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第2話 月曜日の朝の泥棒と『片想いハート』の謎

五月の風が春の最後の肌寒さを吹き飛ばす頃、府中高校の校庭沿いの桜の木々はすっかり深い緑の衣をまとっていた。蜂蜜のように澄み切った晩春の陽光が1年A組の窓から降り注ぎ、高橋蒼が座る木の机をポカポカと暖めていた。

しかし、外の気温がどれほど心地よく暖かくても、今の蒼の胸の中で燃え盛る怒りの炎には遠く及ばなかった。

週明けの月曜日の朝、茶色いクラフト表紙のノートの中で、しょうたくんと名乗るやつのあの見下したような「心理的暴露」を読んだ直後、蒼は喉の奥に込み上げた怒りをすべて吐き出すのに、黒インクのペンを三本もダメにしそうなほどの勢いだった。

彼女は机に両肘を強く突き、前の席の女子の背中を担任の先生の視線を遮る盾にして、剃刀のように鋭い文字を一つ一つ丁寧に書き連ねた。

『とんがり顎の変態へ。 あんたの自意識過剰な脳みそに悲しいお知らせをしてあげる。このゴミみたいなノートは、一秒たりとも私の家に持ち帰られたりなんて【絶対に】してないわよ! 月曜から金曜まで一週間丸ごと、この机の中でカビが生えるくらい放置されてたのに、誰も拾ってくれなかっただけじゃないの、このバカ! 頭がおかしいのはあんたの方よ! 先週の初めにこっそりノートを持ち帰って、七日間も大事に抱え込んで一人でブツブツ日記を書いてたくせに、今朝になってこっそり私のクラスに忍び込んで机の中に返したんでしょ?! それから、誰があんたの彼女になってタコさんウインナーのお弁当なんか作るもんですか?! そんなにタコが食べたいなら、自分で海に行って捕まえて生きたまま丸呑みしなさいよ! 二度とこのノートを私の机の中に姿を見せないで!!』

最後の文字を書き終えると、蒼は怒りに任せて「絶対に」という言葉の下に太い二重線を引き、ノートをバタンと閉じて机の中の奥深くに押し込んだ。

(これで絶対にあのバカも黙るはず。私がノートを家に持ち帰っていないという真実が明らかになれば、あいつのナルシストな砂の城も粉々に崩れ去るに決まってるわ!)

しかし、お決まりのシナリオがまたしても奇妙な形で繰り返された。

火曜日、水曜日、そして木曜日の放課後……帰るたびに、蒼は机の中をちらりと覗き込んだ。茶色いノートはまるで木の板に根を生やしたかのように、そこに静かに鎮座していた。金曜日の午後、数学の選択合同授業が終わり、他クラスの生徒たちがぞろぞろと帰っていった後、蒼が残って確認してみても、ノートは全く動かされていなかった。

「また……」蒼は晩春の午後の淡いオレンジ色の夕暮れの中、頬杖をついてノートを見つめた。

もしあの「しょうた」が金曜の午後の合同授業でノートを取らないのなら、いつ取っているのだろう? まさかあいつ、本当に暇すぎて、毎週月曜日の早朝、学校にまだ誰も来ていない時間にこっそり1年A組の教室に忍び込んでノートをすり替えているとでもいうの?

ただ……顔も知らない赤の他人である私をからかうためだけに?

そう思うと、週の初めに煮え滾っていた蒼の怒りはふっと半分ほどしぼみ、代わりに好奇心と可笑しさが入り混じった感情が湧いてきた。本当に、どうしようもなく変な男子だ。

その金曜日の放課後、カバンを持って帰る前、蒼は当初の予定通りノートを教壇に投げ捨てる代わりに、数秒ためらった後、ノートを開いてページの最後に短い一文を書き足した。

『金曜日:ねえ、あんた毎週月曜の早朝にこっそり私のクラスに来てノート取ってくわけ? 暇すぎるのも大概にしなさいよ。』

彼女はノートを閉じ、机の中央に綺麗に置くと教室を出た。そして彼女の予想通り、翌週の月曜日の朝、机の中は再び空っぽになっていた。

◇

「この女……俺と心理戦でもしようってのか?!」

1年B組の教室で、鈴木翔太は机に突っ伏し、週末に切ったばかりの短い髪を両手でくしゃくしゃに掻き回しながら、顔の見えない彼女のびっしりと書かれた文字を何度も読み返していた。

なにが「一週間丸ごと机の中でカビが生えるくらい放置されてた」だ? 先週まるまる、俺の机の中には数学の教科書とメロンパンの袋しかなかったっての! その上、俺が月曜の朝早くにこっそり彼女の机にノートを突っ込んでるなんて逆ギレしてきやがって!

