾杯するための集まりに過ぎないのだと自分に言い聞かせていた。それなのに、今朝学校に行く前、彼女は無意識のうちに二十分もかけて長い黒髪をサラサラに梳かし、一番お気に入りの小さな星型のヘアピンを留めていたのだ。
16時28分。
蒼は渡り廊下を曲がり、C棟の一階ロビーに入った。そこは多数の特別教室棟、実験室、部室がU字型に広く繋がった複合施設で、放課後はいつも閑散としている。彼女はメインの階段の角のすぐそばに置かれた自販機の前で立ち止まった。
そしてその同じ金曜日の16時28分ちょうど。俺——鈴木翔太——もまたC棟に走り込み、一階ロビーの自販機の前で息を切らして立っていた。
俺は慌てて硬貨を投入し、冷たいメロンソーダを二缶買った。左脇にその二缶のジュースを抱え、右手には手紙で約束した暗号通りに茶色いクラフト表紙のノートを胸の前に高く掲げ、自販機の前に背筋を伸ばして立ち、廊下の端へドキドキしながら目を凝らした。
16時30分。C棟の壁掛け時計の長針が、ちょうど数字の6に触れた。
周りの空間は水を打ったように静まり返り、外の濃緑の葉の上で鳴きしきるセミの声と、廊下の床に長く伸びるオレンジ色の夕日だけがあった。
五分が過ぎた。そして十五分が過ぎた。俺の目の前にある、C棟へと続く廊下は依然として完全に空っぽだった。
「きっと2年A組の担任が学期末のホームルームを少し延長してるだけさ……女の子は待ち合わせの前に髪型を直したりもするだろうし!」俺はそう自分を慰めて軽く微笑み、軸足を替えたが、右手は茶色いノートをしっかりと握りしめたまま、一秒たりとも下ろそうとはしなかった。手を下ろした瞬間に彼女が通りかかって気づかないかもしれないと恐れたからだ。
16時45分。
C棟ロビーの自販機のそばに立ち、高橋蒼は下唇を軽く噛み始めた。胸の前できつく組まれた両手には、薄っすらと汗がにじんでいた。
なぜ約束の時間を十五分も過ぎているのに、翔太はまだ来ないのだろう? いつもせっかちで、毎週誰よりも先にノートを期限通りに返すよう彼女を急かしていた彼が、まさか初めての顔合わせの日に遅刻するなんてことがあるだろうか?
ちょうどその時、ある考えが蒼の頭をよぎった。「待って……C棟はこんなに広くて、いくつかの特別教室棟が繋がってて、各階段の踊り場や渡り廊下のロビーにもそれぞれ自販機が置いてある! 手紙にはただ『C棟の自販機の前』と大雑把に書いただけで、どこのロビーかハッキリ書くのを忘れてた!」
蒼の心臓がドクンと鳴った。もし去年の文化祭で1年A組から1年C組まで間違えて行ったあの方向音痴のバカが、今頃ノートを抱えて、実験室棟の側の自販機や二階のロビーで私を待っていたとしたら?!
そして同じ16時45分のその瞬間、俺の頭の中にも全く同じ稲妻が走った。「しまった!! 花火の夜に下駄を脱いで川辺中を走り回ったあの極度の迷子娘……。C棟は迷路みたいに廊下がいくつも繋がっているのに、手紙には『C棟の自販機』としか書いてなかったから、あいつは裏の部室棟の側の自販機で待っているか、それとも二階に駆け上がってしまったんじゃないのか?!」
申し合わせたわけでもないのに、俺と彼女は同時に立っていた場所から飛び出した!
