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第13話 十回の桜と、二十代のサラリーマンの胸の内

十年とは、どれくらいの長さだろうか?

それは、校庭の若木が心地よい木陰を作る大木へと成長するのに十分な時間であり、駅前の古い商店街が新しい姿へと生まれ変わるのに十分な時間であり、そして、3年B組の木の机のそばで泣きじゃくっていた十八歳の少年を、慌ただしい日々の中で日々の糧に追われる大人の男へと変えるのにも十分な時間だった。

2016年の3月末のあの最後の月曜日の朝——最後の行まで文字で埋め尽くされた茶色いクラフト表紙のノートを固く抱きしめ、自分自身の足で十年の歳月を歩き抜き、彼女に会いに行くと誓って府中高校の校門を出たあの朝から——俺の人生は全く新しい章へと突入した。

俺は、蒼と約束した通り、第一志望の大学に進学した。 広告メディア学部のレポート、コンビニでの夜のアルバイト、そして毎朝の満員電車に揺られる日々の中で、四年間の大学生活は過ぎていった。大学では、同じ学部の友人に他大学の女子との合コンに誘われたり、同じサークルの女子から好意を寄せられたりすることも何度かあった。しかし、俺はその度に微笑んでやんわりと断り続けた。

なぜなら、毎晩小さなアパートの部屋に帰り、勉強机の一番上の引き出しにある木箱を開けるたび——そこには茶色いノートと、彼女が水彩でメロンソーダと半分のハートを描いてくれたラミネート加工のしおりが大切にしまってある——俺の心は、彼女がすぐそばにいるかのように温かく、そして穏やかな気持ちになれたからだ。

2019年の4月上旬のある日——俺が大学四年になり、本格的な就職活動を目前に控えていた頃——交差点で信号待ちをしていた俺は、道行く何百人もの人々が一斉に足を止め、駅前の商業ビルの巨大なスクリーンを見上げているのに気がついた。

画面の中で、内閣官房長官が厳粛な面持ちで、真っ黒な墨で二つの漢字が書かれた木の額縁を高く掲げ、来月から始まる新しい元号を発表していた。

「令和」

ざわめき、スマホを掲げて巨大スクリーンを撮影する人波の中で、俺は歩道に立ち尽くしていた。鼻の奥がツンとし、胸が激しく震えた。

「令和……」

この三年間、茶色いノートの最後のページで、蒼が最後に書いた行でしか見たことのなかったその二つの漢字——十八歳の俺が、どんな意味なのかと呆然と自問したあの未来の元号が——今、本当に生身の現実となって俺の目の前に現れたのだ!

君の時代が……ついに始まったんだな、蒼。

俺は高層ビルの上に広がる青く澄み切った春の空を見上げ、無意識のうちにワイシャツの胸元に右手を当てた。令和という元号が、あのノートに書かれた文字と寸分違わず現実のものとして発表されたことは、最も明白な証明だった。「令和8年(2026年)の蒼」という女の子は、決して青春の幻影なんかではなく、俺がこの人生で前に進む一歩一歩が、俺たち二人の距離を確実に縮めているのだということを!

◇

しかし、社会で生きる大人の人生は、学生時代の日記のページのようにロマンチックなものでは決してなかった。

2020年の春、大学を卒業した俺は、正式に広告代理店の企画営業部に入社した。

そして同じ春、俺はノートに次ぐ、二番目に大切なものを失ってしまった。 俺が高校に入学した時から親父の名義で家族割に加入していた、090-38xx-7159という携帯の電話番号だ。 感染症の流行が襲い、親父が経理として働いていた会社は人員削減を行い、一円でも節約するために、親父は俺が会社の寮で隔離されている真っ只中に家族割のプランを解約してしまったのだ。 俺がその事実に気づいた時には、すでに番号は通信会社に回収されていた。俺はショップに三回も足を運び、頭を下げて懇願したが、返ってくる答えは一つだった。「解約された番号は別の方に再割り当てされるため、保管しておくことはできません」。その夜、俺はノートの最後のページにある「翔太さんの電話番号は保存しました」という彼女の文字を、ただ長く見つめ続けた。 これから先、俺と蒼を繋ぐ唯一の糸は、C棟の東側ロビーだけになってしまったのだ。