俺は顔を上げ、晩春の陽光が降り注ぐ廊下に目を細めながら、頭の中で数え切れないほどの仮説を渦巻かせていた。

まさか……この女、「七日七晩ノートを抱いて寝た」ことを俺に暴かれたのが恥ずかしすぎて、体面を保つために「ノートはずっと机の中にあった」なんて作り話をでっち上げたんじゃないか? でも、彼女が金曜日に追加したあのメモはどういうことだ? 『毎週月曜の早朝にこっそり私のクラスに来てノート取ってくわけ?』……。

待てよ。「私のクラス」?

俺は自分の太ももをバシッと強く叩いた。その音に、前の席に座っていた健二がビクッとして消しゴムを落とした。

ということは、最初から今まで、彼女はこの右隅に星型の傷がある木の机が、1年A組か1年C組にある自分の固定席だと信じ込んでいるのか?! そして、俺が金曜の午後の移動教室で彼女のクラスにお邪魔して、ノートを忘れていった張本人だと思っていると?!

実際はここが1年B組の教室で、この机はこの鈴木翔太の不可侵の領土だというのにな!

「マジでオカルトかよ……」俺は口の中で呟いた。

もし俺たち二人ともが月曜日の早朝に相手のクラスに行っていないのだとしたら、このノートは足が生えて勝手に教室間を行き来しているとでも言うのか?!

もちろん、自然科学を完全に信奉する理系男子高校生の思考回路をもってすれば、そんな幽霊じみた考えは即座に払拭された。

唯一の論理的な説明はこれしかない。このツンデレ女子は、相当な大根役者を気取っている! 本当は月曜日の早朝にこっそりノートを返しに来ているくせに、エベレストより高いプライドのせいで、最後まで被害者を演じきろうとしているに違いない!

上等だ。君が「毎週月曜日の朝にノートが勝手に持ち主を変える」というお芝居をしたいなら、この鈴木翔太がとことん付き合ってやろうじゃないか!

こうして、春の最後の数週間の間に、奇妙な暗黙のルールが俺たち二人の間で密かに確立されていった。

誰も約束したわけでもないのに、毎週月曜日の朝になると、どちらか一方が自分の机の中に綺麗に置かれた茶色いノートを見つけるのだ。

その週にノートを手にした者は、丸五日間の学校生活の中で、先週の言葉に反論を書き連ねると同時に、身の回りで起きたありとあらゆるくだらない出来事を、まるで交換日記のように書き記す。そして金曜日の放課後、帰る前にノートは再び机の中に残され、「月曜日の朝の泥棒」が持ち去るのを待つのである。

最初は、ノートの内容はお互いに一歩も譲らない口喧嘩ばかりだった。

『火曜日(翔太):今日の体育は千五百メートル走だった。親友のやつが朝メシを食い過ぎて、走りながら腹を押さえて悲鳴を上げてたよ。僕はといえば、もちろんイケメンの余裕を保ったままトップ集団でゴールしたけどね。きっと君も上の階から校庭を見下ろして、喉が枯れるくらい僕を応援してくれてたんだろ?』

『翌週の水曜日(彼女の黒ペンがページの余白に突き刺さる):イケメンが聞いて呆れるわ! 走り終わった後、顔を真っ赤にして熱中症の犬みたいにハァハァ息を切らしてたクセに! だいたい、誰が上の階からあんたの走る姿なんか見るもんですか!』

