第4話 ダメ出し軍師と学年末の危機
第4話 ダメ出し軍師と学年末の危機
府中高校の校門の外のイチョウの葉が、蜂蜜のような陽射しを浴びて黄金色に染まる頃、一年生から三年生までの全生徒が秋の最後のお祭り騒ぎ、文化祭に向けて動き出した。
十月下旬の二週間、放課後のチャイムが鳴るやいなや、廊下のあちこちからカンカンと釘を打つ音や、ギコギコと木を切る音が響き、強烈なペンキの匂いが漂っていた。
俺のいる1年B組では、沢渡先生の進行による白熱した投票の結果、男子の「お化け屋敷(病院編)」案が、女子の「貴族のアフタヌーンティー」案を僅か一票差で打ち負かした。
「鈴木! 山本! あんたたち、窓枠の上でお化けのマネしてるの? それとも蜂の巣でも作ってるの?!」
教室の入り口から響いた沢渡先生の怒声に、俺も親友の山本健二もビクッとして、危うく黒のガムテープを床に落とすところだった。今日の担任の先生は、伝統的な青のジャージ姿で髪を綺麗にポニーテールにまとめていたが、頬にはいつどこでつけたのか白いペンキの筋がついていて、おかしいやら恐ろしいやらといった顔つきだった。
「先生の指示通り、窓を黒い新聞紙で塞いでるところですよ!」俺は脚立の上に立ち、ガムテープを振りながら弁解した。
「窓一つ塞ぐのに三十分もかけて、そのうち二十五分は校庭を見下ろして、どのクラスの仮装が一番マシか品評会でも開いてたんじゃないの?」沢渡先生は腰に手を当てて近づいてくると、木の定規で俺のふくらはぎを軽く叩いた。「さっさと手を動かしなさい! 夕方の五時までにこの窓を全部塞ぎ終わらなかったら、明日一日中、あんたたち二人をミイラ男役にしてぐるぐる巻きにして放置するからね!」
沢渡先生が教室の隅で小道具作りをしているグループを急かしに向かったのを見計らって、下で脚立を押さえていた健二がしかめっ面を見上げ、小声で俺に言った。
「おい翔太、沢渡先生のやつ、絶対に後頭部に目ん玉がついてるぜ。で、お前さっきから廊下の方ばっかりキョロキョロ見てたけど、美波がジュース買いに行って戻ってくるのでも待ってんのか?」
「違うっての、いいからしっかり押さえてろよ!」
俺は照れ隠しに軽く言い返し、黒いダンボールを窓ガラスに押し当てた。
実のところ、俺がさっきから廊下を盗み見ていたのは美波を待っていたからではなく、俺たちの教室のすぐ隣にある1年A組の入り口付近を窺っていたからだ。
先週、茶色いノートが隣のクラスの彼女の手元にあった時、彼女は二ページにわたってびっしりと自慢話を書籍し、今年の1年A組はピンク色の風船で飾り付けた「スイート・いちごクレープ」の屋台をやると息巻いていたのだ。しかも、1年A組の屋台は、俺たち1年B組の真っ暗なお化け屋敷の十倍は客が来るはずだと挑発までしてきた。
お互いに「秘密の樹洞協定」を結び、絶対に相手のクラスに顔を探りに行かないと約束したとはいえ、俺の負けず嫌いの血が騒ぎ、ライバルのクオリティを直に確かめに行きたくてたまらなくなっていた。
金曜日の午後——文化祭本番の日。二時間ぶっ続けで「チェーンソーを持った医者」役として喉が枯れるほど叫びまくった後の休憩時間を利用して、俺は汗だくのプラスチックのマスクをこっそり外し、上着の襟を高く引き上げると、廊下の人混みに紛れて、わずか数歩先の隣の教室である1年A組へと足を向けた。
あの生意気な彼女のピンク色のクレープ屋とやらが、一体どんな繁盛ぶりか見せてもらおうじゃないか……。
ところが、1年A組の教室の前に足を踏み入れた瞬間、俺は立ち止まり、三回も目をこすってしまった。
ピンク色の風船なんて一つもない。クレープの甘いバターの匂いも一切しない。
それどころか、1年A組の入り口には、巨大な炎のタコが描かれた木の看板が立てられ、そこにはデカデカと『1年A組の漢たちが焼く、焼きそば&鉄板たこ焼き!』と書かれていたのだ! 教室の中からは、油煙とウスターソース、そしてキャベツを炒める匂いが錬丹炉のようにモクモクと立ち昇り、ねじり鉢巻を締めた男子たちが鉄板用のヘラをカンカンと鳴らしながら、空も裂けんばかりの野太い声で客引きをしていた!