学生時代、蒼に美術の夢を追いかけるよう励ましていた頃、俺の頭の中には、スーツをパリッと着こなし、毎日世界を揺るがすようなクリエイティブなアイデアを生み出す広告マンの自分の姿が華々しく描かれていた。

しかし、サラリーマンという現実の冷酷さは、すぐに俺に冷や水を浴びせかけ、目を覚まさせた。

俺の毎日の仕事は、テレビドラマのような華やかなプレゼンなどではなく、締め切りに追われる終わりのない日々であり、苦い缶コーヒーと冷え切ったカップ麺を相棒に深夜二時までオフィスで徹夜することであり、そして、発狂しそうなほど理不尽な修正要求に対して、顧客に九十度頭を下げて謝罪する午後の連続だった。

2022年の晩秋のある夜。年末のキャンペーンの進行に間に合わせるため、三日連続で残業して会社に泊まり込んだ後、俺は誰もいないオフィスのフロアのトイレに入り、冷たい水道水を両手ですくって顔に勢いよくバシャリと浴びせ、洗面台の前の大きな鏡を見上げた。

鏡に映る男の姿に、俺自身も思わず動きを止め、苦笑いを浮かべた。

そこにはもう、茶色いノートの中で蒼がかつてスケッチしてくれた、引き締まった体と「ピッケルみたいに尖った顎」を持つ背番号7のバスケ選手の面影はなかった。 今目の前にいるのは、袖口がシワシワになった白いワイシャツを着て、ネクタイをだらしなく緩め、睡眠不足で重く黒いクマを目の下に作り、剃り残した無精髭を顎に生やした、もうすぐ二十六歳になるサラリーマンだ。 それだけでなく、働き始めてからというもの、パソコンのモニターの前に一日中座りっぱなしで、高校時代のようにバスケットボールに触れる時間もなく、ただ空腹を満たすための夜食ばかり食べていたせいで、両頬やお腹周りには少し肉がつき始めていた。まるで、生活のプレッシャーで容姿が衰え始めた、典型的な「会社のオジサン」そのものだった。

疲労の色が濃い目の下のクマと、すっかり丸みを帯びた自分の顎を触りながら、俺の胸の奥には、深いコンプレックスと切なさが入り混じった感情がこみ上げてきた。

「時間ってのは本当に残酷だな……。蒼が2023年に高校生になって、あのノートの中で十六歳、十八歳だった頃の鈴木翔太の情熱に満ちた文章を読んだ時、彼女の想像の中の俺は、きっと夏の陽射しの下で輝く、無邪気で夢に溢れた少年のままなんだろうな。でも、もし2026年に、最も美しい十八歳になった彼女がC棟のドアを開けて外に出てきた時に、目の前にいるのが、目の下にクマを作って、缶コーヒーの匂いをプンプンさせて、仕事の締め切りに疲れ果てた二十八歳のサラリーマンのおっさんになっている俺を見たら……。『あんたはもう、一緒に日記を書いてたあの頃の純粋な男の子じゃないのね』って、幻滅して言われちまうんだろうか?」

自分が老け込んでいくことへの恐怖が、俺をハッと目覚めさせた!

その翌週から、どんなに仕事が忙しくても、俺は深夜にカップラーメンをすする習慣を完全に断ち切り、甘い缶コーヒーを緑茶に変え、毎晩仕事から帰った後は、体力を取り戻すために近所の公園を三周ランニングすることを自分に課した。 社会の荒波に揉まれて十歳年を取り、目尻に少しシワが増えるのは仕方がないとしても、3年A組の画家さんの前に、生きる気力を失っただらしないオジサンの姿で現れることだけは絶対に許されなかった!