『さらに翌週の木曜日(翔太の反撃):あーっ! 現行犯逮捕! どうして走り終わった僕の顔が真っ赤だったって知ってるの?! つまり、君は【本当に】廊下から僕が走るのを見ていたってことだよね?! 自白ごちそうさま、おバカさん! クックック!』

『そのまた翌週の月曜日(彼女の文字が狂ったように線を引いて消されている):ただの当てずっぽうよ、このバカ!! 男子が千五百メートルも走った後なら、誰だって茹でダコみたいに顔が赤くなるに決まってるでしょ! いい加減な妄想はやめてよね!!』

本来ならとても丁寧な彼女の丸い文字が、怒りでグチャグチャに乱れているのを読むたびに、俺は机の下で口を覆い、肩を震わせて笑いを堪えなければならなかった。

いつからだろうか、隔週の月曜日の朝に机の中に手を入れることが、俺にとって学校に行く最大の楽しみになっていた。

ノートが相手の側に「お出かけ」している週でさえ、クラスで面白いことがあったり、化学の先生が言い間違えたりするたび、俺の最初の反射神経は机の中に手を入れてノートを探し、書き留めようとすることだった——そして、今週はノートがないことに気づいてハッと手を止め、不思議なほどの空虚感が胸の奥にこみ上げてくるのだ。

互いの黒いインクが交差するページの上で、春はそうやって過ぎていった。六月の土砂降りの雨が降り出し、じめじめと蒸し暑い夏の幕開けを告げるまで。

◇

全校生徒が真っ白な半袖シャツの夏服に衣替えした日、俺は長らく中断していた「非リア脱出作戦」を再起動する時が来たと決意した。

この一ヶ月以上、俺と隣の席の美波との関係は、文房具の貸し借りと毎朝の社交辞令的な挨拶のレベルから一歩も進んでいなかった。このままでは、一年生が終わるまで「親切な隣の席の男子」で終わってしまう。

ノートが手元にある週、俺は厳かに新しいページを開き、気合いを入れるため、そして「秘密のファン」の反応を密かに探るために、大げさな見出しを書いた。

『水曜日:今日から夏服への衣替えだ。僕はわざと襟にアイロンをぴしっとかけ、袖をきっちり一折りまくって、バスケで鍛えたたくましい前腕をさりげなくアピールしてみた。今日の午後は大雨の予報だから、カバンの中に傘を二本用意してある。もし放課後、美波が傘を忘れていたら、僕はクールに二本目の傘を取り出して彼女に渡すか、さらに完璧な展開として、駅まで相合い傘で帰るよう誘うつもりだ! 死角なしの完璧な計画。匿名の君、これを読んで僕のノートを涙で濡らさないでくれよな。』

書き終えると、俺は得意げにノートを閉じた。その日の午後、神様はやはり心がけの良い人間を見捨てなかった。放課後のチャイムが鳴った直後、初夏の白い土砂降りの雨が、バケツをひっくり返したように校庭に降り注いだのだ。

千載一遇のチャンス到来だ! 心臓が早鐘を打つ。

俺はこっそりカバンから折りたたみ傘を一本抜き出し、証拠隠滅のために教室の後ろのロッカーの底に隠した。そして一本だけ傘を手に持ち、悠然と歩くフリをして美波の席へと向かった。

彼女は雨が舞う窓の外を見つめながら立っており、その端正な眉は困ったように少しひそめられていた。

「あ、鈴木くん……」美波は俺を振り返り、苦笑いした。「すごい雨だね。今朝天気予報を見間違えちゃって、傘を忘れちゃったの」

ビンゴ! キューピッドはこの鈴木翔太の味方だ!

俺は咳払いをして、できるだけテレビドラマのクールな主人公に近づくよう顔の筋肉を調整し、手に持った傘を持ち上げた。

「偶然だね、僕は傘を持ってるよ。どうせ駅まで同じ道だし、もしよかったら……一緒に入っていく?」

そのセリフを言い終えた時、俺は自分のカッコよさに、教室の一角が発光しそうなほどのオーラを感じた。美波は驚いたように目を丸くし、頬を少し染めた。

「えっ……鈴木くん、迷惑じゃない? すごく親切だね……」

「全然迷惑なんかじゃないよ、行こう!」

俺は誇らしげに大股で歩き、美波を正面玄関の下駄箱へ導いた。校舎の軒下には、数十人の生徒たちが雨宿りをしてひしめき合っていた。

周りの男子生徒たちからの羨望の眼差し(俺の妄想かもしれないが)を浴びながら、俺は一歩前へ出て、折りたたみ傘を雨の中へ堂々と突き出し、柄の自動ボタンを力強く押し込んだ。

カチッ! バサッ!