「えっ……何だよこれ?!」
俺は廊下の真ん中で呆然と立ち尽くし、鼻を突く強烈なネギ油の匂いを顔面に浴びて頭がクラクラした。ノートにははっきりと、1年A組は甘いクレープ屋をやると書いてあったじゃないか?! なんでそれが、油まみれのキャベツの焼きそば屋に化けてるんだ?! もしかして、直前でクレープ用のフライパンが焦げ付いてダメになったから、急遽焼きそば屋に変更したのか?
予定していたクレープの試食ができなかったのは少し残念だったが、隣のクラスの彼女の「弱み」を握れたことに気を良くして、俺は1年B組へと走って戻った。しかし、文化祭での俺の不運はそれだけでは終わらなかった。
その日の夕方、文化祭が終了し、クラス全員で散乱したダンボールの片付けをしていた時、俺はペンキの缶をしまうために、偶然美波と同じタイミングで教室の隅の道具部屋に入った。
うずたかく積まれたダンボール箱に囲まれた、二人きりの狭い空間で、俺の心臓は突然バクバクと高鳴り始めた。美波が背伸びをして上の棚から紙箱を下ろそうとしたまさにその時、俺は最近少女マンガでよく見かけるナンパの絶招、「壁ドン」を思い出したのだ!
ついに時代が来たぞ、鈴木翔太!
俺は大きく深呼吸をし、足早に美波の後ろへと近づいた。彼女が振り返った瞬間、俺は右腕を振り上げ、彼女の肩すれすれの石膏ボードの壁にカッコよく手のひらを叩きつけ、「僕が取るよ」と低く魅力的な声で囁くつもりだった。
しかし悲しいかな、俺は自分の足元に、昼間お化け屋敷の床に敷いていたツルツル滑るビニールシートが残っていることをすっかり忘れていたのだ!
ズシャーッ!
俺の軸足は、フィギュアスケートの選手のように一直線に長く滑っていった。紳士的に壁に手をつく代わりに、体重六十キロの俺の体は大砲の弾のように真っ直ぐ前に吹っ飛んでいき、そして……。
ドンッ!!
手ではなく、俺の額のど真ん中が美波の耳のすぐ横の石膏ボードの壁に、爆竹のような轟音を立てて激突した! その衝撃で壁に掛かっていた日直の黒板が床に落ちるほどだった。俺は額を押さえてダンボールの山に倒れ込み、目の前に火花が散って白鳥の群れが頭上を飛び交うのが見えた。
「キャッ! 鈴木くん!! 大丈夫?! どうして突然……頭から壁に突っ込んだりしたの?!」
パニックになった美波の叫び声に続いて、健二と沢渡先生がドタドタと駆けつけてくる足音が響いた。こうして俺の文化祭は、額のど真ん中にニワトリの卵ほどもある巨大なタンコブを作って、見事に歴史の闇へと葬り去られたのだった。
帰る前、すでに青紫色に変わった額のタンコブを手でさすりながら、俺は涙を飲んで二つの事件——「クレープ屋が焼きそば屋に化けた」ことの追及と、「壁ドンしようとして頭ドンした」悲劇——を茶色いノートに書き記し、それから机の中へとしまった。
◇
「ちょっと待って……なんでこいつ、1年A組の入り口で焼きそば&たこ焼きの看板なんて見たのよ?」
十一月最初の月曜日の朝、1年A組の教室で、高橋蒼はイチゴミルクのパックを手に持ったまま、茶色いノートの真新しい文字を眉をひそめてじっと見つめていた。
ほんの一瞬、奇妙な冷気が彼女の背筋を走り抜けた。
「1年A組の入り口には、巨大な炎のタコが描かれた焼きそば屋の木の看板が立てられ」だって?! この二日間の文化祭中、私の1年A組の教室はピンク色の風船で埋め尽くされて、いちごクレープを三百個以上も売ったのに! その炎のタコの看板を出していた焼きそばの屋台は、廊下の反対側の端にある1年C組のものじゃない!