◇

そして、2023年の春——俺の十年の旅の七年目の節目——が訪れた。

2023年4月のあるよく晴れた日曜日、二十六歳になったばかりの俺は、きちんとしたグレーのスーツに身を包み、親友の山本健二と、あのバスケ部のマネージャーだったあかりちゃんの結婚式に出席していた。

三年生の夏のバス旅行でティッシュの包みを交わしたあの日から、八年近くも粘り強く交際を続けた健二は、今や夢を叶えてたくましく背の高い体育教師になり、恥ずかしがり屋だったあかりちゃんは、純白のウェディングドレスを着た眩しいほど美しい花嫁になっていた。

3年B組の旧友たちや、当時の担任だった沢渡先生も顔を揃えた賑やかな披露宴の会場で、タキシード姿の新郎・健二がビールグラスを持って歩み寄り、俺の肩をバンと強く叩いた。

「おい翔太! 最近また走り始めたおかげで、去年の年末よりは上司にこき使われてるサラリーマンのオッサンぽさが抜けてきたじゃねーか! でもさ、今日俺とあかりがヴァージンロードを歩くのを見て、高校時代に俺たちの『軍師長』を自称してたお前としては、少しは焦ったりしねーのか?」

円卓を囲んでいたクラスメイトたちも、すぐに同調して冷やかしてきた。

「そうだよな、鈴木! もう二十六歳で、広告代理店の仕事も軌道に乗ってきたってのに、大学時代から今まで、彼女の一人も紹介してくれたことないじゃんか!」

「もしかして、高校の時のあの『3年A組の謎の彼女』のこと、まだ引きずって待ってんのか?!」

健二は少し言葉を切り、冗談半分、本気半分の目つきで俺を見た。 なぜならこの七年間、俺は茶色いノートの最後のページに隠された衝撃的な秘密——3年A組のあの女の子が、実は俺たちから十年先の未来に生きているということ——を、健二を含め誰一人として打ち明けたことがなかったからだ。 健二の目には、卒業式の年に俺と彼女が何らかの理由で結ばれず、そのまま音信不通になってしまったと単純に映っているだけだった。

俺は手に持っていたジュースのグラスを掲げ、新郎の健二のグラスに軽く当て、テーブルの全員の前で平然と微笑みながら答えた。

「ああ。俺はまだ彼女を待ってるよ。でも、お前らがこの二十六歳のおっさんの心配をする必要はねーよ。あとたった三年もすれば、俺もこの独り身の生活に終止符を打ってみせるからさ!」

「あと三年だって?! このバカ、人を待つにも銀行の定期預金みたいにキッチリ年数計算してんのかよ!」

俺の冗談のような返答に、円卓中が爆笑に包まれた。

しかし、旧友たちの笑い声が響いたまさにその時、披露宴会場の壁に掛かっていたカレンダーを見上げた俺の心臓は、突然息が詰まるほど激しく脈打った。

令和5年(2023年)4月。

俺の手にあったグラスが微かに震え、透明な液体の表面に小さな同心円の波紋が広がった。

2023年4月……。

待てよ。もし蒼が2026年3月に十八歳で高校を卒業するのなら……つまり、この2023年4月という時期は、十五歳の蒼が府中高校の門をくぐって一年生(1年A組)に入学したばかりの時期であり、彼女が木の机を開けて、十年前の俺のあの茶色いノートの最初の文字を読んだ、まさにその週じゃないか!!

熱い電流が背筋を駆け抜け、俺の体全体が震えた!

2016年から2022年までの七年間、俺はただじっと耐えて待ち続けることができた。なぜなら、その期間、蒼はまだ小学生か中学生であり、府中高校にも入学しておらず、木の机の存在も「鈴木翔太」という名前も全く知らなかったからだ。

しかし、この2023年4月という、まさにこの瞬間……彼女は本当に、府中高校にいるのだ!!

今この瞬間、ここから電車で二十分もかからない昔の高校の1年A組の教室で、丸っこい黒インクの字を書く十六歳の女子生徒が、実際に窓際から四番目の席に座り、俺の書いた「極秘ファイル:高校一年生非リア脱出作戦」という文字を読んでクスッと笑い、ノートの余白に初めての生意気な小言を書き込んでいるのだ!