今朝カバンに押し込んだ時、うっかり二キロの英和辞典で押し潰してしまったせいか、あるいはこの傘が定年退職の時期を迎えていたせいか、バネが弾けたその瞬間……。

傘の上部の鉄の骨組みは、雨を防ぐために開くどころか真っ二つに折れ曲がり、布の部分ごと糸の切れた凧のように土砂降りの雨の中へと勢いよく吹っ飛んでいった。そして俺の手に残されたのは、魚の骨のように上に向かって突き出した数本の鋼鉄の骨組みだけが残る、無惨な鉄の柄だった!

下駄箱の周りの空間が、一瞬にして静まり返った。校庭に落ちる雨のパラパラという音だけが響く。

俺は石のように固まり、鋼鉄の「魚の骨」を雨の中に高く突き上げたまま、冷たい風に吹かれて前髪をパタパタとなびかせていた。

俺の背後から、どこからともなく健二の声が響き渡り、静寂の空気をぶち壊した。「おっ、マジシャンの翔太は雨の中で鉄の骨組みを使って避雷針でも作るつもりか?!」

エントランスで雨宿りをしていた生徒たちが、一斉にドッと吹き出した。

俺の顔は三秒の間に白から真っ赤になり、そのまま真っ青へと変化した。

結局その日、美波は同じクラスの女子に傘に入れてもらって帰り、俺はあまりのパニックと恥ずかしさから、健二と体操着の上着を一緒に被って駅まで死に物狂いで走る羽目になった。

さらに痛ましいことに、ずぶ濡れのネズミのように電車の中に立ってからようやく、二本目の無傷の予備の傘が、教室の後ろのロッカーの底で温かく眠っていることを思い出したのだった!

もちろん、プライドは高いが極めて正直な俺は、翌日歯を食いしばりながら、その「魚の骨の傘」の惨劇のすべてを可能な限り悲壮な文章でノートに書き記し、金曜日にノートを机の中に残してきたのだった。

◇

1年A組で、六月上旬の月曜日の朝、窓際の席の周りの生徒たちは非常に珍しい光景を目撃した。普段は常に落ち着いていておとなしいクラスメイトの高橋蒼が、今日は机の下に顔をうずめたまま、華奢な両肩をけいれんしているかのようにブルブルと震わせていたのだ。

「ねえ蒼……大丈夫? お腹でも痛いの?」前の席の由佳が心配そうに振り返って尋ねた。

「な、なんでもないの! ちょっと……ツバにむせちゃっただけだから!」

蒼は慌てて手の甲で口を覆い、目尻に涙が滲むほど咽び泣くような笑い声をなんとか喉の奥へと飲み込もうとしていた。

彼女の机の中では、茶色いノートが大きく開かれていた。どうやって笑いを堪えろっていうのよ?!

このバカな翔太ったら、上の段落ではあんなに威風堂々と『死角なしの完璧な計画、匿名の君、これを読んでノートを涙で濡らさないでくれよな』って書いてたくせに、木曜日の段落になった途端に悲痛な嘆きにトーンダウンしてるじゃない! 『僕の傘が僕を裏切った! ロケットブースターみたいに雨の中へ布を吹き飛ばし、美人の前で魚の骨を持ったピエロに成り下がった! おまけに電車に乗った時、二本目の傘を教室のロッカーに隠したままだったのを思い出した!』

それだけじゃない。隣の余白には、雨の中で土下座し、壊れた傘の骨を手に持った棒人間が描かれていて、『どうして神様は僕のようなイケメンにこんなに残酷なんだ?!』という文字まで添えられている。