でも、ここで一番理不尽なのはそこだ。1年B組の教室は、1年A組のすぐ隣にあるのだ! 1年B組のドアから出た生徒は、たった五歩歩けば1年A組のドアに真っ直ぐ着く。うちのクラスの入り口にある巨大なピンクの風船のアーチを通り過ぎて、廊下の反対側の端にある1年C組まで間違えて行くなんてことが、どうしてあり得るの?! まるで……彼が見た1年A組の教室が、私の1年A組の教室じゃなかったみたいに!
蒼は数秒間身動きもせず、無意識のうちに指先でページの端をそっとこすっていた。
しかし、チェーンソーを持った医者の役を二時間もやって真っ暗な部屋から出てきたばかりで、おまけに「秘密の樹洞協定」のルール違反になるのを恐れて上着の襟を高く上げて顔を隠していたという、彼自身の自白の文章を読み進めると、蒼はホッと息を吐いて吹き出した。
「もう、びっくりさせないでよ……。真っ暗なお化け屋敷に二時間もいたから外に出て太陽の光で鳥目になった上に、泥棒みたいに上着で目を隠してコソコソ歩いてたから、方向を間違えて1年C組の方へ行っちゃったってことね!」
その下に続く、隣の席の女子に「壁ドン」しようとして滑って「頭ドン」になり、額にタンコブを作った話を読むと、蒼の頭に芽生えかけていた疑念は瞬時に跡形もなく吹き飛んだ。彼女は腕に顔をうずめ、飲んだばかりのイチゴミルクを吹き出しそうになるほど笑いをこらえた。
「ねえ蒼、朝から机の中の何を読んでそんなに一人でニヤニヤしてるの?」
由佳が椅子を引いて蒼の隣に座った。丁寧にメイクされたその目には、好奇心とイタズラっぽい光が宿っていた。「まさか、美術部の隼人くんからのメッセージでも読んでたんじゃないわよね?」
その名前を聞いて、蒼の唇の笑顔が一瞬止まり、恥ずかしさで両頬がほんのりとピンク色に染まった。
「そ、そんなことないよ! 隼人くんとはまだSNSでも繋がってないし……」
「だったら、早く行動しなきゃ!」由佳は焦ったように蒼の肩を軽く叩いた。「文化祭の日、蒼が別棟の階段で足を捻った時、1年D組の隼人くんが一人で重いキャンバスの箱を二つも、うちのクラスまで運んでくれたじゃない! しかも帰る時に振り返って、蒼が黒板に描いた秋の空の絵の色使いがすごく温かいって褒めてくれたし。あっちからはもう完全に青信号が出てるのに、蒼がいつまでもモジモジしてたら、他の子に横取りされちゃうわよ!」
由佳の熱烈な催促のせいで、蒼はその日の授業中ずっと考え込んでしまった。
正直なところ、高校に入ってから、他クラスの男子がこんなに優しく接してくれて、自分の絵を心から褒めてくれたのは初めてのことだった。隼人は眼鏡をかけた、とても穏やかな笑顔と優しい声の持ち主だ。一階の廊下で偶然すれ違うたび、蒼の心臓も戸惑いでいつもより少し早く脈打ってしまう。
でも……私はこれからどうすればいいの? もともと内向的で、クラスの友達と話す時でさえ言葉を選ぶような私が、どうやって他クラスの男子に自分から話しかけたり、連絡先を聞いたりする勇気を出せるっていうの?
もし由佳に相談したら、あの世慣れた友達のことだから、昼休みに彼を待ち伏せして突撃しろと絶対にけしかけてくるに違いない。
蒼は頬杖をついて窓の外を眺め、そして彼女の視線は無意識のうちに、机の中にある茶色いノートへと落ちた。
ちょっと待って……。1年B組のあの翔太ってやつは、女子の前でアホなことばかりする大バカだけど、それでも正真正銘の十六歳の男子高校生じゃない! 男子の心理を理解したいなら、絶対に恥をかかされる心配のない男子に直接聞くのが一番安全な方法なんじゃないの?!