その考えが頭に閃いた瞬間、七年間ずっと押し殺してきた会いたいという気持ちの炎が、激しく燃え上がった!

俺はただ自分の部屋でじっと座って、彼女が本当に入学したかどうか確かめないままでいることなんて、到底できなかった!

俺の視線はすぐに隣のテーブルへと向かった——そこには、俺たちの元担任である沢渡先生が、かつての3年B組の女子生徒たちと楽しそうに談笑していた。

三十五歳になった沢渡先生は、見慣れた銀縁の眼鏡をかけ、相変わらず鋭い雰囲気を漂わせていた。県内の他の学校へ二度転勤した後、去年彼女は再び俺たちの府中高校へと戻ってきており、現在は国語科の主任を務めながら、相変わらずクラス担任を持っていた。

健二の結婚式がお開きになり、人々がロビーに出て別れの写真を撮っている時を見計らって、俺は沢渡先生のそばへ小走りで駆け寄り、頭を下げて礼儀正しく小声で呼びかけた。

「沢渡先生……。明日、仕事が終わった後にたまたま学校の近くを通る用事があるんですけど、職員室に十分ほどお邪魔して、先生にちょっとしたお願いをしてもよろしいでしょうか?」

◇

翌日の月曜日の午後、俺は会社の部長に頼んで二時間早く早退させてもらい、電車に乗って府中高校へと戻ってきた。

七年ぶりに母校の正門へと続く、桜の木陰が広がる坂道を歩きながら、俺の心臓は十七歳の夏にC棟へ彼女を探しに走ったあの日の午後のように、激しくドキドキと脈打っていた。

守衛さんから渡された「卒業生来訪」の札を首から下げ、二階の職員室の隣にある応接スペースに入ると、沢渡先生はすでに熱い緑茶を二つ淹れてテーブルに置いて待ってくれていた。

「さあ、まずは熱いお茶でも一口飲みなさい、二十六歳のサラリーマンさん」

沢渡先生は眼鏡を押し上げ、両膝の上で手をきつく握りしめている俺の緊張した様子を見て、思わず吹き出した。 「昨日山本の結婚式で会ったばかりなのに、今日はわざわざ早退してまで私を訪ねて学校に来るなんて……。言ってみなさい、そんな深刻そうな顔をして、一体何のお願いがあるの、翔太くん?」

「いえ……実は、本当にちょっとしたことなんです」

俺は大きく深呼吸をし、先生がノートの裏にある衝撃的な秘密に気づかないよう、できるだけ平然と自然な声を取り繕おうとした。

「その……母の田舎にいる遠い親戚の末娘が、今年ちょうどうちの府中高校の一年生に入学したらしいんです。ただ、ご家族が遠方に住んでいるので、昨日母から、学校に知り合いの先生がいるなら、その子が何組になったのか、ちゃんと学校に馴染めているか様子を聞いてきてくれないかって頼まれまして……。親戚のおばさんから母に送られてきたメッセージには、その子の家での呼び名が平仮名で『あおい』としか書かれていなくて、母方の親戚の名字がどう書くのか僕も忘れてしまったんです。沢渡先生、お手数ですが、今年の四月に入学した一年生のリストの中に、『あおい』という名前の女子生徒がいるかどうか、確認していただけないでしょうか?」

俺の非常に筋の通った「遠い親戚の妹の様子見」という理由を聞いて、沢渡先生は微塵も疑う様子を見せなかった。彼女は快く椅子から立ち上がった。

「あら、あなたの親戚の子がうちの学校の一年生に入学したのね! それならちょうどよかったわ、私、今年の一年生全体の教務主任を任されてるのよ。ちょっとそこで一分待ってて、名簿を取ってくるから」

俺は応接室のソファに座り、テーブルの下で両手を固く握りしめ、手のひらは冷や汗でぐっしょりと濡れていた。沢渡先生の背中が職員室に消え、2023年度の入学生名簿を取りに行くのをじっと見つめていた。

茶色いノートの最後のページに、彼女は「あおい」という下の名前しか書いておらず、名字はまだ書かれていなかった。 しかし、俺には一つだけ絶対に間違いないと確信していることがあった。この2023年に入学した時、彼女は1年A組にいるのだ!