蒼はその殴り書きの絵を見つめながら、思わずとびきりの笑顔を浮かべていた。それは、この数ヶ月間、クラスの新しい友達と話している時には決して見せたことのない、完全に自然で爽快な笑顔だった。

なるほど、この憎たらしいナルシストは……大風呂敷の殻を脱ぎ捨てれば、こんなにも馬鹿正直で面白いお調子者だったのね。

見栄っ張りな他の男子なら、好きな女子の前でこんなに恥ずかしい目に遭ったら、絶対に誰にも言えないだろう。それなのに、こいつは自分の間抜けな失敗のすべてを、私が心置きなく笑えるようにページの上にさらけ出している。

外のじめじめした梅雨のせいで沈んでいた気分がふっと軽くなるのを感じながら、蒼は黒ペンを取り、微笑みながら返事を書き始めた。

『月曜日:ごめんなさいね、あんたの完璧な計画のために一生懸命泣いて悲しんであげようとしたんだけど、「魚の骨の傘」とロッカーに傘を隠して忘れたっていうくだりを読んだら、腹筋が痛くなるまで笑っちゃって泣けなかったわ! カッコつけの鳥頭には自業自得ね! でもまあ、週の初めにエンターテインメントを提供してくれたことに免じて、今回は変態って罵るのはやめといてあげる。今度隣の席の女子の前でいい格好をしたいなら、事前に小道具のチェックはしっかりしなさいよ、避雷針マジシャン!』

その一週間、朝から晩まで続く大雨のせいで休み時間もどこへも行けなかったため、蒼も翔太の習慣を真似し始めた。暇な時や、クラスの友人グループのコスメやアイドルの騒がしい話題の中で疎外感を感じるたび、彼女はそっと茶色いノートを開き、自分の一日についてのちょっとした愚痴を書き込んだ。

今の蒼にとって、机の中のノートは秘密の樹洞のようなものだった。府中高校の中で唯一、誰かのご機嫌を取るために無理をする必要がなく、生意気で、でも疲れ果てた自分の素顔をそのまま見せられる場所だった。

その週の木曜日、放課後に由佳に新しくできたカフェに引っ張られ、SNSに載せるための写真を何百枚も撮らされた後、蒼が家に着いた時はすでに時計は夜の九時近くを指していた。金曜の朝、教室に着いて寝不足であくびを連発しながら、彼女はノートを机の中に残す前に、とても日常的な愚痴を日記の最後に書き残した。

『金曜日:ここ数日、雨ばっかりでジメジメして本当に嫌になる。昨日の夜は友達グループとお茶して帰った後、夜遅くまで由佳とのツーショット写真を加工させられてやっと寝られたのよ。それにしても、最近どうして私は「片想いハート」のポーズばっかり押し付けられるわけ?。アルバムを見返すと、どの写真も私が「片想いハート」の状態で写ってて、なんだか笑えるくらいかわいそうになっちゃう。来週あんたがノートを持ってる時は、ちゃんと綺麗な字で書きなさいよ。おやすみ、また来週ね。』

蒼はごく平穏な心境でノートを閉じた。女子高生の間で大流行している「片想いハート」という言葉を見慣れている彼女にとって、一見無害なその数文字が、机の向こう側で精神的な大地震を引き起こすことになろうとは、夢にも思っていなかった。

◇

「片想い……ハート?!」

六月中旬の月曜日の朝、1年B組の教室で、俺は両目が寄り目になりそうなほど茶色いノートのページに鼻を近づけ、その丸っこい文字で書かれた言葉をブツブツと何度も読み返していた。

『アルバムを見返すと、どの写真も私が「片想いハート」の状態で写ってて、なんだか笑えるくらいかわいそうになっちゃう』

なんだこれは?! 「片想い」に「ハート」がくっついて——つまり「一方通行のハート」ってことか?!

俺はバッと顔を上げ、心臓をドキドキさせながら、深刻な顔で両眉をギュッとひそめた。

どうして由佳という友達とお茶してツーショット写真を加工したという話をしている最中に、彼女は突然「片想いハート」の状態に陥っているなんてため息をついたんだ?!