その考えが閃くやいなや、蒼は昼休みに慌ててノートを開いた。こっそり1年A組を覗き見しようとした罪を咎め、「石膏ボードへの頭突き」をからかう文章を書いた後、彼女はペン先を軽く噛み、長い間ためらった末に、ページの下半分に普段より少し小さな字で続きを書き始めた。
『月曜日:ねえ……まずは文化祭の日にこっそり1年A組を覗き見しようとした罪を警告しておくわね! 上着を被ってコソコソ歩いてたから鳥目になって、1年C組の焼きそば屋まで間違えて行ったんだから自業自得よ! もしまたルールを破って協定を台無しにしたら、今度こそ本当にこのノートを焼却炉に投げ捨てるからね! それはそうと……一つ聞きたいことがあるの。絶対に笑ったり、勝手な妄想を膨らませたりするのは禁止だからね! 実はこの前の文化祭の準備中、私が足を痛めた時に、他クラスの美術部の男子が荷物を運ぶのを手伝ってくれて、私が黒板に描いた絵もすごく綺麗だって褒めてくれたの。友達はみんな、彼が私に好印象を持ってるから自分から話しかけて仲良くなりなよって急かしてくるんだけど……。でもあんたも知っての通り、私はあんたみたいに壊れた傘を持って女の子を誘えるほど図太い神経してないのよ。あんたみたいな男子の視点から見て、一度助けてもらったからって急に女子が話しかけに来たら、男子としては面倒くさいとか変だとか思うもの? 廊下ですれ違った時、私はどうすればいいのかな?』
「気になっている人」についての最初の相談を書き終えると、蒼はまるで敵に自分の死亡通知書を手渡したかのように、顔がカーッと熱くなるのを感じた。彼女は慌ててノートを閉じ、机の奥に押し込んで、二週間後の机の向こう側からの判決をドキドキしながら待った。
◇
「なんだと?! 美術部の男子が彼女の荷物運びを手伝った上に、絵を褒めたって?!」
十一月中旬の月曜日の朝、茶色いノートの最後の段落を読んだ瞬間、俺は休み時間のど真ん中にもかかわらず、思わず机をバンと叩いて立ち上がってしまった。前の席でバナナミルクを飲んでいた健二が驚いて、ミルクを机の上に吹き出した。
「ゲホッ、ゲホッ! お前頭おかしくなったのか翔太?! いきなり机叩いて美術部がどうとか叫びやがって!」健二はティッシュで机を拭きながら俺を睨みつけて怒鳴った。
「あ……なんでもない! ただ……美術の課題を出し忘れてたのを思い出しただけだ!」
俺は慌てて椅子に座り込み、両目は1年A組の彼女が少し躊躇いながら書いた小さな文字の並ぶページに釘付けになったままだった。
なぜだろうか、彼女が「他クラスの美術部の男子」に言及したのを読んだ瞬間、俺の胸の中に、なんとも言えないムズムズと苛立つような、非常に奇妙な感情が湧き上がってきたのだ——それはまるで、階段の下の生意気な野良猫に半年間もエサをやり続け、毎日引っ掻かれて手に傷を作っていたのに、ある日突然、その猫が見ず知らずの通行人にすり寄って甘えているのを見た時のような気分だった!
待てよ、お前どうしちゃったんだ鈴木翔太?!
俺は、すっかり引っ込んだ額のタンコブの跡を自分でポカッと叩いた。お前が追いかけているのは、隣の席の優しい美波じゃないか! 机の向こう側の彼女はただの……口喧嘩の同盟者、匿名の心の友にすぎない! 彼女が女の子の最も秘密の悩みを相談してきたということは、お前の男としての度量と豊富な恋愛経験を完全に信頼している証拠じゃないか!
そうだ! 今の俺の心の中の不快感は、決して嫉妬なんかじゃない。いつも迷子になるおバカな女友達が、美術部の真面目そうな眼鏡をかけた男子に騙されるんじゃないかと心配する、先を行く先輩としての正当な懸念に過ぎないんだ!