一分後、沢渡先生は青いファイルを手にして職員室から出てきた。

彼女は俺の向かいの椅子に座り、最初のクラスの名簿のページを開き、人差し指で上から下まで生徒の名前をなぞっていき、そして満面の笑みで顔を上げて俺を見た。

「わざわざ名字を思い出す手間が省けたわよ、翔太くん! 今、今年の一年生の四クラス全部確認したけど……今年の1年A組から1年D組までの新入生の中で、『あおい』っていう名前の女子生徒はたった一人しかいなかったわ! しかも、その子はちょうど1年A組にいるのよ!」

ドクン!

俺の心臓は一秒間完全に停止したかのように感じられ、そして次の瞬間、視界が滲むほどの強烈な喜びに弾け飛んだ!

2023年に府中高校に入学した一年生全体の中で……「あおい」という名前の女子生徒はたった一人しかおらず、そして彼女は確かに1年A組で勉強しているのだ!

もはや疑う余地などなかった!! 単なる偶然の一致であるはずがなかった!!

俺と三年間一緒に茶色いノートを共有し、俺をC棟に呼び出してくれたあの女の子は……最後のページに書かれていた通り、本当に2023年の春にこの学校の1年A組に入学していたのだ!

「どうしたの、翔太くん? 遠い親戚の妹が1年A組に入ったって聞いただけで、なんでそんなに固まって感動してるのよ?」沢渡先生は俺のこわばった表情を見て笑い出し、そして窓の外を指差した。「今、一年生はグラウンドに集まって部活動のルールの説明を聞いてるところよ。その1年A組のあおいちゃんをここに呼んで、従兄さんから一言アドバイスでもしてあげる?」

七年間ずっと待ち続けていた人間の本能的な反射で、俺はソファからバッと立ち上がり、二階の応接室の窓辺へ足早に向かい、夕暮れの陽光が降り注ぐ下のグラウンドを見下ろした。

広大な校庭には、真新しい制服を着た何百人もの一年生がクラスごとに整列していた。 遠くにある1年A組のプラカードの周りには、春の陽射しの下、何十人もの長い黒髪の女子生徒たちが肩を並べて立っていた。

俺の足は、今すぐにでも階段を駆け下りて、あの1年A組の列の前に飛び出していきそうだった!

しかし、応接室のドアノブに手が触れたまさにその時、俺は頭から冷水を浴びせられたようにハッと立ち止まった。

待て、鈴木翔太!! 今すぐ止まれ!!

俺は窓際で足がすくみ、頭の中で理性がタイムパラドックスの深淵の直前で急ブレーキをかけたことで、荒い息を吐いた。

今日はまだ2023年の4月——十五歳の蒼が、2013年からやってきた「高校一年生の鈴木翔太」の最初の日記を、1年A組の机の中で読み始めたばかりの最初の週なのだ!

この2023年4月の時点では、あの校庭に立っている十五歳の蒼にとって、「翔太」は隣の1年B組にいる同級生の男子だと思い込んでおり、二人は「月曜日の朝の泥棒」は誰なのかと言い争っている真っ最中なのだ! 彼女は今の時点では全く俺のことを愛していないし、二人の間に十年の時間の隔たりがあるという真実も全く知らない——なぜなら、彼女が最後のページを開いてそれに気づくのは、三年後の2026年3月の卒業式の日なのだから!

もし今、目の下に締め切りに追われたクマを作った二十六歳の全く見知らぬサラリーマンのオッサンである俺が、突然校庭に降りていって、新入生の十六歳の女子生徒の手を握り、「やあ蒼、僕が十年前から君の机の中で茶色いノートを書いてる鈴木翔太だよ!」なんて言ったら……一体どうなる?!

第一に、普段は優等生の仮面を被って殻に閉じこもっている内気な十六歳の彼女は、俺を女子の机を物色する変態男だと思い込んで、悲鳴を上げて逃げ出すに違いない!