俺のような十六歳の男の辞書において、その言葉が持つ意味は一つしかない。机の向こう側にいるあの生意気な匿名の彼女は……密かに誰かに思いを寄せているのだ! さらに可哀想なことに、その片想いは絶望的すぎて、友達と一緒に写真を撮って遊んでいる時でさえ、「片想いの心」の悲しみが、一枚一枚の写真の彼女の顔にハッキリと表れてしまっているということだ!

自分の独りよがりな推論だけでは納得できず、俺は先生が来る前の隙を突いて勢いよく振り返り、こっそりクッキーを食べている健二の机をバンと叩いた。

「おい健二、マジメな話なんだが……女子が写真に写ってる時の自分を『片想いハート』の状態だって言う時、それってどういう意味だと思う?」

健二はゴクンとクッキーを飲み込み、目を丸くして俺を見た。

「バカな質問すんなよ。『片想いハート』っつったら、片想いしてる心境に決まってんだろ! たぶんその子、友達と遊んでるのに頭の中は好きなやつのことでいっぱいで、遠くからそいつを盗み撮りしてるから、捨てられた子犬みたいに可哀想な顔になってるんだよ!」

俺は冷たい息を吸い込んだ。

やはりそうか! でも待てよ……彼女が写真を見るだけで痛々しくなるほど片想いしている相手とは、一体誰なんだ?!

もともと想像力豊かな俺の脳内に、一筋の稲妻が走った。

すべての出来事を一本の線で繋ぎ合わせてみよう。二週間前、俺は隣の席の美波を相合い傘に誘うために傘を二本用意した話をノートに書いたばかりだ。「魚の骨の傘」のおかげで計画は頓挫したものの、俺が美波にアプローチする意志を公言したことは、隣のクラスの彼女の乙女心に致命傷を与えたに違いない! だからこそ、ページの最初では無理して俺の傘を笑い飛ばしていたのに、週末に友達と写真を撮った時には、報われない「片想いハート」の憂鬱さを隠しきれなかったというわけだ!

あるいは仮に——ほんの百万分の一の可能性としてだが——彼女の好きな相手が俺ではなく、彼女のいる1年A組のどこかの節穴野郎だったとしても、この二ヶ月間机を共有してきた「心の友」として、俺が同盟者の恋の痛手を黙って見過ごせるわけがないだろう?!

普段はキツい言葉で俺を罵っている彼女が、今や真夜中にスマホの画面の前に座り、自分の写真を見つめながら哀れな「片想いハート」を自嘲している姿を思い浮かべると……俺の胸の奥には突然、義侠心に満ちた痛ましくて切ない感情がこみ上げてきた。

自分が成熟した、温かく極めて思いやりのある大人の男であることを証明するため、俺はすぐにペンを取り、ペン先にすべての誠意を込めて、次のページに慰めの手紙を書き綴った。

『月曜日:ねえ、隣のクラスの君。先週の最後の文章を読んで、僕は危うく涙をこぼしそうになったよ。僕を変態呼ばわりするあの生意気な外見の裏で、君はたった一人で「片想いハート」の苦しみに耐え、写真に写る顔さえ痛々しくなるほど悩んでいたんだね? 教えてくれないか、君のクラスのどこの節穴野郎が、君をそんなに苦しめているんだ? それとも……コホン、二週間前に僕が美波を相合い傘に誘った話をしたせいで、君の心を傷つけてしまったのかな? でも、君が片想いしている相手が僕であれ、どこのバカ野郎であれ、写真を見て自分をそんなに可哀想に思わないでくれ! 字が綺麗で、こんなにも面白い内面を持っている君の魅力に気づかないやつなんて、本物の大バカ者だ! もし辛すぎたら、君の片想いの悩みをすべてこのノートに書き出してごらん。恋の軍師であるこの鈴木翔太が、いつでも君の心の支えになって話を聞くから! 元気を出して、もう悲しまないで!』

書き終えると、俺はご丁寧に、とんがり顎の棒人間が、真っ二つに割れたハートを抱える長い髪の棒人間の肩を優しくポンポンと叩いている絵を下隅に描き足し、自分がおとぎ話から飛び出してきた騎士のように感じていた。