「それなら、この大先生がナンパの極意ってやつを直々に指導してやろうじゃないか!」
自称「恋の軍師」として、俺は即座に新しいページをめくり、上から目線の威厳に満ちた口調で丸々一ページを埋め尽くした。
『月曜日:ふーん、あの生意気な1年A組の君も、見知らぬ男子に心を揺らしたりするんだな! でも、男性心理学の専門家であるこの鈴木翔太の分析を聞いて目を覚ましなさい。第一に、ダンボールを運んでもらって社交辞令で一言褒められただけで好意を持たれてると思うなんて、純真にもほどがある! 僕たち男子は、重いものを持ってる人がいたらついでに手伝うことくらいある。君の基準は甘すぎるぞ! 第二に、もし本当にその美術部の四ツ目野郎と恥をかかずに話したいなら、僕の「三ステップ恩返し作戦」をすぐに実行すること。ステップ一、ミルクコーヒーかチョコクッキーを買う。ステップ二、廊下を通りかかる時を狙って、偶然を装って出くわす。ステップ三、クールにクッキーの箱を彼に押し付けて、「先日は箱のことありがとう」と言い、それ以上何も言わずに背を向けて立ち去る! これなら間違いなく、彼は君のミステリアスさにやられて一週間は夜も眠れなくなるはずだ! 軍師翔太の教え通りにやってみな、失敗したら僕が責任取ってやるからさ! クックック!』
こうして、あの文化祭を境に、俺と机の向こう側の匿名の彼女との関係は、完全に新しい章へと突入した。ダメ出し軍師同盟の結成だ。
十二月の最初の凍てつく風が吹き荒れ、全校生徒が濃い色のセーターを着込みマフラーで首元を覆わなければならなくなった頃には、茶色いノートはもはやお互いの勉強の愚痴を言い合うだけの場所ではなく、二人の恋愛事情の「作戦総司令部」となっていた。
俺は、頭突き事件以降の美波の前でのイメージ回復の努力——黒板で難しい数学の問題を解こうとしたことや、風が強くなった時に体操着の上着を貸したことなど——を彼女に報告し続けたが、その度に「軍師殿」の黒ペンがページの余白に突き刺さり、「小学一年生みたいに見え見えの作戦」とけなされた。だが最終的には、どうやって女子が退屈しない会話のテーマを選ぶかを丁寧に教えてくれた。
反対に1年A組の彼女は、「恩返し作戦」(もちろん、俺のバカげた部分を彼女自身がアレンジしてトーンダウンさせたものだが)を実行したおかげで、美術部の隼人という男子と実際に話すようになり、冬休みの前にはSNSの連絡先まで交換することに成功していた!
『昨日、彼から国語の課題についてメッセージが来たの。軍師翔太のクッキーでお返しする作戦も、なかなか効果があったみたい!』と、ノートの中で嬉しそうに自慢するのを読むたびに、俺は自分の軍師としての才能を鼻高々に誇る一方で、胸の奥のあの奇妙なムズムズした感覚が、凍てつく冬の日々の中でひっそりと少しずつ大きくなっていくのを感じていた。
また、その冬の間に一度だけ、俺の方が頭を掻いて呆然とする出来事があった。その週、俺は母親が夏に放送された朝の連続テレビドラマにハマりすぎて、今でも何か驚くことがあると「じぇじぇじぇ!」と叫び、俺までそれがうつってしまったという話を書いた。『化学のテストが七十点だったと聞いて、教室の真ん中で「じぇじぇじぇ!」って叫んじゃったよ』と。
翌週、その文章の下には、黒インクで三本線が引かれていた。『じぇじぇじぇって何?! 冬に迷い込んだセミの鳴き声? それとも水でも飲んでむせたの? 友達のグループ全員に聞いたけど、誰も知らなかったわ。自分で勝手に言葉を作って流行ってるとか言わないでよね、おじさん!』
俺はそれを読んで、半分の間呆気にとられた。今年、日本中でドラマ『あまちゃん』の「じぇじぇじぇ」を知らない奴なんているのか? きっとこの子の家には本当にテレビがないんだろうな。俺は首を振って笑い、その日の午後にはその事をすっかり忘れてしまった。
◇
短い冬休みは、大晦日の除夜の鐘の音と、窓の外にチラチラと舞う初雪と共に過ぎ去っていった。
三学期——一年生最後の学期——に入ると、2月14日のバレンタインデーが近づくにつれ、府中高校の空気は俄かに活気づき始めた。
俺たち男子高校生にとって、バレンタインデーは学年末の最後の審判のようなものだ。その前のまる一週間、健二は毎日バカでかい紙袋をカバンに忍ばせ、何十人もの女子が列をなして自分にチョコレートをくれるという儚い幻想を抱いていた。そして俺も、この一ヶ月間、机の中の軍師から受けた非常に緻密な「女性心理」のカウンセリングのおかげで、今年は美波から、単なる友達以上の特別な意味が込められたチョコレートをもらえるのではないかと期待に胸を膨らませていた。
しかし、現実は甘くなかった。
2月14日のその日、美波は確かに満面の笑みで、黄色いリボンが結ばれた小さなチョコレートの袋を俺にプレゼントしてくれた……彼女が1年B組の同じ班の男子全員と、健二にも、全く同じチョコレートを二十個配って回ったのと同じタイミングで!