俺の靴音がC棟の二階へと続く階段にドタドタと響いた。走りながら、俺は手に持った茶色いノートを高く掲げ、徐々に鮮やかな赤みがかったオレンジ色に変わっていく夕日がいっぱいに差し込むU字型の廊下を、目を凝らして次々と見渡した。
「おい! 2年A組の軍師殿! 上にいるのか?!」返事はなかった。二階の廊下には、鍵の閉まった特別教室のドアと、夕風にバタバタとはためく白いカーテンがあるだけだった。
同時刻、蒼もC棟の反対側の棟へ回り込もうと、一階の渡り廊下を全速力で走っていた。急ぎ足で走るたびに彼女の長い黒髪が舞い上がり、窓ガラス越しに斜めに差し込むまばゆい夕日を受けて、星型のヘアピンがきらきらと輝いた。
別棟の階段の角まで走ってきた時、蒼はふと上の階から響く急ぎ足の足音を聞いた——実際には、隣の建物に忘れ物を取りに行ったどこかの部活動の生徒の足音に過ぎなかったのだが——極度の緊張の中、蒼の心臓は胸から飛び出しそうになった。
「彼だわ! きっと翔太も二階で私を探し回っているんだ!」蒼は慌てて階段の手すりに掴まり、全速力で二階へと駆け上がった。
しかし、彼女が西側の階段から二階の廊に足を踏み入れたまさにその瞬間……向かいの建物の東側の階段では、二階をくまなく探して誰もいないのを確認した俺が、裏のロビーで彼女を探すために一階へと慌てて駆け下りていたのだ!
巨大な火の玉のように真っ赤な夕日が、校庭の木々の向こうへとゆっくりと沈んでいき、陽光が降り注ぐ階段に俺たち二人の影を長く引き伸ばした。
二階に上がり、一階に下りる。東側の実験室棟へ曲がり、西側の部室の廊下へ引き返す。夕闇に包まれゆく広大なC棟の複合施設の中で、俺と彼女はそのまま急ぎ足で、いくつもの廊下や階段を二周、三周と駆け巡ってお互いを探し続けた。
渡り廊下の角を走り抜けた時、目の前の真っ白なカーテンが、ほんの数秒前に誰かが通り過ぎたかのように激しく揺れているのを見る瞬間があり、そのたびに俺は心臓をバクバクさせながら大声で叫んだ。「そこにいるんだろ?! 一箇所に立ち止まっててくれ、もう走らないでくれ!!」
そして反対側では、静まり返った二階の廊下で蒼が息を切らして立っていた時、夏の風がドアの隙間を吹き抜けて下の階段に消えていった人の足音のようにカサカサと音を立てるのを聞き、彼女もまた希望に満ちて見開かれた目で急いで階段を駆け下りた——しかし辿り着いた先で彼女を待っていたのは、消えゆく一日の最後の光に満ちた空っぽのロビーだけだった。
17時15分。
シャツの背中が汗でぐっしょり濡れるまでC棟の各建物を二、三周連続で探し回った後、俺はふと立ち止まり、自分の額を強く叩いた。
「待てよ……こんな広い建物の中で二人ともパニックになって探し回ったら、永遠にすれ違い続けるって、俺自身が彼女に説教したじゃないか! 俺は一階のメインロビーの自販機——一番目立つ場所——に定位置として戻って、彼女がそこに戻ってくるのを待つべきなんだ!」
そう考え、17時15分から18時までの最後の四十五分間、俺はもうどこにも走らず、C棟一階のメインロビーにある自販機の前に完全に陣取って動かないことに決めた。
そして皮肉なことに、反対側にいた高橋蒼もまた、広大な廊下を絶望の中で三十分以上走り回った後、同じ結論に達していた。彼女は、16時半に自分が最初に選んだ自販機の前に戻り、じっと動かずに立ち尽くしたのだ。
しかし……一箇所に留まったその四十五分間は、息が詰まるほどの静寂の中で過ぎていった。メインロビーに戻ってくる人影は一つもなかった。
18時——夏休み開始に向けてすべての校舎が施錠される時間——を告げるチャイムが冷ややかに校庭に響き渡った時、真っ赤な夕日も地平線の彼方へと消え去り、深い青色の薄暗い闇に取って代わられた。
俺の左手にある二缶のメロンソーダは、今やすっかり冷たさを失い、生ぬるく重々しくなっていた。俺は右手にしっかりと握りしめられたままの茶色いノートを見下ろした。
さっきC棟の各建物を走り回っていた時は、広いU字型の廊下のせいで二人が偶然すれ違ってしまっただけだと自分を慰めることができた。しかしこの四十五分間、俺はC棟のメインの入り口から半歩も動かずに立ち尽くしていたのだ! もし彼女が今日の午後本当にC棟に来ていたのなら、学校が閉まる前にこのメインロビーを通らないわけがない!