そして第二に——これが何万倍も恐ろしいことだが——もし俺が今現れて彼女の現在をかき乱してしまったら、彼女は怖がって二度と茶色いノートに書き込まなくなってしまうだろう! 2023年の蒼がノートを書くのをやめてしまえば、花火の夜の迷子、二年生への机泥棒作戦、背番号7の選手の絵から告白、そして水色のお守りに至るまで、俺たち二人の間の奇跡のような三年間が……すべてタイムラインから完全に抹消され、最初から存在しなかったことになってしまうのだ!!

あの机の中の三年間分の愛を守るため、そして十八歳の蒼が最後のページに「大好きです、十年前の、そして今の鈴木翔太さん!!」と書けるようにするために……俺は、2023年から2026年初頭までの三年間、彼女の前に姿を現すことも、彼女を驚かせることも、絶対に許されないのだ!

俺は待たなければならない。

彼女が自分で最後のページを読み終え、俺と会う約束をしたまさにその瞬間まで:蒼の三年生の卒業式の日——2026年3月まで!

「どうしたの、翔太くん? 彼女をここに呼んで少し話さなくていいの?」ドアノブからゆっくりと手を離す俺を見て、沢渡先生は不思議そうに尋ねた。

俺はかつての担任の先生を振り返り、最後まで秘密を守り通すために、頭を掻きながらできるだけ自然な笑顔を作った。

「いえ、やめておきます、先生……。あの子はまだ入学したばかりで、校庭で新しい友達に馴染もうとしているところですから、突然遠い親戚のお兄さんが様子を見に来たなんて知られたら、クラスの中で恥ずかしい思いをさせてしまいますからね! 今日はあおいがうちの学校の1年A組に無事に入学できたことさえ確認できれば、それで母も安心すると思います! 三年後、あの子たちの代の卒業式の日に、またお祝いの花束を持って学校に遊びに来ますよ!」

「ふふっ、本当に。わざわざ仕事の休みを取ってまで学校に来たのに、クラスの名前を聞いただけで帰るなんてね? まあいいわ、こんなに気配りのできるお兄さんがいて、あの子も幸せね!」

沢渡先生は笑い声を上げ、俺の「遠い親戚の妹」という話を全く疑うことなく完全に信じ込んでいた。

◇

十年の旅の最後の三年間——2023年の春から2026年の春まで——は、俺にとってかつてないほど静かで甘美な幸福感に包まれた時間だった。

「1年A組のたった一人のあおい」を、通い慣れた府中高校で見つけることができたおかげで、彼女がすぐ近くにいるということを百パーセント確信し、完全に安心することができた。

二十六歳から二十八歳までのこの三年間、俺は茶色いノートのタイムラインをうっかり壊してしまうことを避けるため、学校の近くには絶対に近づかないという原則を固く守った。その代わり、毎週月曜日の朝、通勤電車に乗りながら、十年前の今週、ノートがどちらの手元にあったかを心の中で計算していた。この十年間、俺は一度もノートを開いて読み返すことはなかった。開けば胸が締め付けられて息ができなくなるからだ。ノートはただ木箱の中に静かに置かれており、俺は記憶の中だけでそれを読み返し——そして、彼女と同じ空の下で無意識に一人で微笑んでいた。

「あ、今週は2023年の九月末の、一年生の体育祭の週だな……。きっと今頃府中高校では、あおいちゃんが砂埃の舞うグラウンドに立って、僕がリレーで走るのをからかう手紙を書く準備をしてるんだろうな!」

あるいは、2024年7月の一学期最後の金曜日の午後——あの運命のC棟での待ち合わせからちょうど十年目の記念日——会社のオフィスで午後五時に仕事を終えた後、俺はオフィスの窓際に立ち、燃えるような夕日を見つめていた。