そして、俺の同情に満ちた待ち時間の中でさらに二週間が過ぎた。校庭のクスノキの上で最初のセミが夏を告げる声で鳴き始めた頃、ノートを受け取る順番が回ってきた月曜日の朝。茶色いノートは机の中に戻ってきており、そこには、一目見ただけで殺気が立ち上りページを焼き尽くしそうな返事が書かれていた。

『大バカ! マヌケ! 救いようのないナルシスト!! あんた頭どうかしちゃったの翔太?! 何が「一人で片想いの苦しみに耐え」よ?! 何が「美波との相合い傘の話で心を傷つけた」よ?! あんたの頭の中には、くだらない恋愛ごっこ以外に何も入ってないわけ?! 洞窟に住んでる原始人め、耳の穴かっぽじってよく聞きなさい! 「片想いハート」っていうのは、二人で撮る【写真のポーズの名前】よ、この神経衰弱野郎!! 片方が手で半分のハートマークを作ってるのに、もう一人がそれに合わせてハートを作らずに、親指を立てて「いいね」のサインをして、わざと冷たくあしらってるように見せるっていう、ウケ狙いのポーズのことなの! 由佳が私にばっかり「半分のハートを作って突き放される役」をやらせるから、どの写真を見ても可哀想で笑えるって言っただけよ、わかった?! あーもう、ただの写真のポーズ一つで、自分勝手にドロドロの悲恋ドラマの脚本を書き上げやがって! その上、私の心の支えになるとか言い出すなんて! 恥ずかしくて穴があったら入りたいのはこっちよ! 二度とその言葉を口にするのは禁止だからね!!』

その黒インクの絶叫の文章のすぐ下には、彼女が怒りに任せて描いた巨大なイラストが添えられていた。指を曲げてCの字(半分のハート)を作っている手と、それに向かい合って拳を握り、からかうように親指を天に向けてまっすぐ立てている手だ!

「ブッ——ハハハハハハ!!」

今度ばかりは温かい騎士のイメージも保てなくなり、俺は朝の自習時間のド真ん中に机を叩いて大爆笑してしまった。1年B組の最前列から最後列まで、クラス全員が脱走してきた狂人でも見るかのように一斉に振り向いた。

こめかみに涙が伝い落ちるほど笑い転げ、慌てて顔を伏せてノートを隠したが、両肩は絶えず震え続け、どうしても止めることができなかった。

「片想いハート」って、片方がハートを出して、もう片方が親指を立てて冷酷に拒絶するような、こんな写真の遊びだったのか?!

女子たちが、「片想いハート」なんて名付けるほどシュールで皮肉な写真のポーズを思いつくなんて、誰が予想できる?! おまけに俺は、彼女の失恋の痛みを慰めるために……ページ半分の長さにわたる憂鬱なトーンの長文の手紙まで書いてしまったのだ!

1年A組の教室に座り、俺のナルシスト臭全開の「恋の軍師」の文章を読んで、頭頂部から煙が出そうなほど顔を真っ赤にして怒っている彼女の姿を想像するだけで、今年の夏がどれほど輝かしく爽快なものに思えたことか。

俺は、ページの上に描かれたすれ違う二つの手の絵——宙に浮いた半分のハートと、それに向かい合う悪戯っぽい親指——にそっと指先で触れながら、ずっとクスクスと笑い続けていた。

◇

七月上旬の日々は、夏の竜巻のようにあっという間に過ぎ去っていった。

外の気温は三十度を超え、教室の天井の扇風機は一日中ブンブンと回っていたが、ただの熱風を吹き下ろすだけだった。

「魚の骨の傘」事件と歴史に残る「片想いハート」の誤解を経て、俺と机の向こう側にいる匿名の彼女との見えない距離は、随分と縮まったように思えた。

ノートの中で、彼女は相変わらず生意気な口調のままで、俺のどんなナルシスト発言にも喜んで冷や水を浴びせようとしてきたが、彼女の毎日の日記のページは、以前よりずっと長くなり始めていた。

彼女はどれだけ物理が嫌いか、別棟の階段の下でよく寝ている野良猫のこと、そして時々、クラスの友達グループのネットの流行に無理して合わせようとするのに疲れてしまうことなどを語ってくれた。