それは「義理チョコ」——同じクラスの友達への義務的なチョコレート以外の何物でもなかったのだ!
その日の夕方、二月の肌を刺すような寒さの中、口の中で苦い義理チョコを噛み砕きながら、俺は茶色いノートに悲哀に満ちた日記を書き綴った。
『バレンタインデーの金曜日:僕のバレンタイン作戦は正式に完全破産したよ、軍師殿。美波はスーパーのチラシ配りみたいに、班の全員に同じチョコを配ってた。後ろの席の健二でさえ、僕と全く同じ袋をもらってたんだ! きっと秋の壁ドンならぬ頭突き事件で、僕のイケメンのイメージが取り返しがつかないほど崩壊しちゃったんだな……。そっちの状況はどうだった? 今日、先週言ってた手作りのチョコレート、あの美術部の四ツ目野郎に渡せたのか? きっと今頃二人は楽しくやってるんだろうな。この負け犬軍師に結果を報告して、生きる希望を少しでも分けてくれよな!』
来週ノートが戻ってきた時には、1年A組の彼女の幸せに満ちたピンク色の日記のページを読まされることになるのだろうと固く信じながら、俺はため息と共にノートを閉じた。
しかし、その二週間後の月曜日の朝、茶色いノートが俺の机の中に戻ってきた時、そこで俺を待っていた文章は、完全に予想を裏切るものだった。
◇
一週間前の、1年A組の教室。
高橋蒼は頬杖をつき、冬の窓の外の葉を落とした枯れ枝を見つめていた。彼女の温かい息が冷たい窓ガラスに吹きかかり、真っ白な曇りの層を作っていた。
机の上には、翔太のバレンタインの失敗が書かれたページが開かれた茶色いノートが置かれている。
彼の『きっと今頃二人は楽しくやってるんだろうな』という一文を読んで、蒼は一人で苦笑するしかなかった。
実のところ、2月13日の夜、蒼は夜中の一時まで起きて自分でチョコレートを溶かし、星型の型に流し込み、由佳たち友人グループの励ましと、ノートの「軍師翔太」の挑発に応えるように、綺麗にラッピングをしたのだ。
2月14日の朝、彼女は勇気を振り絞って、昼休みに美術室の横の人の少ない廊下で隼人を呼び出し、そのプレゼントを渡した。
隼人はとても嬉しそうに彼女のチョコレートを受け取った。彼は礼儀正しく微笑み、完璧な落ち着いた声で感謝を述べ、そして二人は油絵やもうすぐ始まる学年末テストの話題で、十分ほど立ち話をした。
すべては恋愛の教科書通りにスムーズに進んだ。遠くから見ていた由佳も、両手の親指を立てて彼女の大勝利を祝福してくれた。
しかし……その十分間の会話の直後、自分の心を奇妙な虚無感が侵食していることに気づいたのは、蒼ただ一人だった。
自分が好きだと思い込んでいた男子と向かい合っていた十分間、蒼はずっとコートのポケットに隠した両手を緊張で固く握りしめていたことに気づいたのだ。彼女は頭の中で、どの角度で笑えば上品に見えるか、何秒目に頷けば礼儀正しいか計算し続け、隼人の目に映る「優しくて芸術的な心を持った蒼ちゃん」のイメージを壊すのを恐れて、冗談の一つや本音の愚痴の一つさえも言えなかった。
それどころか、隼人が古典絵画の光の構図について真面目に解説している瞬間、蒼の頭の中には非常に皮肉な考えがふと浮かんだのだ。
「もし今目の前に立っているのが、あのバカな翔太だったら……あいつは絶対に『この絵、キャベツの焼きそばみたいだな!』なんてセンスのないことを言って、私に足を蹴っ飛ばされるんだろうな」
そしてその考えが浮かんだ瞬間、蒼はハッとした。自分が気にしていた現実の男子と直接話した十分間よりも、机の中にいる顔も知らないとんがり顎のバカと、ノートで五分間口喧嘩をしている方が、よほど心が軽く、楽しい気持ちになれるということに!