2024年の地平線へとゆっくり沈んでいく太陽を見つめながら、俺の胸は痛みで締め付けられていた。なぜなら、まさに今この瞬間、十七歳の蒼がC棟の階を上り下りして走り回り、自販機に背中を預けて、俺に見捨てられたと思い込んで一人でこっそり泣いていることを知っていたからだ。

今すぐ学校に駆けつけて彼女を抱きしめ、真実を伝えたいという衝動を抑えるために、俺は指の関節が真っ白になるほど拳を強く握りしめなければならなかった。しかし、俺は耐えなければならないと知っていた——なぜなら、2024年の夏のあの誤解の土砂降りの雨を通り抜けてこそ、彼女の俺への想いは、2025年には深く揺るぎない愛へと成長するからだ!

そしてついに……2025年の冬が過ぎ、令和8年(2026年)3月の暖かな春風が吹き始めた。

十年。

二つの手ぶらで3年B組の教室から歩み出たあの朝から、三千六百五十日という途方もない待ち時間を経て……ついに、最後の約束の日に辿り着いたのだ!

2026年3月の初め、府中高校の卒業式の日の早朝、俺——二十八歳になった鈴木翔太——は、自分のアパートの大きな鏡の前に立っていた。

この人生で最も重要な日に備えるため、この一ヶ月間、俺は夜の残業をすべて断固として断り、夜の十一時にはきっちり寝て目の下のクマを完全に消し去り、ランニングで顎やお腹の余分な脂肪をすっきりと落とし、髪をできるだけ若々しくすっきりとした短髪に切り、そして先週ショッピングモールで思い切って買った、最も高価なネイビーブルーのスーツに身を包んでいた。

鏡をよく見れば、二十八歳の男の目尻には、十八歳の少年とはどうしても違う人生経験の跡が見えるかもしれないが、少なくとも今の俺は、仕事に疲れ果てたオッサンのようではなく、かなり凛々しく爽やかに見えたはずだ!

俺は机の上の記念の木箱を開き、十年前の学ランから取り外した第二ボタンと、蒼が描いた半分のハートのしおりを大切に取り出して、左胸の内ポケット——心臓のすぐそば——にしまい、茶色いクラフト表紙のノートと、昨日の夕方に注文しておいた美しい花束を手に取った。

ノートの最後のページの手紙で、蒼はこう書いていた。「翔太さんの電話番号は保存しました。あるいは、私の卒業式の日(2026年の3月)に、C棟の東側ロビーで待っていてください!!」

彼女が来週最後のページを読む前に、卒業式の日に最高のサプライズをプレゼントするために、昨日、俺はあらかじめ沢渡先生に電話をかけておいた——親戚の家族が忙しくて卒業式に出席できないから、式の直後に「従妹のあおい」に卒業祝いの花束を渡しに学校へ行くよう頼まれた、と嘘をついて!

昨夜は一睡もできず、鏡の前で一番カッコいい笑顔と最初の挨拶の言葉を何十回も練習した。「あおいちゃん、待たせたね……。君の軍師長、翔太が迎えに来たよ!」

2026年3月の卒業式の日、12時45分。春風に舞う鮮やかな桜の花びらの下、俺は花束を抱えてC棟へと続く渡り廊下のそばに立ち、胸が張り裂けそうなほど心臓をバクバクさせていた。

体育館の裏の校庭の方から、沢渡先生が微笑みながら手を振り、卒業式を終えたばかりの制服姿の女子生徒を連れて歩いてきた。

「翔太くん! お待たせ、卒業証書を受け取ったばかりのあおいちゃんを、気の利く従兄さんのところに連れてきたわよ!」

わずか五歩離れたところで、卒業証書の入った筒を持ち、こちらに背を向けている十八歳の女子生徒の姿を見た時、俺の胸の中に十年間蓄積された待ち焦がれた思いが、すべて喉の奥に込み上げてきた。

俺は大きく深呼吸をし、人生で最も輝かしい笑顔を浮かべて、その背中のすぐ後ろへと足早に近づき、俺が丸十年間愛し続けた女の子の名前を、声高らかに呼ぼうとした!


お読みいただき、ありがとうございます!

次話は明日19時20分に更新します。

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