俺は気の利いた慰めの言葉を言うのが得意ではないから、彼女の少し落ち込んだ本音の文章を読むたびに、ページの隅に、とんがり顎の棒人間が半分のハートに向かって「いいね」の親指を立てている絵を黙って描き足し、くだらないコメントを添えた。『疲れすぎたら、君の「片想いハート」みたいに、全部親指立てて拒否しちゃえば人生気が楽になるぜ!』——そして次にノートを受け取る時には、彼女の活気に満ちた罵詈雑言の嵐が返ってくるのだ。

しかし、校庭のセミの鳴き声が最もやかましく響き渡る頃、俺たちは二人ともある深刻な問題に気づいた。夏休みが近づいているのだ。

府中高校では、七月末から八月いっぱいまで続く一ヶ月以上の夏休みの間、メインの教室棟はすべて施錠され封鎖される(部活専用の建物や、休み前の数日間の補習授業を除く)。放課後の選択合同授業も完全に一時休止となる。

それが意味することはつまり、誰も他人の教室を借りることはなくなり、もしノートを机の中に残したままにすれば、夏休みの六週間、誰も教室に入ってそれを取り出すことができなくなるということだ。

一学期の終業式の前の一週間、茶色いノートは俺の手元にあった。

その金曜日の午後、終業式が終わり、クラスの連中が高校生活最初の夏休みを満喫しようと歓声を上げながら荷物をまとめている中で、俺はまだ窓際の机に残り、目の前の白紙のページを見つめながらボールペンをくるくると回していた。

もし今日、俺がこのノートを机の中に残しておけば、来週の月曜の朝、彼女はおそらく休み前の補習のために登校し、ノートを取ることができるだろう。だがその後は学校が完全に閉鎖されるため、彼女は八月いっぱいノートを家に持ち帰って保管しなければならず、俺は彼女の文字を一行も読むことのできない、四十日以上もの夏休みを過ごすことになる。

これから一ヶ月半もの間、俺の字が汚いと文句を言う者も、毎週月曜の朝に俺をナルシストだと罵る者もいなくなると思うと、ずっと心待ちにしていたはずの夏休みが、なぜか少しばかり長すぎるように感じられた。

俺はペン先を紙に下ろし、窓辺に溢れる眩しい夏の日差しの中で、一学期最後の文章を書いた。

『夏休み前最後の金曜日。ねえ、隣のクラスの君。来週から学校は夏休みに入るね。今日はいつも通り、ノートを机の中に残しておくよ。夏休み中は教室棟が施錠されて選択授業もないから、今度の月曜の朝に君がノートを取ったら、そのまま家に持ち帰って保管してくれ。机の中に残しておくと、掃除のおばちゃんに片付けられちゃうかもしれないからね。九月の二学期の始業式に返してくれればいい。でも……一ヶ月以上も僕のノートを家に持っていくんだから、サボって白紙のままにしちゃダメだぞ! 夏祭りに行ったり、花火を見に行ったりしたら、ちゃんと全部ここに記録しておくこと。九月に僕がチェックするからな! 体調に気をつけて、アイスの食べ過ぎでお腹を壊さないように。それから、花火を見に行って、「片想いハート」みたいに本当に冷たくあしらわれたりしないようにな! じゃあ、おやすみ。また九月に会おう。』

俺は茶色いノートを閉じ、三ヶ月近く手から手へと渡り歩いて四隅が少し擦り切れ始めた表紙を優しく撫でてから、机の中央に綺麗に置いた。

夏休みの最初の月曜日の朝、復習プリントを忘れたと言い訳をして、生活指導の先生に頼み込んで1年B組の教室まで走って確認しに行くと……木の机の中は完全に空っぽだった。

彼女はノートを持っていってくれたのだ。

こうして、俺と彼女の十六歳の夏休みは正式に始まった——机の中を通じたメッセージのやり取りのない長い長い夏。色鮮やかな花火の夜へ、それぞれが見えない空白を抱えたまま、それぞれの空の下へと歩き出していく夏が。


お読みいただき、ありがとうございます!

次話は30分後に更新します。

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