もちろん、本当の恋愛をまだ経験したことのない十六歳の蒼には、その感情に名前をつけることはできなかった。彼女はただ純粋にこう考えたのだ。「きっと私はまだ恋愛する準備ができていなくて、このノートを通じて口喧嘩の同盟者でいることが、今の私には一番合っているんだわ」と。
蒼は黒ペンを取り、寒さで少し悴んだ指先に軽く息を吹きかけながら、1年B組で落ち込んでいる軍師への返事を書いた。
『水曜日:もう、落ち込まないでよバカ! 少なくとも隣の席の子からチョコレートはもらえたんだから、年度の初めに消しゴムを借りただけの時よりは進歩してるじゃない! 私の方はっていうとね……例の美術部の男子にはあのチョコレートを渡したわ。彼はすごく礼儀正しくていい人だった。でもなんだか、彼と話し終わった後、少し……疲れちゃったの。きっと私はまだ、他人の前でいい子を演じようと無理する癖が抜けてないんだと思う。よく考えたら、毎週机を開けて、このノートであんたをナルシストだって罵ってる方が、ずっと気楽で楽しいわ! だから……私の彼氏探し作戦は、とりあえずここで中止にする! あんたが隣の席の女子をオトすまでは、私がダメ出し軍師を続けてあげるから、そんなに早く諦めるのは許さないからね!』
その段落を書き終えると、蒼は目に見えない重荷を下ろしたかのように、心がふっと軽くなるのを感じた。彼女は楽しげに次のページをめくり、学年末テストの勉強計画について書き足そうとした。
しかし、ペン先が新しいページの上に触れたその瞬間、蒼の視線は、今朝担任の先生が掲示板の隅に貼り付けたばかりの三月のスケジュール表に釘付けになった。
【お知らせ:学年末テストの日程および四月からの二年生クラス替え計画。注意:西校舎の二年生の教室が改装工事中のため、二年生に進級する全生徒は別棟または他の専門教室へ移動となります】
蒼の手に握られたペンが止まった。小さな黒いインクの点が、白い紙の上にじんわりと広がっていった。
「クラス替え……それに、別の建物に移動?!」
蒼の心臓が、ふいにトクンと鳴った。
そうだ! 府中高校では、一年生の教室はすべてメインの校舎にあるが、二年生に進級する際、全員のリストがシャッフルされて文系・理系別にクラスが編成し直され、すべての教科書や荷物を全く新しい教室へと移動しなければならないのだ!
もし私と翔太が、三月の終わりにここから移動しなければならないとしたら……。
そうなれば、1年A組と1年B組の、窓際から四番目にあるこの机——春夏秋冬の四季を通じて二人を繋いできた唯一の絆——は、下級生のものになってしまう!
相手が1年A組か1年B組にいるということ以外、彼女は彼の「翔太」という名前しか知らず、彼は彼女の名前すら知らない。顔も知らず、この木の机の中にあるノート以外の連絡手段は一切ないのだ!
この机から離れてしまえば、それを維持する方法もなく……この一年生が終わった瞬間に、二人は永遠にお互いを見失ってしまうのではないか?!
蒼の呼吸が急に荒くなった。彼女は慌てて机の上に覆い被さるようにし、震える手でページの下に緊急のメッセージを殴り書きした。
『水曜日(緊急追伸!!):翔太!! 大変よ!! 今日学校の掲示板を見て、すごく深刻なことを思い出したの。三月が終わって二年生になったら、全校生徒がクラス替えになって、別の教室棟に移動しなきゃいけないのよ!! もし私たちが今の1年A組と1年B組の教室から移動したら、来年度はこの机には下級生が座ることになるのよ! そうなれば放課後の合同授業の教室も変わるし、どうやってお互いのためにこのノートを机の中に残しておくっていうの?! 一年生の修了式までもう一ヶ月くらいしかないわよ! 軍師翔太、早く何か方法を考えて! もしかして……私たちの秘密の樹洞同盟は、三月いっぱいで本当に終わっちゃうの?!(でも、この緊急事態に乗じて、作戦を相談する前に勝手にルールを破って1年A組に私を探しに来たりしないでよね!)』
1年A組と1年B組の教室の窓の外では、冬の最後の冷たい風が、小さな蕾をつけ始めた桜の枝を吹き抜けていた——それは、茶色いノートがその奇跡の旅を始めて以来、最も難解な謎と共に、新たな春がもうすぐそこまで来ていることを告げていた。
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