真実はただ一つ。彼女は最初から来ていなかったのだ。
足の裏から冷たい感覚がゆっくりと背筋を這い上がり、この一週間期待に満ち溢れていた俺の胸を締め付けた。
どうして彼女は来なかったんだ? 「秘密の樹洞協定」の解除を手紙で自ら提案してきたのは彼女自身で、今日の16時30分にC棟で待ち合わせしようと俺を誘い、目印としてノートを右手に持っているようにと念を押したのも彼女自身じゃないか!
突然、暗くて苦々しい考えが俺の頭をよぎった。まさか……最初から最後まで、すべては悪意のあるイタズラだったのか?!
先週、俺は美波に振られたことをノートで告白し、「今回は君が僕を思う存分笑うことを許可してやる!」と書いたばかりだった。もしかして俺がバカすぎて、「片想いハート」から「風呂キャン」の件まで一年以上にわたってからかうのに丁度いいおもちゃだったから、彼女は美術部の男子を振ったなんて嘘の話をでっち上げ、この偽の待ち合わせを仕組んで俺をC棟に呼び出し、二缶のジュースを抱えてピエロのように夕方ずっと待たせている間に、自分はとっくに友達と夏休みのタピオカミルクティーのお祝いを楽しんでいたんじゃないのか?!
そして同時刻、C棟のロビーで自動的に点灯した青白い蛍光灯の下で、高橋蒼も冷たい自販機に背中をもたせかけていた。一時間半近く各棟を探し回り、その場で絶望的に待ち続けた後、彼女の華奢な両肩は力なく垂れ下がっていた。
喉の奥が苦く詰まり、目の前の視界が滲むほど鼻の奥がツンとした。
担任に居残りで掃除をさせられている人もいなければ、別の廊下に迷い込んだ人もいなかった。最後の四十五分間、彼女は彼が去年教えてくれた通り——メインロビーの自販機の前で一箇所に立ち止まって待つこと——を実行したのに、彼女に返ってきたのは、鍵がかけられた広大な建物の身の毛もよだつような静寂だけだった。
初めて安全な殻から抜け出し、匿名協定を自らの手で破って、この学校で唯一信頼できる友達に会いたいと願うために、彼女がどれだけの勇気を振り絞らなければならなかったことか。それなのに、彼は夕暮れの空っぽの建物の中に彼女を一人きりで残酷に置き去りにしたのだ!
「もしかして……彼にとってあのノートは、最初から最後まで授業中の暇つぶしのおもちゃに過ぎなかったの? 私が真剣に現実の世界に踏み出して会おうとしているのを見て、面倒くさくなったか友達に顔向けできないと思って、夏休み前に縁を切るためにわざと私をすっぽかしたの?!」
各教室棟の門を施錠して回る守衛さんのガチャガチャという音が遠くで響いた時、傷つきと誤解の傷跡で重くなった二つの心臓を抱え、二つの人影は静かに背を向けてC棟を後にした。
俺は指の関節が真っ白になるほど、手の中の茶色いノートを強く握りしめた。いつものように星型の傷がある机の中にノートを置くために2年B組の教室へ戻る代わりに、頂点に達した怒りと自尊心のせいで、俺は茶色いノートをスクールバッグに直接突っ込み、ジッパーを荒々しく閉めると、一度も振り返ることなく府中高校の校門からまっすぐ外へと歩み去った。
十七歳の夏休みは、夕日が沈んだあの日の午後から始まった——木の机を介した絆が、俺たち自身の手によって初めて完全に断ち切られた、長く続く冷戦の数週間の幕開けだった。
お読みいただき、ありがとうございます!
次話は明日19時20分に更新します。




